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19/41

#19:正しい姿である限り

「私用で投稿が遅れました。申し訳ないです。更新速度を上げて参りますので、引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。」

~ブックマーク、リアクション増加、感謝です~

【前話のあらすじ:二万のバンデリオン王国軍を退けたレイ。レイは、疲労しつつも、何とも言えぬ高揚感を抱えていたのであった....】

国境北塞ノース・フォートでの決戦から数日後。  

二万の軍勢が下着同然で敗走したという前代未聞の報は、瞬く間にエルメリア王国の王都『セント・エルメリア』へと駆け巡った。


王都の中心に位置する審問議場。そこには重苦しい沈黙が流れていた。  

中央の証言台に立つのは、かつて国境守備軍隊長だった男、ドビスだ。

その顔には以前の傲慢さは欠片もなく、土気色に変色した肌がガタガタと震えている。


「……以上が、私の主張です! あのガキ――レイが私の指揮を無視し、勝手に先遣隊を追い払い、本軍をも混乱させたのです! 私はただ、軍規を正そうとしたに過ぎないのです!」

ドビスの叫びが空虚に響く。  

雛壇に並ぶ十人の審問官たちは、一様に難しい顔をしていた。

彼らの多くは軍閥の有力者であり、ドビスのような「身内」を切り捨てることには消極的だった。

何より、十三歳の少年が二万を退けたという事実を認めてしまえば、身内の無能を晒すことになるからであった。

「……レイ殿。これに対する反論はあるのかな?」  

審問官の一人が、見下すような視線でレイに問いかけた。


傍聴席に座っていたレイは、ゆっくりと立ち上がった。

レイが、居並ぶ審問官たちに対して、敬意を払うことはなかった。

レイは淡々と言葉を発した。

「反論、というほどのことでもありません。客観的な事実を提示すれば足りるかと思います」

 

そう言うと、レイは懐から、工作(S)で自作した水晶型の魔導録音機を取り出し、議場の中心に置いた。  


直後、議場内に響き渡ったのは、ドビス自身の醜い悲鳴だった。

『な、なんだ!? なぜ押し返される! 貴様ら、もっと気合を入れんか!』

『どけ! ここからは正式な軍人である私が指揮を執る! 手柄を独り占めしようなどと、小賢しい真似は……』


再生される音声。

それは、ドビスが無謀な突撃を命じ、そして無様に敗走し、挙句の果てにレイに「損害賠償」を突きつけられて氷に滑って転ぶまでの、情けない一部始終だった。


「ひっ、あああ……!.....そんな....違うんだぁぁあ....」  ドビスが頭を抱えて蹲る。  

審問官たちの顔色は、怒りと困惑で歪んでいた。


その中の一人が机を叩いて声を荒らげた。

「ええい、控えよ! このような子供の工作物、証拠能力があるものか! ドビス隊長の功績は長年の――」

「お言葉ですが、審問官殿」  

レイは、その言葉を冷たく遮った。

「その『証拠能力』とやらを議論されるのであれば、別の資料も用意してございます」

レイがそう言うと、背後に控えていたニーナが、無言で分厚い帳簿と、数枚の映像記録石を卓上に置いた。  


レイはそれらを指差し、十人の審問官一人一人の目を真っ直ぐに見据えた。

「ここには、ドビス元隊長が軍備費を横領し、それを一部の審問官の方々に『付け届け』として渡していた詳細な記録、および現場の映像が収められています。……今ここで、内容を読み上げてもよろしいでしょうか?」


