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#27:大したことではありません

【ブクマ・リアクション増加!感謝です!!執筆の励みになります!!!】


本日もよろしくお願いいたします!

本日の投稿は、この#27からスタートです!どうぞよろしくお願いいたします!


~ブックマーク・評価・リアクション・感想等いただければ、執筆の励みになります~


~引き続き、ブクマ・評価・リアクション・感想等よろしくお願いいたします~


【前話のあらすじ】:「モントス村を訪れた一行は、温泉に食事と、憩いの場に旅の疲れを癒すのであった。次なる地は……」

峻険な岩山が、夕闇に染まり始めていた。

モントス村の芳醇な食と心地よい温泉を後にした一行の馬車は、「ガラム村」へと差し掛かっていた。


「……次は、岩山か。温泉に緑と続いたが、流石にこの先は不毛の地であろうな」

馬車の窓から外を眺め、第一王子アーノットが鼻で笑った。

「ドワーフが村長の村など、埃っぽくて無骨なだけだ。王族が足を運ぶような場所ではない。おい、レイ。あまりがっかりさせるなよ。私の忍耐にも限界があるからな!わかったか?」

レイは御者台の隣で、静かに笑みを浮かべるだけだった。

「アーノット殿下。価値というのは、表面的な美しさだけではありません。力強さ、そして機能美。それらが極まった時、人はそれを『芸術』と呼ぶようになります」

「お前ごときが、この俺に説教を垂れるというのか!生意気な!今すぐその首、刎ねてやろうか!!」

「アーノット、そなた、降りてもよいぞ?レイにフィルス大村の一切を任せたのが誰か忘れたのか?」

ルーヴィンス王が静かに告げた。 場が静寂に包まれる。

「降……降りませぬ……」アーノットが小さく呟く。

「聞こえぬ。もっとはっきり言え。態度で示すのだ」

「レイよ、すまなかった。ガラム村も楽しみであるぞ!」

アーノットが震えながら声を張り上げる。

「勿体なきお言葉にございます、殿下。あまり御無理をなさらず、お過ごしくだされば幸いでございます」

「レイよ、醜態をさらした。すまんな」

「いえ、お気遣いなく。他言は致しませぬゆえ……」 レイはそう言うと、馬車に遮音のために隠蔽を施す。


ルーヴィンス王は深く頷くと、アーノットに向き直った。

「そなたは、感情に激されやすい。その癖を直さねば、そなたに王位を預けるわけにはいかぬぞ」  

「父上……」

「よいか、わしはもう長くはない。そなたがしっかりせねば、王位継承権争いが起きる。よいか。慎ましく、健やかに、そして我慢強くあれ。父のように、民を重んじる偽善者にはなるな。よいな?」

アーノットは小さく首を縦に振った。


馬車が最後の手彫りのトンネルを抜けた時、ガラム村の輪郭がようやく浮かび上がる。

「――っ!? な、なんだ、あれは……」 アーノットの言葉が、喉の奥で凍りついた。

ルーヴィンス王や王妃、そしてカリスティアやシリスも、一斉に窓に身を乗り出した。


視界を遮っていた岩壁が晴れた先。

そこには、かつての「斜面に張り付いた貧しい村」の姿は微塵もなかった。

切り立った断崖絶壁。その灰色の岩肌を貫くように、巨大な鋼鉄の柱――H鋼が、何本も、何十本も打ち込まれていた。



それはまるで、山の本来の姿がこうであるかのように、自然なもののようであった。

無骨でありながら秩序を感じさせるその骨組みに支えられ、いくつもの塔が岩壁に沿って空へ、空へと伸びている。

「建てられている」というより「生えている」という表現がふさわしいように思えた。

岩山と一体化し、重力に抗いながら、文字通り垂直にそびえ立つ都市構造物。

空へと高く、「垂直」にそびえ立ついくつもの塔の鋼鉄とガラスが、夕陽を浴びて黄金色に輝いていた。


「ガラム村……垂直都市『ガラム・タワー』へようこそ」

レイの声が誇らしげに響いた。

それは、自然を破壊するのではなく、岩山の一部として共生し、重力を克服した現代工学の結晶であった。


「レイよ……」

ルーヴィンス王は、首が痛くなるほど上を見上げながら、そびえ立つ塔群を指さした。

「まさか、この『塔』の頂まで、人の足で登れと言うのではあるまいな?」

冗談めかした口調でルーヴィンス王はレイに言った。


地上から見上げるだけでも、村の主要施設が存在するのは遥か上空。

おおよそ四十メートル以上はあるだろう。

「無論、そのようなことはいたしません」

レイは即座に首を横に振った。



「自然の力を利用するのです。普段は、自動で魔力が装填される仕組みになっておりますが、今回は特別に、景色を十二分(じゅうにぶん)に楽しみながら、登頂していただくために、我々で魔力を装填いたします。」

