#39:ゼファール
おはようございます!本日もよろしくお願いいたします!
本日の投稿は、この#39からスタートです!どうぞよろしくお願いいたします!
新作も投稿していますのでよろしければ、ご一読ください。
新作は今日(2/10)までに#10まで投稿です!投稿時間は、6,7,12,13,17,18,19,20,21,22時頃です!
~ブックマーク・評価・リアクション・感想等いただければ、執筆の励みになります~
「朝の一言:雪が降った日もありました。雨に降られた日もありました。けれど、いつも皆様の応援のおかげで温かい~というわけで、ぬるま湯を引き締めるために:寒波来て、会話もフリーズ、氷凍り。:今の空気、筆者が冷やしたんじゃないはずです。読者の方が凍らせたのではないでしょうか?笑ってやってください(泣)(逃)。そ、それとコミュ力のなさを寒波のせいにしたわけじゃないです……はい。」
【前話のあらすじ:ついに始まったラザリス学園の入学試験。筆記試験は9割に抑えて、魔法試験も上々!続いては……】
第三試験、武術試験。
魔法試験の余韻が残るまま、会場は屋外の演武場へと移された。
白砂が敷き詰められた円形の闘技場。
その周囲を取り囲む観覧席には、試験官だけでなく、各派閥の貴族や学園関係者の姿も見える。
「ぜってぇ、負けんじゃねえぞ!」「負けたら、貴様に居場所はないと思え」「圧倒しろ。それ以外は望まん」
そんな格式ばった貴族たちの声がそこかしこで子息・令嬢に伝えられていた。
「次は、武術か……」
レイは腕を組み、静かに息を吐いた。
この試験は魔法の使用が禁止され、身体能力と武器の扱いだけが試験の合否基準となる。
「シア・ヴィネグレット」シアの名前を試験官が口にする。
「シア、大丈夫か?」
「問題ないわ。さっさと終わらせるから」
呼ばれたシアは、軽やかに演武場へと降り立つ。
手には短い木剣が一本。背には簡素な弓。
対する相手は、筋骨隆々とした青年だった。
剣を構え、いかにも自信満々といった様子で鼻を鳴らす。
「女相手とは、ついてないな。手加減してやるよ」
シアは無言だった。
「試験開始!!」試験官の合図とともに、シアの姿が消えた。
次の瞬間、青年の足元が木剣ではらわれ、体勢が崩れる。
同時に、背後から放たれた一本の矢が、彼の喉元すれすれをかすめ、地面に突き刺さった。
「—―え?」
理解が追いつく前に、首元に木剣があてられる。
いつの間にか、シアは彼の背後に回り込んでいた。
「手加減感謝するわ」
試験官が目を見開く。
「……勝者、シア!」
歓声ともざわめきともつかぬ声が上がる中、シアは何事もなかったかのように武器を収め、演武場を後にした。
「瞬殺、か……」
「今の見たか? あの動き……」
周囲の評価など、彼女にはどうでもよかった。大したことではなかった。
しかし、大したことはその後に待ち受けていた。
「いやぁ……素晴らしい。実に素晴らしい戦いだった」
軽薄な拍手と共に現れたのは、一人の青年。
艶のある髪、整った顔立ち、派手な装飾の施された衣装。
「僕はベルー・ドンギヌス。第二王子ヘンリク殿下の派閥の一人さ」
そういうと、青年はにこやかに笑い、シアの前に立つ。
「君のような女性は初めて見た。強く、美しい。ぜひ、僕のそばに—―」
「興味ないわ」 シアは即答した。
「はは、照れなくていい」
ベル―が一歩、距離を詰める。
「僕となら、将来は安泰だ。地位も、名誉も――」
「近づかないで」 シアの声が低くなる。
それでも、ベルーは引かなかった。
むしろ、愉しむように口角を上げる。
「強気なところも、いい。だが、僕に手に入れられないものはないんだよ」
ベル―はシアの手首を掴んだ。
次の瞬間、レイが前に出ていた。
「……今まではな。その手を離せ。死にたいか?」
声は静かだったが、底に沈んだ怒りは、誰の目にも明らかだった。
「なんだ? 君は」
ベルーが嘲るように視線を向けた、その時。
