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#29:お礼をしないわけにはいかないから

おはようございます!

ー高評価・ブックマーク・多種多様なリアクション、ありがとうございます!!すごく、執筆の励みになります!ー


本日もよろしくお願いいたします!

本日の投稿は、この#29からスタートです!


~引き続き、ブクマ・評価・リアクション・感想等、よろしくお願いいたします。「感想」はどんなことでも構わないです。「ミス」等の指摘でも、なんでも自由に使っていただけたらと思います~


朝の一言:「筆者の朝ご飯は、ショウガをうんと詰め込んだスープです!人それぞれ温まり方は違うと思いますが、この小説が皆様をあっためてくれることを願って(自称かっこいいこと言ってますが、平たく言うと、本日も読んでいただき、ありがとうございます!!)……今後とも、応援のほど、よろしくお願いいたします!」


【前話のあらすじ:ガラム村の視察を終えた一行。王は、レイは、何を想うのか……そして不穏な……】


「前書き」が長くなりましたが、本日もどうぞよろしくお願いいたします!

「恐れながら、陛下……」 レイは静かに口を開いた。


「私のような一介の大村長が頻繁に王宮へ出入りしては、周囲の貴族たちが黙ってはおりません。王宮の華やかな宴席に、私のような地方の者が顔を出すこと自体、ある種の事件になるでしょうから」

王の目がわずかに細まる。

レイの言葉には皮肉も怯えもなく、ただ、権威に対する敬意と、自らの立場に対する確固たる自覚が滲んでいるように思えた。

「何より、陛下。王国の権威を真に重んじるならば、私が軽々しく王都を歩くべきではないのです」

レイの瞳が月光を反射し、冷たい光を放った。

「権威とは、距離と節度によって守られるもの。それを崩せば、民の信頼も、秩序も、簡単に揺らぎます。私のような者が、安易に宮廷の華やかな通路を歩くことは、見えない混乱を招くことになります」


