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第14話 商人ギルドに登録

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 第14話 商人ギルドに登録

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 四人部屋はダブルベッドが二つが並んでいるものだった。いつも四人で身を寄せ合って寝ていたから構わないけど、さすがにベッドがあるとちょっとエロいことを考えてしまう。

 ハハハ、ないな。僕たちは姉弟のような関係だ。恋愛関係に発展するなんてない……と思う……かな? ……もしかしたらワンチャンあるかも? 僕だって男だ、ハーレムをと思わないわけではない。


「ところで、シュラウト」

「何、ラウラ」

「商人になるのはいいけど、どんな商人になるの?」

「フフフ。よくぞ聞いてくださいました!」


 僕はストレージから木箱を取り出した。

 ストレージは一つのものを出し入れするだけで、その都度魔力を消費する。だから、こうやって木箱に入れておけば、複数のアイテムを一度に出し入れが可能なのだ。木箱一つでアイテム一つの扱いなんだよ。


 木箱にはこれまで説明さんを駆使して集めたアイテムが入っている。見る人が見れば、そのアイテムの価値が分かるだろう。


「これって市で買っていたもの?」

「そうだよ。この数年で買い集めたものだけど、どれもいいものさ」


 市で売られているものは、紛い物が多い。だけど僕には説明さんがいる。騙されることはないのである!


「これらのアイテムはダンジョン産のものが多いけど、たまにそうじゃないものもある。たとえばこの短槍だけど、これは見た目はどこにでもある短槍だ。だけど、これを造ったのは匠と名高いシュバート老師なんだ」


 こういったものが極稀に出品されている。それを安く買い叩いて、いつか転売をしようと思っていた。いいものなら、自分で使ってもいいしね。


「ガラクタを買い漁っていると思ったけど、いいものを買っていたのね」

「ガラクタじゃないから!?」


 これらのアイテムはいいものなんだよ!





 早速商人ギルドへ向かう。宿のスタッフに聞いた場所には、港町らしい活気のある大きな白い漆喰の建物があった。

 担夫たんぷというのか、港に近いため上半身裸で荷を運ぶ屈強な男たちが多い。

 商人ギルドの中に入っていくと、町中同様活気がある。七つあるカウンターは全て埋まっており、それぞれに二、三組が並んでいる。

 僕たちもその列に並び、順番がくるのを待った。その間に聞こえてきたのだが、両替の話が多いようだ。

 考えれば、ここは貿易港であり、国境の町なんだ。ザバン王国、ロロフス帝国、テルゲ王国の三カ国の通貨が普通に使われる。

 そんな話を聞いていると、どうもロロフス帝国の通貨が最も価値が高いようだ。ロロフス帝国は政治が安定しており、さらに商工業が盛んな国らしい。そのため、通貨の価値が他の二カ国に比べやや高い。

 ザバン王国とテルゲ王国の通貨価値は等価なのだとか。

 僕たちの番が回ってきた。受付は四十くらいのオバチャンだ。なかなか恰幅がよく、肝っ玉母ちゃんといった風貌の人である。


「こんにちは、商人登録と使用人登録をお願いします」


 商人は代表者。使用人はそのままの意味で、その商会なり店なりで働いている人のことを指す。


「はい、こんにちは。当ギルドに登録するには、登録料と保証金が必要になります」

「登録料と保証金の説明をお願いします」


 オバチャンが言うには、登録料は商人も使用人も必要で、使用人のほうが安くなっている。登録料は初期費用なので、返還はない。

 それに対し保証金は商人だけが支払うもので、もし何か商取引に不備があった際に補填するためのものになる。不備がなければ、保証金は商人ギルドを脱退する時に返還される。


「なお、商人にはランクがあります。そのランクによって、保証金の額と使用人の上限人数が決まっております」

「ランクの説明もお願いします」


 内心で鬱陶しいと思っているかもしれないけど、オバチャンは平然と説明を続けてくれる。

 ランクは一から五まであり、ランク一は駆け出しの商人といった感じのものだ。保証金も銀貨一枚と少ない。

 使用人の数は、ランク一で五人まで。ランクが上れば上がるほど使用人の上限数は増える。


「保証金以内の取り引きしかできないのですか?」

「そうではありませんが、大きな金額の取り引きの際には、もしもの場合の保証が少ないと二の足を踏まれることもあります」

「なるほど……それでは僕はランク一の商人で登録をお願いします。後ろの三人は使用人で登録をお願いします」

「ランク一商人の登録には、白銅貨五枚と保証金が銀貨一枚に必要になります。また、使用人の登録は一人白銅貨一枚になります」


 お金を支払い、登録に必要事項を記入した。シュラウト商会なんて恥ずかしいが、これ以外は認められないと三人は言うんだ。


 僕たちは商人と使用人の身分証となる腕輪を手に入れた。血を垂らして個人登録をしているため、他人は使えないらしい。

 ランク一商人の腕輪型身分証は銅製で赤色の宝石がはめ込まれている。使用人も銅製だが、腕輪というよりはブレスレットに近く、これにも赤色の宝石がはめ込まれている。

 この腕輪型身分証はギルドから連絡事項があると、赤色の宝石が点滅するらしい。便利な機能がついているよ。


【ランク一商人用腕輪型身分証:銅製で赤色の簡易連絡石がはめ込まれているもの 商人ギルドから連絡があると、簡易連絡石が点滅する】


 あと、商人は毎年一回、売り上げに応じて年会費という名目の税金を払うことになる。

 売り上げは自己申告だけど、それが本当かどうか確認できるアイテムがあるので、誤魔化さないようにと言われた。そんなアイテムがあるなんて、商人ギルドって、すごいな!


「さっそくですが、便利なアイテムを売りたいのですが、そういった商品を求めている商人を紹介してもらえないでしょうか」


 商人ギルドの業務の一つに、売りたい人と買いたい人を結びつける紹介業務がある。

 僕は持っているアイテムを売るために、商人を紹介してもらうことにした。

 紹介料は銀貨一枚だ。結構高額なので取り引きが成立しないと、三回まで客(商人)を紹介してもらえる。


「アイテムの販売ですね。少々お待ちください」


 オバチャンはパソコンのような端末を操作した。世界規模の組織である商人ギルドでは、こういった便利なアイテムが使われている。



ご愛読ありがとうございます。

これからも本作品をよろしくお願いします。


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