「レイ! ベルー・ドンギヌス!両名、前へ!」
試験官の声が会場にこだまする。
ベルーが、笑った。
「……運がいいな。君。彼女の前で、格の違いというものを教えてやろう」
レイは何も言わず、演武場へと降り立った。
「試験開始!」
ベルーは剣を抜き、堂々と構える。
「安心しろ。殺しはしない。半身不随くらいで—―」
言葉の途中で、ベル―の視界が反転する。
「――がっ!」
腹に衝撃が起きて、呼吸が止まる。
「グフゥッ」 ベル―が地面を転がる。
レイは、踏み込んでいた。素早く、純粋な踏み込み。
立ち上がろうとしたベルーの顔面に、膝が入る。
続けざまに、肩、鳩尾、膝。
「ぐ、ぁ……!」
観覧席が、静まり返っていく。
反撃の隙を与えない。倒れれば踏みつけ、起き上がれば殴る。
剣を振るう暇すらない。
「……っ、やめ……!」
最後は、顎への一撃。
ベルーの身体が宙を舞い、白砂に叩きつけられた。
「……勝者、レイ」
試験官の声が、かすれていた。
レイは、倒れ伏すベルーを見下ろし、低く告げる。
「次は—―相手を選べ」
拍手はなかった。ただ、異様な空気が流れていた。
なにが起きたのか、誰一人として理解できなかった。
「ベル―が負けたのか……」「どうなってんだ、あいつ……」「未来でも見えんのか!?」
「抜剣すらしなかったぞ……」
レイは、何事もなかったかのように、演武場を後にした。
シアが、静かに息を吐く。
「……やりすぎよ」
「抑えた」 レイは短く答えた。
シアは嬉しそうに笑った。
学園の入学試験は終えた二人は、シレハ村に戻るため、馬車に揺られていた。
「意外に試験は面倒だったわ。貴族に配慮するなんて、レイらしくないわ」
「そうだな。だが、今、貴族と揉めるのは得策ではない。貴族の後ろには王族がいるからな」
「レイ、シリスはダメよ。私、嫌いだから」シアがむくれる。
「まあ、状況次第だな……」レイは苦笑した。
王都の門を出て、少し行ったところの林道を馬車で走っていた時のことだ。
レイは不意に言葉を切り、御者に停止を命じた。
「……シア、準備しろ。二十人だ」
その言葉が終わるよりも速く、四方八方の茂みから、音もなく黒装束の男たちが飛び出してくる。
彼らは一切の紋章を身につけていなかった。
どこの貴族の差し金か、あるいは国外の暗殺者か。とにかく、狙いはレイのようだった。
「レイ男爵、ここで死んでもらう。……貴様のような『異物』は、我らのために、排除しなければ……悪く思うなよ」
リーダーらしき男が低く告げると同時に、暗殺者たちが一斉に距離を詰める。
不意にシアの体が、独楽のように高速で回転した。
その遠心力に乗せ、彼女の指先に挟まれていた四振りの短剣が放たれる。
シュンッ、という風を切る鋭い音。
逃げ場を奪うように放たれた短剣は、暗殺者たちの眉間、喉、心臓を完璧に捉えていった。
シアが体を捻るたびに暗殺者が次々と地に伏していく。
「—―静寂よ、ここに降りよ。熱を奪い、息を止め、時を凍てつかせよ。触れた命を拒み、砕けるまで解かれることなき白き理の檻となれ――氷封結界」
地面を走る氷の波が、暗殺者たちの足元を掬い、そのまま上半身までを一瞬で包み込んでいく。
逃げようとした者、剣を振り下ろそうとした者。そのすべてが、苦悶の表情のまま、美しくも残酷な「氷の結晶」の中に閉じ込められる。
レイは、リーダー格の男の氷の結晶を部分的に解除した。
「……さて、お前だけは生かしてやってもいい。誰の差し金だ?」
レイが男に近づくと、男の心臓付近に仕込まれた「魔法陣」らしきものが異常に活性化していく。
男の瞳が、恐怖に染まる。 「なっ……これは、俺は聞いてな……!」
ドッ、という鈍い音が男の体内から響いた。
それは、捕縛されそうになった瞬間に作動する、いわば「自動自爆魔法」だった。
暗殺者たち自身も知らされていなかった、使い捨ての捨て駒としての証。