ルーヴィンス王は黙ってレイを見つめた。

鋭いながらも、愛情にも似た温かさが宿った眼差しだった。

夜風に吹かれて、レイの髪がわずかに揺れる。

光は塔の窓から差し込む明かりと混ざり、レイの背中を柔らかく照らしていた。

「……それでも、どうしてもとおっしゃるのであれば」 レイは言葉を続ける。

「また、ここへお越しください。今回以上の『平穏』をご用意して、お待ちしております」

言葉の一つ一つに、村を守る者としての誠意と、訪れる者への敬意が込められていた。

王都の厳格さではなく、村の静寂と秩序の中で紡がれる、穏やかでありながらも確かな約束。


ルーヴィンス王は一瞬、沈黙した。

風がタワーの隙間をすり抜け、遠くの渓谷を揺らしている。

夜の闇が深く、星々が淡く瞬く中、ルーヴィンス王の心の中に、かすかな羨望が生まれていた。

この若者は、権力の渦に呑まれず、己の信念と技術だけで、民を守り、未来を築くことができるのだ、と。


やがて、ルーヴィンス王は豪快に笑った。

「はっはっはっ! まったく……食えぬ男だ、レイ!」

笑い声は、怒りや軽蔑の類ではなかった。

「……面白い。そなたの爪垢を、我が王宮で煎じて飲む必要があるようだな」

ルーヴィンス王はそう呟き、微かに肩をすくめる。


レイは、塔の光と夜風に包まれ、深く息をついた。

眼下には、静かに光を放つガラム村の全景。

五つの村が連なり、塔が天を突き、夜の闇に宝石のように輝いていた。

一瞬、目を閉じる。

胸の奥に、確かな達成感と、静かな緊張感が混ざり合っていた。



レイは静かに、自らの決意を胸に刻んだ。

まずは、この村を、そしてここに生きる人々を、守ること。

それこそが、自らの望む天下の形なのだ、と。


一行が次々と馬車に乗り込み、村を後にしていく中、最後に残ったのは第2王女のシリスだった。

護衛たちが一歩引いた隙を突き、彼女は軽やかな足取りで、まるで忍び歩くようにレイのすぐそばまで近づく。

その瞳は、王女としての威厳を宿しながらも、どこか少女らしい熱を帯びていた。


「レイ……」

その声は夜風に乗って耳元に届く。

微かに震え、柔らかく、それでいて確かな意思が籠っていた。

「シリス殿下、お気をつけて。王都までの道のりは、決して短くは――」

言葉がまだ半ばで途切れる。

レイが振り向くより早く、シリスは小さく背伸びをし、彼の頬にそっと唇を寄せた。

柔らかく温かい触感。

花の香りを帯びた彼女の髪の匂い。

心臓が跳ね上がる音だけが、はっきりと胸に響いてくる。

意識のすべてがその一瞬に集中し、理性は一切の判断を放棄したかのように麻痺していた。

「……また、来るわね。お礼をしないわけにはいかないから」

シリスは顔を真っ赤にしながら、ぎこちなくも力強く微笑んだ。

王女としての威厳を纏ったその瞳には、恋を煩った少女の熱が見え隠れしていた。


しかし、そんな甘く、静謐な時間は、長くは続かなかった。

突如として、背後から降り注ぐ殺気に満ちた叫びが降り注ぐ。


「――あ、あ、あんた! 何してんのよぉぉぉっ!!」

物陰からニーナが飛び出してくる。

眉がつり上がり、頬は紅潮し、口先を尖らせている。

「レイ! あんた、今、鼻の下伸ばしたでしょ! デレデレしてたでしょ!」

その声は村の静寂を切り裂くように響き、夜の空気を震わせた。

「違う、ニーナ、これは殿下が急に……」

レイは必死に言い訳を試みるが、言葉は宙を泳ぎ、ニーナの怒気の前では意味をなさなかった。


さらに、レイの背後に、冷ややかな殺気が迫る。

先ほどまであったはずの夜のぬくもりが、音もなく奪われていく。

まるで、見えない氷の膜が周囲を覆ったかのようだった。

シアだった。

彼女は音もなく歩み寄り、シリスの正面に立った。

レイは、呼吸をするたび、肺の奥が冷やされるような錯覚を覚える。

長い影が地面に落ち、まるで断頭台の刃のように、二人の間に横たわった。


「シリス王女殿下」

その声は、あまりにも静かだった。

怒鳴るわけでも、声を荒げるわけでもない。だが、その静謐さが、逆に底知れぬ威圧感を生んでいた。

「今の行為は、教育上も、外交上も――認めるわけには参りませんわ」

シアが一歩、距離を詰める。

「いかに王女殿下といえど」

淡々と、刃を研ぐような口調で言葉が紡がれていく。

「我らがフィルス大村の……大村長ともあろうお方に、そのような不躾で無粋な真似をなさるのでしたら……」

「……次からは『害虫駆除』の対象として、即座にこの村から排除させていただきますわ。たとえ陛下がお許しになっても――私の手で、です」

その宣告には、一片の冗談もなかった。

「排除すればいいわ」

シリスは、そう、あっさりと言った。

「……それが『大村長』に対する無礼だと言うならね」

「でも、私が好きなのは『レイ』よ。肩書きでも、立場でもない。大村長だからじゃないわ」

言葉は、まっすぐだった。

「……だから、誰が何を言おうと構わないわ」

その宣言を残し、シリスは勝ち誇ったような微笑を浮かべて、迷いなく馬車へと乗り込む。

扉が閉まり、車輪が回り出す。夜の闇の中へ、その姿は消えていった。

「あ、あの女……!言ったわね!絶対許さないんだから!」

ニーナが歯を食いしばり、拳を震わせる。

「レイ……徹底的な防衛計画の見直しが必要よ」

シアは少し怒ったようにレイに詰め寄った。

平和なはずの村に「情熱」という名の炎が、燃え上がった瞬間だった。


――同時刻。バンデリオン王国。

分厚い石壁に囲まれた玉座の間は、夜にあって、少し薄暗く、松明の炎だけが重苦しい影を揺らしていた。

その静寂を破るように、羊皮紙を束ねた重厚な書簡が、乱暴に宙を舞い、床に叩きつけられる。

玉座に座すのは、バンデリオン王国国王 ムルゼフ・バンデリオン。

贅肉の塊でできた巨体を玉座に預け、獣のような眼光で眼下を睥睨(へいげい)していた。


「ゼファールよ」

低く、地鳴りのような声が玉座の間に響く。

