第68話 ああ、釜ね?
あとは、ご想像通りよん?
あたしは人間だった時の、ちゃんとした名前でミディアちゃんのとこに戻ってきた。
代償は、めちゃくちゃ大事にしてくれたあの茶釜だけど……命以上に大事なものはないって、抱きつきながらそう言ってくれた。
あたしも同じ。
半端な恋愛観しかない、『AKIRA』でもそれが同じであるのなら。
口調とか生き方の間違いは二の次。
ただただ、大事なものを見つけるまでの……旅行だと思えばいいわ。
おじいちゃん神様も、そんな風に言ってくれたもの。
「……あたしは、ちゃんと生きている者として生きていくわ」
怠惰。
堕落。
それがこれから無いわけがないもの。
死を繰り返してたわけじゃなかった、あたしの道筋はこれから。だからこそ、ミディアちゃんと同居する時の名前も『カイト』にしたわ。
AKIRAの源氏名はもういらないし、あってもエルフには合いそうにないもの。
「カイト〜? 帰るでー」
茶室が終わったあと、今のあたしを呼んでくれる愛しい人のとこへ……あたしもついていく。魔法はまだまだ初心者だから、いっしょに手を繋いで帰っていくの。素敵でしょう?
「そうね。ご飯作るから、帰りましょう?」^_^
今までの『釜』だった生き方は終わり。ちゃんと無機物から、身体ある人生がこれから数百年以上あるんだもの。
無駄遣いしない、生き方をしていくわ。
ただ、あたしの混ざったゲイとかバイの記憶はなかなか消えなかったんで、本にしたら……オタク増えて受けちゃった。
第二次、ヲタ革命みたいなの起こして、元主の女神様にはカンカンに怒られちゃったわよ!!