レイは素早く、部分的に解除した氷の結晶を修復する。
暗殺者全員の体が内側から弾け飛び、凄まじい爆炎が氷の結晶の中で沸き起こる。
しかし、レイの展開した氷の結晶は、その熱量をものともせず、爆風も完全に遮断した。
レイが指を鳴らす。
氷の結晶が、キラキラと輝きながら霧散していく。
氷の欠片は、午後の光を反射して、まるで何事もなかったかのように美しく宙に溶けていった。
「……徹底しているな」
「ただの様子見かしら?」
「だろうな……また来るだろう……」
シレハ村に戻ると、村の入り口で、ロブが待っていた。
かつての水魔法使いの少年も、今ではレイの筆頭執事兼、村の次期村長としての風格を身につけつつあった。
「レイ様、おかえりなさいませ。……試験、いかがでしたか?」
「順当にいけば、S1クラスだ。……それより、何か変わったことはなかったか?」
ロブの表情が、少しだけ曇った。
「はい。実は……レイ様宛に、一通の手紙が届いております。国境沿いの商人ギルドを経由して届けられたものです」
ロブが差し出したのは、荒々しい筆致で宛名が書かれた、質の良い革封筒だった。
レイがその封を切り、中に収められていた羊皮紙を取り出す。
一番下に記された差出人の名は、「ゼファール」だった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【今話の極小情報:】
今回、ご紹介するのは、魔法の詠唱について。
レイは前話で、セドリックより短い詠唱で高い威力の魔法を披露しましたが、レイの場合、前世での化学結合や自然現象を、現代知識として理解しているので、詠唱が短いものの、正確で高密度の魔法を放つことができます。端的に言うと、イメージですね。ただ、この世界の方々は、化学結合だの、自然現象だのを理解することができないので、レイにしか実質使えないですが……
【お読みいただきありがとうございます!】
次話は、潜入!!
~高評価やブックマーク、感想・リアクション等いただけるとありがたいです!~
ふっと二言:「セドリックとベル―について、少し。一応、二人は今後も少し出てきます。筆者的に二人のこれからを言うと、セドリックは改心してレイの子分的になりますが、ベル―は……筆者は、ベル―、嫌いです!強引に迫る人はちょっと……筆者は迫られたことも迫ったこともないですが……新作も含め、これからもお付き合いのほど、よろしくお願いします!」
――――――――【他作品も全力執筆中!】
更新をお待ちいただく間に、こちらの作品もご一読いただけると幸いです!
『夢のストーリーを現実で再現しようとしたら、天下を獲る必要性が出てきた件』
「俺の夢ってこんなんだっけ?セリフとかパターンとかそんなんで満足する、ちんまいやつだったか?いいや、違う!もっと壮大で、ロマンティックで、圧倒的な、そう、天下統一だったはずだ!前世で、内は制覇した。今世は外を獲りに行かなければ……!!」
【戦×成り上がり×勘違い×自主的追放×無双×領地経営】—―内(家)に逃げた男が外(世界)に飛び出す英雄譚!
・『【武の極致】と【フェンリル】の力を以て、三つの世界で覇者となった俺』
「動かないだけの者に何がわかる。動けば変わる。今はそう信じろ。」
【戦×無双×成長】 →天下を争う軍記モノです!※後々、魔法や異世界系に変わっていきます!
※初期、1話あたりの字数1万字ちょっと、と長すぎるので、#1-52~からご一読いただけると、字数的にも、よりスムーズかなと……
・『生涯、病室だった俺、異世界で自由な体を手に入れたので、天下を獲ることにした』
「窓の外を眺めるだけの日々は終わった。今度は俺が、世界に眺められる番だ。」
不自由を極めた過去を、最強の自由で塗り潰す!
【戦×無双×成り上がり×領地経営】 ――病室を抜け出した俺の、天下取りが今始まる。
⇧※本作です。これからもお付き合いのほど、よろしくお願いいたします!