そう言うと、レイは隣に視線を送った。 

「ニーナ、悪いが頼めるか」 「……やっぱり、そう来ると思ったわ」

ニーナは肩をすくめがら、朗らかな笑みを浮かべた。

「出力は、通常の半分くらいでいいかしら?」

「ああ、それで頼む」

ニーナの案内に従って、一行は、岩壁に沿って設置された透明な円筒形の装置へと向かっていく。

小人族が鍛え上げた魔導強化ガラス製のカプセル—―ガラム村にしか存在しない、風圧式昇降機(エア・リフト)

外界がすべて見渡せるその構造は、美しい反面、どこか心許なく映った。


王族たちは互いに顔を見合わせ、恐る恐るカプセルの中へと足を踏み入れる。

「……こんな透明の箱が、宙に浮くはずが――」

アーノットが言い終える前に、低く、心地よい風の唸りがカプセルの底部から立ち上る。

「—―風よ、巡れ。淀みを払い、清新を運べ……」

ニーナの声が、澄んだ響きを帯びる。

「――大気循環制御ウィンド・マネジメント!」


ふわり。 まるで大きな手に持ち上げられるかのように、カプセルは重力の束縛を脱していく。

「あ、あああぁぁぁっ!?」 アーノットは悲鳴を上げ、反射的に床へとしがみついた。

一方で、カリスティアは恐怖よりも好奇心が勝ったらしい。目を輝かせ、ガラスに額が触れそうなほど身を乗り出す。

「凄いわ……! 地面が……まるで、神のようだわ!」

「流石、レイね。山の緑もとてもきれいだわ。ローヌ村やモントス村も見下ろせるのね!」

シリスが、はしゃぎながら楽しそうな声を上げる。


1分後。一行は、地上四十五メートルのメインテラスへと到達した。

扉が開いた瞬間、岩山の隙間を吹き抜ける清冽な風が、一行を迎え入れる。



眼下には、ローヌ村やモントス村の全景が広がっていた。


なにより、このテラスのある不毛だと思われていた岩山は、今や無数の窓から灯りが漏れる、光の摩天楼へと生まれ変わっていた。

岩と鋼と魔法が織り成す、人と自然の新たな共存の形が、そこに確かに存在していた。


テラスから案内された先は、ガラム・タワーの最上層に設けられた、賓客専用の居住エリアだった。

岩壁に埋め込まれたとは思えぬほど静かで、外界の風音すら耳に届かない空間。

磨き上げられた石床と、柔らかな魔導灯の光が、長旅で強張った身体を自然と緩ませていく。


「……レイ」

王妃リーゼロッテは慎重に一歩下がり、部屋の隅に据えられた“それ”から目を離さぬまま、声を落とした。

「これは、何ですか。この……白く、光り輝く石の器は」


それは、ドワーフたちが幾度も研磨を重ね、完璧な曲面に仕上げた水洗式トイレ(セパレート・サニタリー)だった。


「……シア、説明を頼む」

レイに促され、シアが小さく息を吸って前に出る。

彼女は、どこか頬を赤らめながらも、王妃の前に立ち、丁寧に言葉を選んだ。

「これは……不衛生な環境を根絶するための設備です。どうぞ、こちらのレバーを引いてみてください」

王妃は一瞬ためらい、意を決したように銀色のレバーに指をかける。

ゆっくりと押し下げた、その刹那だった。

ゴォ、と低く澄んだ音とともに、器の内側で水が渦を巻く。

「聖魔法で浄化されているのね……なんてこと……」


聖魔法で極限まで浄化された水が、器の内を一瞬で洗い尽くし、そのまま渦は下部へと沈んでいく。

そして、渦が収まった直後、清涼な魔導香の匂いが広がってくる。

湿り気も、淀みも、忌まわしい記憶すら消し去っていく、そんな澄んだ匂いだった。


「……目にしなければ、信じられなかったわ」

リーゼロッテは、思わずそう呟いていた。

「王宮でさえ、排泄物の処理は長年の悩みです。香水で誤魔化すのが精一杯……。それなのに、ここは……」

ゆっくりと周囲を見回し、言葉を失う。

「まるで、汚れというものが、最初から存在しないかのようだわ」

シアが丁寧に言葉を紡ぐ。

「病の多くは、水と排泄の不備から生まれます。だからこそ、フィルス大村では、身分を問わず、全戸にこのシステムを導入しております」

その言葉を聞き、ルーヴィンス王は口を閉ざした。

脳裏に浮かぶのは、自らの王宮。

豪奢な装飾、広大な回廊、だがその裏で人知れず積み重なる不浄と病。

その王宮の伝統的とも言える悩みを、この不毛な大地のはずの村は打ち砕いたのであった。

彼らが「野蛮」と決めつけていたドワーフの村は、「インフラ」という根幹において、すでに王都を数百年単位で追い越していたのである。

その事実が、静かに、ルーヴィンス王の胸を打っていた。


チュンチュン。

それは一体のメロディルであった。

メロディルは、魔力を豊富に含んだ果実を主食とする鳥の魔物で、人間に非常に友好的で、知能が高く、人語を解することで知られる小鳥であったが、頭数が少なく、稀少な魔物であった。