議場が瞬く間に凍りついた。  

審問官たちの手は止まり、額からは滝のような汗が流れだす。  

彼らがドビスを庇おうとしていたのは、単なる身内意識だけではなかった。

ドビスが失脚し、芋づる式に自分たちの汚職が発覚することを恐れていたからであった。


しかし、今、目の前の少年は、その急所を完璧に握っていた。

「……満場一致で、有罪とする」

最年長の審問官が、震える声で告げた。

「元隊長ドビス。貴公の無謀な指揮による自軍の損害、および戦果の虚偽報告は許し難い。軍籍を剥奪し、平民へと格下げ、および全財産の没収を命ずる!」

「そんな! 待ってください! 皆様、あれは――!」  

叫び、暴れるドビスを、衛兵たちが引きずり出していく。

かつて「ガキ」と罵ったレイの横を通り過ぎる際、ドビスが見たのは、憐れみすら含まない、ただゴミを見るような少年の冷徹な眼差しだった。

一人の男の社会的抹殺。それは、レイにとって単なる「掃除」の一環に過ぎなかった。


審問会の後、レイはエルメリア王国の国王、ルーヴィンス王が待つ玉座の間へと招かれた。

豪華絢爛な装飾が施された広間。

しかし、レイが鑑定(S)で見る限り、その金箔の裏側は腐食し、王都の空気そのものが淀んでいるように感じられた。

「面を上げよ、レイ」  

玉座に座るルーヴィンス王は、深い皺の刻まれた顔に、慈父のような笑みを浮かべていた。

しかし、その瞳の奥には、老練な政治家としての計算が見え隠れしていた。


「二万の軍勢を、死傷者を最小限に抑えて退けた功績。誠に見事である。そなたのような才媛が、辺境のシレハ村に埋もれていたとは、我が国の怠慢であったな」

傍らで大臣たちが不快げに鼻を鳴らす。

「褒賞が欲しいのだろ?これだから、田舎者は....で、何が望みだ? 金か、それとも王都での地位か?」


レイは深々と一礼し、顔を上げた。

「私は、金も地位も望みません。ただ一つ、権利を頂きたい」

「権利とな?」 ルーヴィンス王が興味深そうに尋ねる。

「はい。私が現在治めているシレハ村、およびフィルス大村に属するガラム、ビサ、ローヌ、モントスの五つの村――これら全ての村における『自由改築権』、および内政の全権委任を求めます」


その言葉に、大臣たちが色めき立った。

「治外法権を認めろというのか!? 勝手すぎるぞ!」

「たかだか一兵卒が領主を気取るつもりか!」


だが、ルーヴィンス王は静かに手を挙げ、それらを制した。

「……面白い。そなたは、あの痩せた土地を、自力で立て直すと申すか?」

「はい。一年お待ちいただければ、王都を凌駕する豊かさを証明してみせましょう」


王はしばし沈黙した後、小さく笑った。

「よかろう。その要求を呑もう。その代わり、レイ。そなたのその力、いざという時には我が国の盾となると誓え」

レイは王の目を正面から見据えた。

「……この国が、正しい姿である限り。私はその約束を守りましょう」

不遜とも取れる答え。

大臣たちが息を呑む中、ルーヴィンス王は満足げに頷いた。

「……ははは! 言うたな。よい、許可する。そなたの好きにせよ」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【今話の極小情報】:ゼノと次話登場の新キャラのシリスのステータス.....

ゼノ:【名:ゼノ 年齢:26】【MP:30】【ステータス】武力:D(C) 知力:A(A) 統率:B(A) 政治:B(A)【サブステータス】兵法:B(A) 馬術:D(D) 陸戦:C(C) 海戦:F(D) 工作:A(A) 諜報:S(S) 農耕:A(A) 商業:S(S) 建築:B(A) 成長:A 忠誠:100【固有スキル】流通透視(ロジスティクス・サイト)【スキル] 探索B(A) 隠蔽A(A)


シリス:【名:シリス 年齢:13】【MP:200】【ステータス】武力:C(B) 知力:A(S) 統率:B(A) 政治:B(S)【サブステータス】兵法:A(S) 馬術:D(B) 陸戦:C(A) 海戦:D(B) 工作:A(A) 諜報:B(A) 農耕:C(B) 商業:B(A) 建築:D(C) 成長:S 忠誠:--- 【固有スキル】--【スキル] 弓術C(B) 体術B(B) 投擲術C(A) 探索C(B) 隠蔽B(B) 亜空間魔法A(A) 錬金A(A) 調理B(A)


【お読みいただきありがとうございます!】

次話は、久しぶりのあの男の登場です!!

~高評価やブックマーク、感想等いただけるとありがたいです!~ 


ふっと二言:「審問会で流したドビスの音声。実は、レイが魔法で『聞き取りやすいようにノイズを除去し、ドビスの情けない悲鳴だけ音量を30%増量』して編集してありました。 証拠としての客観性を保ちつつ、審問官たちの『感情的にもドビスを助けたくない』という心理を操作する。レイの工作(S)は、こういう陰湿な……じゃなくて、合理的な部分でこそ真価を発揮します(笑)」


――――――――【他作品も全力執筆中!】

更新をお待ちいただく間に、こちらの作品もご一読いただけると幸いです!

・ロード・オブ・ザ・キャット ~「人生」取り戻したいだけの猫(元人間)が、無自覚に神獣へ進化した結果、人類最強が首輪を持って泣きついてくる件。これって営業妨害ですか? 

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・『【武の極致】と【フェンリル】の力を以て、三つの世界で覇者となった俺』

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不自由を極めた過去を、最強の自由で塗り潰す!

【戦×無双×成り上がり×領地経営】 ――病室を抜け出した俺の、天下取りが今始まる。

⇧※本作です。これからもお付き合いのほど、よろしくお願いいたします!


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