#71:アウッ
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【前話のあらすじ:まんまとノクティアを連れ去られたゼノ。しかし、それは計画の一部だった……】
「てめぇ!なにしやがった!」
バロンが、今にも掴みかかるかのような勢いで、結界の中へと飛び込んでくる。
「どうしたんだい?そんなに慌てて。まあ、落ち着きなさい……君は……」
ゼノの言葉を待たずに、バロンが飛びかかってくる。
バロンがゼノのもとへと辿り着くことはなかった。
「ドゥ……ウッ……バァウ……アウッ……」
そんなくぐもった声と共に、バロンがからめとられていく。
「馬鹿なッ……お前らは動けないはずッ……」
バロンが驚愕したように声を上げる。
魔力の飽和状態。
間違いなく、子供たちは、”その状態”のはずだった。
動くことはおろか、考えることさえ、できないはずだった。
今や、その有り余った魔力がごっそり、どこかへ消えていた。
「何がどうなっているのだッ……!!」
いくら考えても何もわからなかった。
「おやおや……何が起こっているのか、さっぱり……そんな表情ですかね??」
耳に不快な声が響く。
甲高い猫なで声。
あえて、そういう声を出しているのが、直感でわかる。
「てめぇ……ッ!」
いくら罵ろうと、魔力の糸でからめとられた自分に成す術はなかった。
自分は魔術師ではない。
だからこそ、この結界に閉じ込めた子供たちとの橋渡し役になった。
裏を返せば、この魔力の束を粉砕するだけの手段を自分は持っていなかった。
身体強化を使ってもビクともしないばかりか、自分を縛る魔力の糸はさらに太く、強固になっていくようにさえ思えた。
「アブッ……ドゥベッ……グプッ……」
続けざまに、頬に衝撃が走る。
「てめぇ……ッ!よくもッ!……グビッ……ウプッ……」
宙ずりになった腹に足が2発入ってくる。
「いけませんよぉ!今の私、控えめに言って、”最強”なので……」
ニヤッとしたゼノの笑顔。
「ここの様子はすべてわかっているはずだッ!ギュストが来たら、ただじゃッ……!!」
バロンの言葉を遮るように、ゼノが右手を振った。
「ええ。想定済みですよ。だから、私から会いに行きますよ。あのナルシストにはね……」
「てめぇだ……ろプッ……グホッ……」
腹に2発。
魔力を帯びているようで、見た目以上の衝撃が、じんわりと広がってくる。
「魔力……まさか、お前ッ!」
ゼノが何をしたのか、それがわかったような気がした。
「チッチッチッチッ……」
ゼノが小気味悪い音を口ずさみながら、立てた人差し指を左右に振っている。
「まあ、半分正解ですね。残りの半分もすぐにわかりますよ……っと、そろそろですね。貴方との遊びもほどほどにしなければ……」
ゼノが結界に触れる。
「—―神よ、聞き給え!ゼノ様は最強!ゼノ様は天才!ゼノ様はイケてるッ!—―最強天才イケイケMAN!!」
おかしな詠唱に合わせるかのように、魔力が集まっていく。
素人目でもわかる。
ただ、魔力をぶつけているだけ。
詠唱する意味がない魔法。
つまり、詠唱はいらないのだ。
「化け物め……」
バロンの言葉と同時に結界が音もなく消えていく。
「諸君、いきますよッ!」
ゼノの満足げな声が響く。
そこは暗い道だった。
「大丈夫だ……」
そんな声も次第に途切れ途切れになった。
魔法で辺りを照らしてはいるものの、それ以上に、この洞窟は陰湿な場所のように思えた。
「いやぁ、素晴らしい!」
余裕に満ちた態度。自信に満ち溢れた声。両手で規則的に放たれる拍手の音。
暗がりを抜けた先は、少し開けた場所だった。
案の定、ギュストたちがいた。
ノクティアの姿はどこにもなかった。
「クククッ……いやぁ、大した男ですねぇ、君は」
焦ることはなかった。
ギュストの自信に満ちた態度は、ノクティアによるものだということをわかっていた。
自分ならノクティアを助ける。
つまり、ノクティアさえ、手の届くところにいれば、勝ち目がある。
そう判断したのだろう。
「いや、それほどでもぉ……」
そんな言葉を返しながら、素早く、周囲を盗み見る。
ギュストたちの後ろに3つの道、自分たちの通ってきた道のそばに2つの道がある。
それが最終的に繋がっているのかはわからないが、どの道も危険なように思えた。