メロディルが、いわば、”伝書鳩”のような役割を担うには、手なずけることが必要であったが、それには、魔力を豊富に含んだ果実を与え、さらに、「清廉」でなければならなかった。

というのも、メロディルは、精霊の下位種でもあり、澄んだ場所にしか住まないからである。

「なんと……メロディルがこの村にいるとは……」

「チュンチュン~」メロディルは鮮やかな蒼い羽を広げ、レイのもとへと向かってくる。

「なんと……蒼い羽が見られるとは……メロディルは、個体によって、羽の色が様々であるが、蒼い羽は絶滅したと思っていた……」


ルーヴィンス王の驚嘆の声とは裏腹に、レイの顔が少し暗くなった。

「レイ、どうかしたのか?」アーノットがレイをじっと見つめる。

レイが、メロディルに走り書きを渡す。

「チュン~」鳴き声と共に、メロディルがビサ村の方へと去っていく。

「……大したことではありません。それでは、この村の中核にご案内いたします」

夕日が落ちかけ、夜が始まろうとしていた。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

cf.)F:1~20 E:21~50 D:51~90 C:91~150 B:151~220 A:221~260 S:261~300

【今話の極小情報:】カリスティア(第1王女)とリーゼロッテ(王妃)のステータス。

カリスティア:【名:カリスティア 年齢:17】【MP:700】【ステータス】武力:100.C(160.B) 知力:90.D(100.C) 統率:120.C(200.B) 政治:100.C(120.C)【サブステータス】兵法:70.D(100.C) 馬術:170.B(200.B) 陸戦:120.C(160.B) 海戦:110.C(150.C) 工作:30.E(60.D) 諜報:70.D(80.D) 農耕:30.E(40.E) 商業:20.F(70.D) 建築:5.F(70.D) 成長:90.D(100.C) 忠誠:--【固有スキル】--【スキル] 剣術(E) 火魔法(D) 調理(E) 探索(E)


リーゼロッテ:【名:リーゼロッテ 年齢:42】【MP:400】【ステータス】武力:30.E(30.E) 知力:90.D(100.C) 統率:60.D(70.D) 政治:40.E(70.D)【サブステータス】兵法:60.D(80.D) 馬術:5.F(10.F) 陸戦:5.F(10.F) 海戦:5.F(5.F) 工作:20.F(40.E) 諜報:5.F(10.F) 農耕:40.E(50.E) 商業:30.E(70.D) 建築:5.F(5.F) 成長:10.F(20.F) 忠誠:--【固有スキル】--【スキル] 聖魔法(F) 調理(C)

【お読みいただきありがとうございます!】

次話は、不穏な影の正体が!!

~高評価やブックマーク、感想・リアクション等いただけるとありがたいです!~ 


ふっと二言:「リーゼロッテ様、ついに禁断の(?)水洗トイレに出会ってしまいました。いつかはこの『インフラの暴力』を描かねばと思っていたのですが、いざ書くとなると『渦を巻く音』の擬音に結構、悩みました。ゴォ、で合ってますかね?(笑)ー新作も連載中です!よければ、ご一読ください!」

――――――――【他作品も全力執筆中!】

更新をお待ちいただく間に、こちらの作品もご一読いただけると幸いです!


・『生涯二十時間睡眠だった俺、夢で組んだ必勝パターンで異世界を攻略する ~無能と蔑まれた公爵家三男の、理想再演・無双譚~』

「夢を追う。non。夢を負うんだ。夢が現実だったらいいのに。non。現実を夢にするんだ。TOPを狙う。non.non.non。そんなの後からついてくる。狙うべきはTOP(テクニカル・オキザリ・プレイ)だろ??」

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圧倒的な「勘違い(相互)」×「成り上がり」×「無双&夢想」×「最強」!!


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・『【武の極致】と【フェンリル】の力を以て、三つの世界で覇者となった俺』

「動かないだけの者に何がわかる。動けば変わる。今はそう信じろ。」

【戦×無双×成長】 →天下を争う軍記モノです!※後々、魔法や異世界系に変わっていきます!


・『生涯、病室だった俺、異世界で自由な体を手に入れたので、天下を獲ることにした』

「窓の外を眺めるだけの日々は終わった。今度は俺が、世界に眺められる番だ。」

不自由を極めた過去を、最強の自由で塗り潰す!

【戦×無双×成り上がり×領地経営】 ――病室を抜け出した俺の、天下取りが今始まる。

⇧※本作です。これからもお付き合いのほど、よろしくお願いいたします! 


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