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#20:ヒャッハー!

本日もよろしくお願いいたします!

本日の投稿は、この#20からスタートです! 引き続き、どうぞよろしくお願いいたします!

~ブクマ・リアクション等、増加感謝です! とても執筆の励みになります!!~


【前話のあらすじ:ドビスを裁き、ルーヴィンス王に、自治権を要求したレイ。大臣たちの反対もあったが、ルーヴィンス王は、レイの要求を認めたのであった....】


玉座を退出したレイは、長く静かな廊下を歩いていた。  

背後でニーナが「あんた、よく一国の王にあんな口が叩けるわね」と呆れているが、レイにとっては当然のことだった。

腐りきった船に、無条件で忠誠を誓うほど馬鹿ではなかった。


その時、廊下の向こうから一人の少女が駆け寄ってきた。

「ちょっと、待ってちょうだい!」

レイと同い年、十三歳ほどだろうか。  

透き通るような金髪と、意思の強そうな眼。

そして、何重にも着飾った豪華なドレス。


彼女はレイの目の前でぴたりと止まると、腰に手を当ててまじまじとレイを見つめた。

「あなたがレイね? 噂以上の不敵な顔だわ!」

「……失礼ですが、どなたで?」

「私はシリス。この国の第二王女よ」

彼女が名乗るよりも早く、レイは鑑定で彼女の底を見抜いていた。  

シリス・エルメリア。可愛い容姿とは裏腹に、知力の数値は王都の大人たちを凌駕している。


「シリス王女……。私に何かご用で?」

「ええ。あなたの村、興味があるわ! 噂じゃあ、二万人を一瞬で凍りつかせたんでしょう? 凄いわ。今のこの国、外面だけは立派だけど、中はボロボロ。父上ももうお歳だし、継承権争いが起きたら、きっと誰かが余計な軍備にお金を使って、民はもっと飢える……」