「ギュスト……お前の敗因は、覚醒した俺に手を出したことだよ……」
「クククッ……貴方はなにを言っているんですか?魔力を得て、私より強くなったとでも?」
ギュストの自信に尊大な態度が崩れることはなかった。
「もうすぐわかるさ、その意味がな……」
ギュストは内心、焦っていた。
今回に限って言えば、ゼノの目論見がいっこうにわからなかった。
なにより、ゼノから”焦り”が見えなかった。
ノクティアは、自分の手中にある。
ゼノは、場所を知らないはず。
知っているわけがない。
結界の中から、外の様子は見えないし、結界の中の様子を、自分はずっと見ていた。
だからこそ、ゼノがしたこともすべて知っているはずだった。
それでも、なにか、見落としている。
そう思わずにいられないほど、ゼノに”焦り”がなかった。
考えすぎなのかもしれない。
あの男はレイの頭脳でもある。
“賭け”に出ているのかもしれない。
そう思えば、なんだか少し楽になった。
「賭けに出た。そう思っているなら、お前の頭もその程度だということだ……」
ゼノの言葉を聞いて、心に再び、暗雲が立ち込める。
「ふん……お前のことは全て知っている。結界の中で、何をしていたのかもなッ!」
そうは言ったものの、明らかにおかしかった。
何かが来る。
そう思わずにはいられなかった。
間違いなく、奴は、何かをしたのだ。
自分は何かを見落としている。
その”欠落部分”を考える時間は、既に残されていなかった。
ギィ。ギィ。ブオゥ。キピー。グルルゥ。
そんな音が背後から聞こえてくる。
「貴様ッ、まさか!?」
そう叫んだ時には、ゼノの姿は消えていた。
「追え!奴らを、奴らを捕らえるんだッ!」
配下と共に、左右の道に分かれて入ろうとしたときには、既にその道は塞がれていた。
スタンビート。
それは特殊な形で起こるものだった。
想定はしていないわけではなかった。
それでも、慢心がゆえに、見落としていた。
選別して、攫ってきた孤児たちを魔力飽和状態にして、自我を奪った。
いわば、仮死状態の一歩手前。
何も起こらないはずだった。
自分は一体、どこで間違えたのだろうか。
奴を敵に回した時。孤児を攫った時。リアンと手を組んだ時。それとも、あの御方に会った時からだろうか……
考えても仕方のないことだった。
どうあがいても、待ち受ける運命は、たった一つなのだから。
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cf.)F:1~20 E:21~50 D:51~90 C:91~150 B:151~220 A:221~260 S:261~300
【今話の極小情報:】ステータス編に戻りまして、読者の皆様が忘れていらっしゃると思い、お節介を少し。
今回は、グリフィス王のステータスについて。
一応、グリフィス王は#45にて、”レイの父”として登場しております。
※既に亡くなっている場合、年齢は亡くなった年齢を記載
グリフィス王:
【名:グリフィス・バンデリオン 年齢:45】【MP:2500】
【ステータス】武力:220.B(240.A) 知力:230.B(260.A) 統率:190.B(210.B) 政治:200.B(250.A)
【サブステータス】兵法:180.B(200.B) 馬術:180.B(200.B)
陸戦:180.B(200.B) 海戦:180.B(200.B) 工作:160.B(200.B) 諜報:160.B(200.B)
農耕:160.B(160.B) 商業:160.B(180.B) 建築:170.B(180.B) 成長:220.B(230.B)
忠誠:--【固有スキル】--
【スキル] 剣術(B) 体術(B) 探索(B) 水魔法(B) 氷魔法(B) 亜空間魔法(B)
【お読みいただきありがとうございます!】
次話は、「偽装工作」です!
ふっと二言:「期間がだいぶ空いてしまいました……ブクマを外さないでくださった読者の皆様、大変ありがたい限りです。さて、修文完了報告も出していないのに、なぜ遅れたのか、、新作のプロットをいくつか考えていたからです、、今日は、新作も含めて、頑張ろう!!そう思っております!!」
~これからも、応援・お付き合い頂ければ、幸いです!~




