#23:これが僕の考える『共生』の完成形です
おはようございます!本日もよろしくお願いいたします!
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~ブクマ・感想・評価・リアクション等、引き続き、どうぞ、よろしくお願いいたします!!~
朝の一言:「皆さま、おはようございます! 最近は朝晩の冷え込みが厳しいですね。体調を崩されないよう、温かいココアやコーヒー等でも飲みながら、レイたちの熱い村づくりを楽しんでください!もし面白いと感じたら、ページ下の【★】で応援いただけると、筆者の冷えも改善されます!」
【前話のあらすじ:ビザ村で軍備を整え、モントス村を古風につくりかえ、旅館や温泉、食事処をつくっていったレイ。次なる先は……】
南の玄関口、ローヌ村。
広大な麦畑と緩やかな丘陵に囲まれたこの地は、先人の伝統を重んじる古き良き村だった。
しかし、その静寂は「改革」という名の旋風によって、今まさに、塗り替えられようとしていた。
村の中央広場。
温厚な笑みを浮かべるも、その瞳には、明確に拒絶の色が浮かんでいた。
村長ハワードは、目前に立つ少年レイを静かに見つめていた。
ハワードの背後には、不安と期待が入り混じった表情の村人たちが数百人集まっていた。
「レイ殿。貴殿の成し遂げた功績は聞き及んでいる。だが、我が村は先人の誇りとともに生きてきた。種族を混ぜ、文化を溶かし、最後には『伝統を重んじるローヌ』が消えてしまうのではないか……。その懸念を拭えぬ限り、私は首を縦に振ることはできん」
ハワードの問いは重かった。
それは単なる排外主義ではなく、自分たちの築いてきた”証”を守りたいという切実な願いだった。
レイは、村人たち全員を見渡せる高い石壇の上に立った。
「ハワードさん。そしてローヌ村の皆さん。僕が目指しているのは『統合』ではありません。むしろその逆です」
レイの声は、魔法による拡声を使わずとも、不思議と村の隅々まで響き渡った。
「皆さん、考えたことはありますか?『共存』と『共生』の違いを。貴方方は、『共存』を否定していますが、僕が目指しているのは、『共生』です」
レイはそう言うと、軽く息を吐いた。
「あなたたちの親がいなければ、あなたたちはこの世にいません。村人が一人もいなければ、村長も村人もここにはいません。同じように、夢がなければ、希望は生まれません。希望がなければ、明日へ足を踏み出すことはできないはずです。『共生』とは、『一蓮托生』、すなわち、運命すらも皆で背負い、全員が同じ色に染まることではありません。『一心同体』、それぞれが異なる役割を持ちながら、心を通わせ、お互いを思いあって、鳴動することです。『共生』は伝統を妨げるものではありません。貴方方が築き上げてきた『伝統』という『誇り』、僕はそれを奪うのではなく、その『誇り』を世界に誇れる形へと変えてみせます。『心』を通わせることができれば、いずれ、『天下』に『誇り』が生まれるはずです。貴方たちが築き上げてきた『誇り』を礎にして。」
レイの言葉には、現代知識の合理性だけでなく、この世界に生きる一人の開拓者としての魂が宿っていた。
ハワードは長い沈黙の後、深く息を吐き出した。
その瞳からは険しさが消え、柔らかな光が宿っていた。
「……そうだな。恥ずかしいかな、私も心のどこかではわかっていた。『誇り』とは広げていくものであると。内だけで保つ『誇り』は、『陶酔』となんら変わらん。……我らローヌ村、貴殿の描く地図の一部となり、共に歩むことを誓おう」
その瞬間、広場を埋め尽くした村人たちから、地鳴りのような歓声が上がった。
それは、ローヌ村に新たな風が運ばれた瞬間であった。
「よし、みんな! 立ち止まっている暇はないぞ。ここを最高の拠点にするんだ。作業開始だ!」
ハワードの穏やかな号令とともに、ローヌ村の村人たちが一斉に動き出した。
村の北側、宿場予定地。
ガストンが、ローヌ村の熟練石工トビアスと握手を交わしていた。
「トビアスさん。あんたたちの石積みの技術は素晴らしい。そこに俺の土魔法と、レイ様の『柔構造』理論を組み込む。いいか、高く建てるには固めるだけじゃダメなんだ。あえて『しならせる』ことで天災や風の力を逃がすんだよ」
ガストンが地面に手を突くと、大地が生き物のように盛り上がり、巨大な基盤が形成される。
「ほう、これがレイ殿の言う『心柱』か。中心に一本、独立した柱を通すことで揺れを相殺する……。面白い、やってみようじゃないか!」
トビアス率いる百人の石工たちが、魔法で加工された建材を次々と組み上げていく。
ガストンが土魔法を唱える。