彼女は周囲に人がいないことを確認し、声を低めた。

「だから、私、今のうちに逃げ場所を作っておきたいの。あなたの村なら、一番安全そうでしょう? 今すぐついていってもいいかしら?」

目ざとい少女だ、とレイは思った。  

彼女は、この国が近いうちに戦火に包まれるか、あるいは内側から崩壊することを見抜いている。

そのための「避難所」として、レイを選んだのだ。


レイは丁寧に、だが断固として首を振った。

「お気持ちは光栄ですが、王女殿下。今の村は、まだ王家の方をお迎えできるほど整っておりません。なにより、私一人で、二万を退けたわけではありませんから」

「ええー、つまんないわ」

レイは彼女の瞳を見つめ、静かに告げた。

「一年後にお越しください。その時には、この王都よりも快適で、世界で最も安全な場所へと作り替えておきましょう」

シリスは一瞬、呆気に取られたように目を見開いたが、やがて楽しそうに口角を上げた。

「……いいわ。約束よ。一年後、あなたの作った『世界一』を見に行かせてもらうわ。もし期待外れだったら、その首、私が貰っちゃうんだから!」

王女と約束を交わし、レイは王城を後にした。


王都の大通り。  

かつては目立たなかったはずのその店は、今や王都で最も巨大で、最も騒がしい場所へと変貌していた。

『アストラル商会』の本店。  

商品は『アストラル・ドロップ』たった一種類。

それにも関わらず、店を囲む列は三つのブロック先まで続き、店内は商品を奪い合う貴族や商人たちの怒号で溢れていた。


レイが店内に入ろうとすると、入り口に立っていた豪華な制服の店員が、鼻で笑ってレイを押し止めた。

「おい、ガキ! ここは王都一の高級店だぞ。パン屋にでも並んでるつもりか? 割り込むな、後ろへ行け!」

「店主のゼノを呼んでくれ。急ぎだ」  レイが淡々と告げると、店員は吹き出した。

「ははは! ゼノ様を呼べだと? お前のような身なりの者が会えるお方ではない。さあ、衛兵を呼ぶ前に失せろ!」


レイは小さく溜息をついた。

「……話が通じないな。ニーナ、少し揺らすぞ」

「いいわよ。私もあいつの顔、気に入らなかったし」


レイは右手を軽く掲げ、氷魔法を練り上げた。  

周囲の温度が劇的に下がる。 「――氷柱アイシクル・ランス

シュンッ、という鋭い風切り音。  

巨大な氷の槍が、レイの指先から放たれた。

それは、最上階――七階にあるゼノの自室の窓へとぶち込まれた。


「ひ、ひいいいっ!? な、なんだぁぁ!?」  店員が腰を抜かして地面に這いつくばる。


その頃、七階の自室では、ゼノが山積みになった金貨の上に寝転び、

「ヒャッハー! 金だ! 金が雪のように降ってくるぞぉぉ!」と狂喜乱舞していた。  

だが、その至福の時間は、窓を突き破って壁に深々と突き刺さった、巨大な氷柱によって唐突に終わった。


「げぶっ!? な、なんだ、暗殺か!? 警備は何を……!」  

ゼノは氷柱を凝視し、その魔力の制御の高さを確認した。壁にミシミシと少しずつめり込んでいく。

「……あ、あ.....まずい....レイ様だ....早く行かなければ....!」


数分後。  

ゼノは階段を転げ落ちるように降りてくると、入り口で冷ややかに佇むレイの足元にスライディングで跪いた。

「レイ様ぁぁ! お越しをお待ちしておりましたぁ!....到着が遅れて申し訳ありませんでしたぁぁぁ!.... 」

「ゼノ、お前が早く来ないから、無駄に時間がかかったぞ....」

「申し訳ありません.....」

「あのぉ、ゼノ様、なぜ、こんな奴に頭を下げられるので...?」状況を呑み込めていないようで、腰を抜かしながら、店員がゼノに尋ねる。

ゼノは、店員を睨みつけた。

「このお方は、アストラル・ドロップの創造主であり、我が商会の真のオーナーだ! お前は今この瞬間を以て解雇! ギルドに触れ回って、二度と王都で働けないようにしてやるからな! 出ていけぇ!」

「そ、そんなぁ……!」  

泣き叫びながら、他の従業員に連行される店員を見送り、レイはゼノに顎をしゃくった。

「……上で話すぞ」

「は、ははぁ! どうぞ、特等席へ!」


豪華な絨毯が敷かれたゼノの部屋。

レイは椅子に座ると、すぐにお茶を出そうとするゼノを制した。

「すぐ帰る。茶はいらん。……ゼノ、現状はどうだ?」

「最高ですね! もはや、星屑の(アストラル・ドロップ)は、ブランドになっちましたからね。王都の貴族どもが、我先にと買っていますし、疲れはいつ何時でも溜まりますから。強化も一時ですから、冒険者も多く買っていきますぅ。これもすべては、レ・イ・様のおかげですぅ!!これから、一生、よろしくお願いしまぁすぅ~」

「そうか。なら、さらに働いてもらう」  レイは数枚の図面を机に叩きつけた。

「アストラル・ドロップ以外に、いくつか新商品を1年後に卸す。これらはドロップ以上に市場を破壊するだろう」

「……ヒャッハー! さすがはレイ様、商売敵を皆殺しにする気ですね!」


「それから、1年以内に、エルメリア王国の主要な都市に、合計30の支部を作れ。王都周辺だけじゃない、物流の要所も含めてだ。1年後に、全店舗同時オープンさせる」

ゼノの動きが固まった。

「……え、30? 1年で? レイ様、それはいくらなんでも、予算も人も……」

「できないのか?」  レイが静かに問いかけた。

「できないなら、代わりの経営者を探すだけだ。お前の首を飛ばしてな」

「ひぃぃ!? できます! やらせていただきますぅぅ! 私はレイ様の忠実な犬ですぅ!」 「……ふん。もっとヒャッハーしたくないのか?」

「……し、したいですぅ。もっと金に埋もれて、お酒のプールで泳ぎたいですぅ……」 「なら働け。……期待しているぞ」

「それとゼノ....」レイは、自身とゼノに隠蔽魔法をかけ、声が漏れない空間をつくると、少し間を置いて、告げた。

「お前が、暗殺に怯えるのはわかる。今や、王都一の商会長だからな。だが、俺の前で、その喋り方と態度を見せるな。はっきり言ってキモすぎる。今度からは、俺と話すときは、隠蔽魔法をかけておく。だから、そのキモい体の動きや軽薄そうな態度は見せるな。俺は、お前をクネクネさせるために、雇ったわけではない」