それだけで、居並ぶ重臣たち下卑た笑みを浮かべている。

「……例の『フィルス大村』、そしてレイと名乗る小僧の報告は、すでに受けている」

王は足元の書簡に一瞥もくれず、続ける。

「奴は、我が王国の威信を汚した。それだけではない。どうやら、ルーヴィンスの心臓のようだ……」


ムルゼフが、玉座の肘掛けを、ぎしりと軋ませながら掴む。

「もはや、村の長として見過ごす段階ではないであろう。あの小僧の持つ『技術』――それは、我が軍の力として収奪せねばならん。意味は分かるな?」

技術。

それはこの国において、富と同義であり、支配と同義であり、奪うべき戦利品を意味していた。

ムルゼフは、不敵な笑みを浮かべる。

「全権を与える」

ムルゼフの声が、冷たく響く。

「我が王国の重装騎兵、魔導重装歩兵を解き放て。それと—―『魔獣部隊』もだ!」

重臣の中から、息を呑む音が漏れる。

「あの村を根こそぎ蹂躙せよ。殺しても構わんが、できることなら、ルーヴィンスの心臓であるレイという者は捕らえ、その知恵のすべてを吐かせてから殺せ」

「ゼファール、よいな?」

その一言は、裁定だった。

ゼファールは、ゆっくりと頭を垂れた。

「……御意に」 声は低く、冷静だった。

「このゼファール、敗北はございません。あのフィルス大村、そしてレイとやらを、陛下に捧げて御覧にいれましょう」

ゼファールはもう一度深く頭を下げると、玉座の間を去っていった。

軍靴が石床を打つ音が、規則正しく、そして不気味に玉座の間から遠ざかっていく。

その音は、まるで行軍の予兆のようであった。

レイが築き上げた未来に、かつてない規模の軍勢が、闇の向こうから迫ろうとしていた。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

cf.)F:1~20 E:21~50 D:51~90 C:91~150 B:151~220 A:221~260 S:261~300

【今話の極小情報:】バルド(ガラム村のドワーフ)とムルゼフ(バンデリオン王国の国王)のステータス。


バルド:【名:バルド 年齢:35】【MP:50】【ステータス】武力:120.C(130.C) 知力:120.C(120.C) 統率:160.B(220.B) 政治:80.D(150.C)【サブステータス】兵法:50.E(50.E) 馬術:70.D(90.B) 陸戦:140.C(150.C) 海戦:120.C(180.B) 工作:230.A(260.A) 諜報:170.B(180.B) 農耕:100.C(140.C) 商業:120.C(160.B) 建築:250.A(270.S) 成長:130.C(160.B) 忠誠:100【固有スキル】--【スキル] 投擲術(D) 調理(E) 探索(E) 鍛冶(S) 錬金(D)


ムルゼフ:【名:ムルゼフ 年齢:38】【MP:100】【ステータス】武力:10.F(20.F) 知力:20.F(30.E) 統率:30.E(50.E) 政治:5.F(10.F)【サブステータス】兵法:20.F(40.E) 馬術:10.F(20.F) 陸戦:10.F(10.F) 海戦:10.F(10.F) 工作:100.C(140.C) 諜報:10.F(10.F) 農耕:10.F(10.F) 商業:50.E(60.D) 建築:10.F(10.F) 成長:5.F(10.F) 忠誠:--【固有スキル】--【スキル] 隠蔽(F)

【お読みいただきありがとうございます!】

次話は、ゼファール襲来です!!


~高評価やブックマーク、感想・リアクション等いただけるとありがたいです!~ 


ふっと二言:「シリスがレイの頬にキスをするシーン、いかに甘く、かつシアにバレた時の絶望感を出すか……。悩みすぎて、気づいたら自分の頬を指でツンツンしながら虚空を見つめていました。家族に見られなくて本当に良かったです(笑)……引き続き、応援のほど、よろしくお願いいたします!新作も連載中ですので、よろしければ、ご一読ください!」


――――――――【他作品も全力執筆中!】

更新をお待ちいただく間に、こちらの作品もご一読いただけると幸いです!


・『生涯二十時間睡眠だった俺、夢で組んだ必勝パターンで異世界を攻略する ~無能と蔑まれた公爵家三男の、理想再演・無双譚~』

「夢を追う。non。夢を負うんだ。夢が現実だったらいいのに。non。現実を夢にするんだ。TOPを狙う。non.non.non。そんなの後からついてくる。狙うべきはTOP(テクニカル・オキザリ・プレイ)だろ??」

夢と共に最強に!

圧倒的な「勘違い(相互)」×「成り上がり」×「無双&夢想」×「最強」!!


・『【武の極致】と【フェンリル】の力を以て、三つの世界で覇者となった俺』

「動かないだけの者に何がわかる。動けば変わる。今はそう信じろ。」

【戦×無双×成長】 →天下を争う軍記モノです!※後々、魔法や異世界系に変わっていきます!


・ロード・オブ・ザ・キャット ~「人生」取り戻したいだけの猫(元人間)が、無自覚に神獣へ進化した結果、人類最強が首輪を持って泣きついてくる件。これって営業妨害ですか? 

「可愛いからって舐めないで。僕の敏捷、150はあるから。」

圧倒的な「猫の可愛さ」×「人類の勘違い」×「チート無双」! 僕を人間に戻せる(評価をくれる)のは、読者の貴方だけです。


・『生涯、病室だった俺、異世界で自由な体を手に入れたので、天下を獲ることにした』

「窓の外を眺めるだけの日々は終わった。今度は俺が、世界に眺められる番だ。」

不自由を極めた過去を、最強の自由で塗り潰す!

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⇧※本作です。これからもお付き合いのほど、よろしくお願いいたします! 


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