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#6:俺に、力を貸してくれ.....

本日もよろしくお願いいたします!

本日の一挙投稿は、この#6からスタートです!


【前話のあらすじ:村長であり、養父でもあったオルヴァンを失ったレイ。レイは、村の想いを背負い、村を変えていくことを決意する....】


(さっと一言:おはようございます!今日は中々に寒いですが、レイとしては、熱い展開をお届けしたいですっ!読者の皆様も寒さ対策を.....:評価・リアクションしてくださった方々、ありがとうございます!これからも、精進して参ります!!)


それでは、どうぞよろしくお願いいたします!



翌朝。

冬の霧が立ち込める薄暗い広場に、俺は村人たち全員を集めた。

十一歳の新村長。  

村人たちは、皆、その幼い顔立ちからは想像もつかないような、「風格(オーラ)」を感じていた。

静謐でありながら圧倒的な威圧感すら伴うレイの言葉を、村人たちは唾を呑み、一言も聞き漏らすまいと、真剣な眼差しで食い入るように見守っていた。

「皆さん、今日この場所に集まってくれたことに、心から感謝します……」

レイはそう言うと、深々と頭を下げた。

「オルヴァン前村長の旅立ちは、私たちにとって、言葉に尽くせぬほど大きな、そして、あまりにも無念な喪失でした。彼は、シレハの村そのものでした.....」  

俺の声は、以前よりも低く、重く、村の土壌の奥深くまで染み渡るような、特別な響きを持っていた。  

彼らを力で威圧しているわけではなかった。ただ、誰かを背負う覚悟を持った者は、その覚悟に見合った、言葉の重みを伴っていくのだろう、そんな風に思う。


「今日この瞬間から、私が正式にシレハ村の村長に就任します。……私は、この村をただ守り、現状を維持するだけの場所にする気はありません。私は、このシレハを、この大陸で最も豊かで、最も安全で、世界中のあらゆる王族や貴族たちが、地を這ってでも移住を願うような『楽園』に変えると、ここに誓います。……皆さん、私を信じて、ついてきてください」

レイはもう一度、深々と礼をした。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

広場には、深い静寂が訪れていた。  

皆、レイの「楽園」という言葉に耳を疑わずにはいられないとでも言いたげな表情を浮かべていた。


しかし、ほどなくして、その静寂を破り、一人の筋骨隆々とした大男が、一歩前に進み出た。  

この村の農業の責任者を長年務めてきたガストンだった。

その手は石のように硬く、大地と戦ってきた歴史が克明に刻まれていた。

「……レイ、いや、村長。あんたがどれほど凄い魔法使いで、知恵者かってのは、あの盗賊の時に嫌ってほど身に染みてる。だがな、農業ってのは、魔法を一発ぶちかませば済むような、甘いもんじゃねぇんだ。見てみろ、この痩せこけた土を。石ばっかりで、どれだけ耕しても翌年にはまた鉄みたいに固まっちまう。王都で、魔法の不老長寿の薬でも持ってきたってのか?この村は、税を納めるのがやっとの村なんだ....夢がでかいのはいいことだが、あまり、俺らに夢を見させないでくれ....」  

ガストンの言葉は、長年この不毛な大地に絶望し、それでも縋り付いてきた者だけが持つ、切実で重い実感に満ちていた。  

俺は不敵に、けれど彼ら一人一人の心の不安を温かく包み込めるように、穏やかに、かつ力強く微笑んだ。

「いいえ、ガストン。そんな都合の良い魔法の薬など、この世界のどこにも存在しません、きっと。必要なのは、魔法の力そのものではなく、魔法と自然の法則を解き明かす『正しい理論』と、それを実行に移す『工夫』だと俺は思います」  

俺は懐から、一晩かけて村の現状に合わせて書き上げた「シレハ村・土壌魔導改革案」の精密な図解を取り出した。

「まず、皆さんに理解していただきたいことがあります。私たちが今まで『不毛で、呪われている』とさえ思っていたこの大地は、実は世界で類を見ないほどの『栄養の宝庫』だということです。ただ、その栄養が、非常に強力で複雑な、いわば、「古代の魔法の鍵がかかった箱の中」に閉じ込められているだけなのです」  

俺は、土壌の中に微細な結晶となって蓄積されている「魔力的硬化」の概念を、村人たちの理解のレベルに合わせて、丁寧に噛み砕いて説明していった。

「農業において、土には『呼吸』が必要です。私が先人の教えと融合させて、考え出した先進的な農法では、土を深く、深く掘り返して空気と微生物を循環させることが不可欠です。ですが、この村の土は魔法的な呪縛によって固まっていて、普通の牛や馬の力では、鋤を通すことすら叶いません」