「—―眠れ、大地の骨組みよ。砕くにあらず、崩すにあらず。我が定めし寸法に従い、過不足なき一層のみを削ぎ落とせ。刃となれ、塵となれ、誤差なく従え──精密地削術
ガストンの土魔法が垂直精度をミリ単位で調整していく。
そして、石工たちが伝統の継ぎ手技術でそれを固定する。
魔法と伝統技術の融合により、25階建てのホテル20棟と、中心にそびえ立つ30階建ての貴賓ホテルが、驚異的な速度でその姿を現していった。
高層建築において最大の問題は、上層階への移動と、ビル風による突風被害だった。
「エルちゃん、あそこの気流を見て。建物にぶつかった風が渦を巻こうとしてるでしょ? あれをこの『防風林魔法陣』で受け流すの」
ニーナは、村の若い娘エルに風の読み方を教えていた。
ニーナが風魔法、風量調節を発動させると、建物の隙間を抜ける風が心地よい微風へと変換されていく。
さらに、建物の中心部にはレイが考案した「風の揚力エレベーター」が設置された。
「—―大地に伏した風の流れよ、 一つにまとまり、天へと昇れ。 我が声を合図に放たれよ── 上昇気流!!」
ニーナの合図で、サリナたち村の魔力持ちが連動して風を送る。
気圧差を利用した透明なカプセルが、滑らかに最上階へと吸い込まれていった。
「水圧が足りないですね。エリーさん、ここの配管を『真空断熱』構造に切り替えましょう。冬場に水が凍ったら元も子もないですから」
ロブは、事務員のエリーと共に、村全体の上下水道グリッドを再構築していた。
ロブは水魔法、水質操作で、魔力操作を極限まで精密に行いつつ、高層階まで一定の圧力で水を押し上げる「魔導ポンプ」を魔法陣に刻んでいく。
「ロブさん、この『コールドチェーン』という仕組み、本当にすごいです。シレハから運ばれてきた新鮮な食材が、魔法の冷気で鮮度を保ったまま各場所に届くなんて……」
エリーが感嘆の声を上げる。
「レイ様の受け売りですよ。ですが、これを維持するためには村のみんなの力が必要なんです」
ロブは鼻を擦りながら、照れくさそうに笑った。
村のメインストリートは、今や「黄金の回廊」へと変貌を遂げようとしていた。
シアが工作(S)と聖魔法(A)を駆使して作り上げたのは、移動式の「魔導調理屋台」だった。
「マリアさん、この鉄板は魔力で一定の温度を保てます。焦げ付く心配はありませんよ!」
「まあ! これなら私たちでも、プロの料理人みたいな火加減ができちゃうわね!」
村の女性たちのまとめ役である、マリアはシアと協力して、次々と「屋台村」を立ち上げていった。
シレハ産の新鮮な野菜や魔獣の肉を、真空調理器で下処理し、その場で提供する。
香ばしい匂いが村中に広がり、作業中の男たちの食欲を刺激していく。
シアはさらに、錬金術を用いて「銀鈴草」の抽出液を配合した保存食を開発。
これは、非常食として、シレハ村の隠蔽の施された亜空間内の倉庫に備蓄されていった。
村の入り口、巨大な正門の前には、つい先日発足したばかりの、ビサ村の警備団が整列していた。
指揮を執るのは、副団長のバイスだ。
「気を引き締めろ! 我々はレイ様、そしてこの村の人々の生活を守る盾である。不審者は一切通すな。正当な客は敬意を持って迎えるのだ!」
彼らの胸元には、レイが贈った「守護のネックレス」が輝いている。
これは個人の魔力特性を登録することで、住民とそれ以外を瞬時に判別する魔導認証キーでもあった。
門前には最新鋭の「魔導記録機」が配置され、不法侵入を試みる盗賊や間者を物理・魔法の両面から締め出す仕組みであった。
村の中央広場に設置されたのは、レイと機工士ハンス、鑑定士エレナが共同で開発した「魔導式自動両替機」だった。
「今日からこの村での取引は、この『銀鈴貨』で行うことにする!」
レイが掲げたのは、銀鈴草の雌しべの粉末を練り込み、光の当たり方で色が変わる美しい硬貨だった。
鑑定士エレナがその偽造防止技術を解説していく。
「この硬貨には、私とレイ様が編み出した独自の魔力紋章が刻印されています。模造品を両替機に入れれば、即座に大音量の警報が鳴り、警備団が駆けつける仕組みです」
機工士ハンスが誇らしげに両替機の歯車を指差す。
「レイ様の仰った、電子天秤理論を魔法で再現したんだ。0.01ミリグラムの重さの差も見逃さない。さらに、両替を行うたびに『アストラル・ポイント』が貯まる仕組みだ。貯まったポイントは、村の公共施設や高層宿舎の利用料の割引に充てられる。みんな、進んで使ってくれ!」
ローヌ村の村人たちは最初こそ戸惑ったが、銀鈴貨を使うとローヌ村の村人に限り、ローヌ村での買い物が20%も安くなる「職域割引システム」を知ると、我先にと列を作っていった。
通貨発行権を握ることで、レイはこの地の経済を完全にコントロールしつつ、住民に還元するシステムを構築したのであった。