ゼノは微かに笑った。

「承知いたしました。ご配慮下さり、感謝いたします。万事お任せを....しかし、そのぉ、1年というのは、ちょっとぉ...」

「お前ならできるだろ?」

レイはそう言うと、商会を後にした。


シレハ村への帰路。  

馬車の中で、レイは窓の外を流れる雪景色を眺めていた。  

王都は確かに輝いていた。

だが、それは腐った死体の上に塗られた安っぽい化粧のような輝きのように思えた。  

今の自分には、五つの村と、自由な権利がある。


シレハ村に到着したのは、夜も更けた頃だった。  

かつての「捨て石」の家。

そこにはシアが用意してくれた暖かい食事と、ガストンやロブが持ち寄った酒が置いてあった。

「……さて」  レイは食事もそこそこに、自室の机に向かった。  

傍らには、シアが調合した眠気覚ましのポーションと、ニーナが置いていった夜食のサンドイッチがある。


ガラム村、ビサ村、ローヌ村、モントス村。  

鑑定(S)で記憶した各村の問題点が、頭の中で幾何学的な模様となって整理されていく。  

農業の欠陥、防衛の脆弱性、物流の非効率。

「……1年だ」  レイはペンを走らせ始めた。 「1年で、全てを作り替える」

徹夜の灯火が、レイの鋭い瞳を照らし出していた。  

シレハ村から始まる改革の風が、やがてエルメリア王国全土を、そして世界を飲み込む嵐へと変わる。

その序曲が、今、静かに書き込まれていった。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【今話の極小情報】:ゼノについて。

ゼノは、アストラル商会を立ち上げてから、すでに10回ほど、凶刃の手から逃れています。ゼノに戦闘力はないため、誰が護っているかは、読者の皆様も気になっているはず(仮定)。その正体は、アストラル商会の副会長です!!今後、登場しますが、実は彼、ただ者じゃありません!”長年の友達“ということでゼノを護っていますが、実は......

【お読みいただきありがとうございます!】

次話は、内政チート!!

~高評価やブックマーク、感想等いただけるとありがたいです!~


~ついに、#20まで投稿が完了しました。ここまで、お付き合い下さった読者の皆様、そして、評価やリアクション、ブクマで筆者の執筆意欲をかきたてて下さった皆様、大変ありがたい限りです。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします!~

:ちなみに、エピソードタイトルは、お気づきの読者の方がいらっしゃるかもしれませんが、本文の言葉をそのまま切り取って、タイトルにしております。適当だと思われている方も多いかもしれませんが、作中の言葉で、特に筆者的には、物語としても、フレーズとしても、重要かなと判断したワードをチョイスしております!今回は、「ヒャッハー!」です(笑)


ふっと二言:「ゼノの部屋にぶち込んだ氷柱ですが、実はただの氷じゃありません。レイが工作(S)で『摩擦係数を極限までゼロ』に調整した特注品です。 なので、壁に刺さった後も自重でじわじわと奥に食い込み続け、ゼノが謝り倒している間もずっと『ミシミシ……』と不穏な音を立てていました。ゼノが必死だったのは、単純に怖かったのと、これ以上放置するとビルが真っ二つになると本能で察したからです(笑)」

――――――――【他作品も全力執筆中!】

更新をお待ちいただく間に、こちらの作品もご一読いただけると幸いです!

・ロード・オブ・ザ・キャット ~「人生」取り戻したいだけの猫(元人間)が、無自覚に神獣へ進化した結果、人類最強が首輪を持って泣きついてくる件。これって営業妨害ですか? 

「可愛いからって舐めないで。僕の敏捷、150あるから。」

圧倒的な「猫の可愛さ」×「人類の勘違い」×「チート無双」! 僕を人間に戻せる(評価をくれる)のは、読者の貴方だけです。


・『自分』と『推し』のために暗躍する無能(偽)な護衛

「俺が守りたいのは、お前じゃないと思う。多分、『推し』だ。」

嘲笑う奴らには無能を演じて油断させ、裏では神速で敵を殲滅。

【無双×悪役令嬢×暗躍×推し活】 ――「無能(偽)」な俺の、やりすぎな裏工作おしごとが始まる。


・『【武の極致】と【フェンリル】の力を以て、三つの世界で覇者となった俺』

【戦×無双×成長】 →天下を争う軍記モノです!※後々、魔法や異世界系に変わっていきます!


・『生涯、病室だった俺、異世界で自由な体を手に入れたので、天下を獲ることにした』

「窓の外を眺めるだけの日々は終わった。今度は俺が、世界に眺められる番だ。」

不自由を極めた過去を、最強の自由で塗り潰す!

【戦×無双×成り上がり×領地経営】 ――病室を抜け出した俺の、天下取りが今始まる。

⇧※本作です。これからもお付き合いのほど、よろしくお願いいたします!



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