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第8話 目の毒

お待たせ致しましたー

 とか何とか言っても……アタシの声は届かないからぁ。


 リス獣人くんは、さっさとピザのトッピングを仕上げていったようだわ!!



「よぉし! まずはこっちから!!」



 めちゃくちゃでっかいヘラみたいなの持ってるけど……あれ、アタシ知ってるわ。


 イタリア料理だとピザ焼く時に使うヘラね! 名前は忘れたけど。


 獣人くんはアタシに向けて、それを持ってきて……あっちぃ上の方に。


 さっと入れて、さっと引いたわ。


 うまく入れれたみたいね?


 すぐに匂いはしないと思っていたけど。



(ああああああああああ!!)



 思ってたら、したのよん!!


 だんだんと焼けてくる小麦粉の香り!!


 焼けてくる、チーズの香ばしさ!!


 ソースの暴力的な、トマトの匂い!!


 極め付けにハーブ……これはバジルね!?


 めちゃくちゃいい匂い!!



「くるくるっと」



 悶えているアタシの声なんて聞こえないから!!


 獣人くんは、ヘラで前後左右に焼きムラがないように回しているわぁあ!!


 匂いが!!


 匂いがぁ!?


 どんどん濃くなっていくわん!!


 勘弁してぇ!?



(地獄よぉ!?)



 なんで。


 なんで、アタシばっかりこんな目にぃい!?



(しょ……食パンの飯テロもあったから……だ、ダメージがぁ!?)



 断食どころの衝撃で、済まないわ!!


 絶食を強いられているのよ!?


 アタシの大好物が食べれないだなんて!!


 アタシなんかしたの!?


 なんで、こんな転生ばっかりぃ!?



「よーし、焼けた!!」



 って、うだうだしてたら焼けて。


 涙出てないのに、そんな風に霞んでいく視界の先には。


 とってもとっても、美味しそうなマルゲリータがあったわぁ……。


 意識が、また閉じていく気がした。

次回はまた明日〜

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