「だから、俺たちが魔法をぶっ放せばいいのか?一応、俺は土魔法(F)を持ってるぞ!」  

ガストンが、興味深げに身を乗り出して尋ねる。

「半分正解で、半分は違います。ガストン、あなたの持つ『土魔法(F)』。それは今まで、単に土を少し柔らかくしたり、石を退けたりするためだけに使われてきました。ですが、それを特定の『魔法的振動』――つまり一定の周波数で土壌の深層部まで流し込むことで、土の粒子同士を不自然に繋ぎ止めている、その硬い魔力結合の『核』を狙い撃ちして粉砕できるのです。無論、その制御は、俺が手伝いますから、うまくいくと思います。一応、――『魔法超音波破砕法』と名付けました。というのも、うまくいったら、他村に盗まれないように、技術連盟に、固有技術だと申請しに行くつもりですので....とにもかくにも、まずは、ガストン、貴方たちの土魔法の魔力が必要なんです....」

「なんだよ、そりゃあ……。さっぱり仕組みはわからねぇが、俺の魔力が、そんなすげぇことの役に立つってんなら……喜んで、腕を振るってやろうじゃねぇか!」  

ガストンの瞳には、絶望で曇っていたかつての面影は霞み、少年のように輝かしい希望の火が灯っているようだった。

「ニーナにも大きな役割を担ってもらう。君の精緻で繊細な魔力操作は、眠っている種子の内部にある生命力を、魔法的に『覚醒』させるのに不可欠な工程なんだ……」

ニーナは得意顔で、「いいわよ」と短く返事した。


「私たちはこれから、この村の農業に前代未聞の革命を起こします。冬が明け、四季が巡って、また春が来る頃には、この村の収穫量はこれまでの二倍、いえ、十倍を超え、王都の最高級品すら泥に見えるほどの、輝く小麦が大地を埋め尽くすでしょう。……私と一緒に、新しいシレハの歴史を、今ここから始めましょう!」

レイの言葉が、冬の冷たい空気を切り裂いて終わると同時に、広場からは耳を(つんざ)くほどの、爆発的な歓声が上がった。

「やってやろうぜ!」「村長……いや、レイ! 信じてるぞ! お前に命を預けるぞ!」

「オルヴァン様も、きっと空の上で笑って見てくれてるはずだ!」  

村人たちがレイを新たな指導者として心から認めたのは、レイがただ強大な力を持っているからではなかった。  

レイが、彼ら一人一人が持つ、自分たちですら気づいていなかった「ささやかな力」を誰よりも正しく評価し、それを「未来」という一つの壮大なパズルに組み込もうとしていたからであった。

村人たちは、その、どこまでも誠実な姿勢とよりよい未来を見据える姿勢に、新たな、そして揺るぎない希望を見たのであった。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

オルヴァンの墓がある丘の方から、春の訪れを微かに予感させるような、穏やかで優しい風が吹き抜けた。

(見ててくれ、父さん。父さんが守り、父さんが愛した人たちが、こんなに力強く、誇り高く立ち上がろうとしてるんだ。……父さんも、俺に、力を貸してくれ.....)

十一歳の新村長、レイ。  

その小さく、けれど誰よりも大きく見える背中に、村人たちはかつて誰もが弓に描いた奇跡的な収穫を、確かな現実として見ようとしていた。  

世界は、ますますmeに微笑んでいるようだった。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【今話の極小情報】:この世界のスキル等について。魔法系統は、火・水・雷・風・土・聖(回復もここに含まれる)・闇・氷・付与・亜空間の計10種。技術系統は、剣術・槍術・弓術・体術・投擲術・鍛冶・錬金・調理・探索・隠蔽・鑑定の計11種。また、この世界の魔導士(魔法を主として扱う人)のランク平均はD級。この世界の魔導士以外のランク平均はF級。—―すなわち、この世界は魔法頼りである。レイには、人のスキルランクが数値化して視える。F級は1~100、E級は101~300、D級は301~800、C級は801~1000、B級は1001~2000、A級は2001~5000、S級は5000~である。ちなみに、各スキル、1万1以上の数値、すなわち「∞」になると、特殊効果がつく。例えば、鑑定のランク数値が1万1以上になると、対象の項目がランクだけでなく、ランク数値が視えるようになり、かつ現実値と限界値の両方を視ることが可能になる。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【お読みいただきありがとうございます!】

次話は、内政チート第一弾!!

~高評価やブックマーク、感想等いただけるとありがたいです!~ 

「ふっと二言:レイの口調を統一するかどうかを割と悩みました....特に、大人たちへの接し方。威圧的な感じにするか、やわらかにするか、あるいは丁寧にするか....結局、どれも盛り込む感じで描くことにしました(笑)」 



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