建設開始から数週間。
魔法と人々の情熱が結集し、ローヌ村は「南の心臓」へと生まれ変わっていった。
夕暮れ時。
30階建ての貴賓宿舎「サウス・タワー」の最上階テラス。
そこにはレイ、ニーナ、ロブ、シア、ガストン、そしてハワードやトビアスたち、ローヌ村の村人たちが並んでいた。
「準備はいいか?」
レイが右手を掲げ、村全体に張り巡らされた魔力ラインに意識を向ける。
「――点灯!」
レイの号令とともに、地中を通る魔導回路に一斉に魔力が流れ込んだ。
まず、地上を走る「黄金の回廊」の街灯が、柔らかなオレンジ色の光を放っていく。
続いて、10棟の宿舎の窓一つ一つに明かりが灯り、最後に最上階のテラスから空に向かって、巨大な魔導光の柱が突き抜けた。
眼下には、かつての麦畑の間に、光り輝く近代的な都市空間が広がっていた。
屋台村からは活気ある笑い声が聞こえ、整然と区画整理された道路を、魔法の光を灯した馬車が行き交う。
「……信じられん。これが、我がローヌ村なのか」
ハワード村長は、震える声で呟いた。その目には微かな涙が浮かんでいた。
「レイ殿。貴殿はただ建物を建てたのではない。我々の中にあった『陶酔』を壊し、『誇り』を再生させてくれたのだな……」
「いえ。これは僕だけの力じゃありません」 レイは隣に立つシレハの仲間たち、そして共に汗を流したローヌの職人たちを見渡した。
「ガストンが土を固め、ニーナが風を整え、ロブが水を繋ぎ、シアが笑顔を作った。そして何より、ハワードさんたちが僕を信じて、共に汗を流してくれた。これが僕の考える『共生』の完成形です」
ニーナがレイの腕にそっと触れ、シアが嬉しそうに微笑む。
ロブとガストンは、ローヌの石工たちと肩を組んで酒を酌み交わす約束をしているようだった。
「さあ、ここからが本番です。公開まで、あと半月!運用していく中で、問題点や改善点も見つかるはずです!南大陸の経済はこのローヌが中心です!よろしくお願いいたします!」
レイの視線は、さらにその先――ドワーフたちが住まう村「ガラム」へと向けられていた。
夜空に浮かぶ満月よりも眩しく、黄金の村は輝き続けていた。
それは、種族の壁を超えて手を取り合った者たちが見る、新しい夜明けの光を映し出していた。
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【今話の極小情報】:
・空中居住区の優越感: ローヌ村の住民は、高層宿舎の20階以上に住居を割り当てられている。これは「外から来た富裕層を見下ろす(物理的に)」という位置関係を作ることで、元々の住民の自尊心を守り、統合への心理的障壁を下げるレイの巧妙な都市計画である。
・ポイント還元(AP): 銀鈴貨で買い物をすると貯まる「アストラル・ポイント」は、シレハ村の特産品と交換することも可能。これにより、ローヌとシレハの間で強固な経済圏が形成される。
・ビサ村警備団の制服: レイがデザインした。黒を基調とし、金糸で鈴蘭の紋章が刺繍されている。この「かっこよさ」に憧れて、ローヌ村の若者たちも警備団への入団を希望し始めている。
・ローヌ村のホテル:ホテルは、25階建て×20と30階建て×1である。1階はどちらも受付となっていて、部屋は、どちらも5階から25階または30階までである。水魔法と炎魔法を融合させて調節された温水湖や魔力を含ませることで、肉体的・精神的な疲労を取りつつ、鍛錬にもなる魔法食材をはじめとする多種多様な『食』を提供する。モントス村と違い、食事処というよりは、レストランというような、華やかで賑やかな趣の場。
・ローヌ村の屋台:移動式であり、時間帯によって、提供する軽食が変化する。手軽で代金も比較的、安いのが特徴。
・ローヌ村の御店:シレハ村から直送された食品や生活用品を販売。またアストラル商会の支部が置かれ、星屑の雫以外にも目玉商品が幾つか、顔を出す。
【お読みいただきありがとうございます!】
次話は、内政チート第四弾!!
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ふっと二言:「『精密地削術』や『魔導式自動両替機』。こういうルビを考えてる時間が、筆者は、結構楽しいなって実感する瞬間だったりします。柔構造(スカイツリーと同じ原理!)を魔法で再現するシーン、物理の資料を調べ漁りました。魔法があっても理屈は大事。筆者のエゴに付き合って下さり、感謝です。これからも、応援のほど、どうぞよろしくお願いいたします!」
――――――――【他作品も全力執筆中!】
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