第61話 多分サラダチキン?
時間通りに置いたあとは。
あらかじめ用意してた、土をよく落とした野菜をドボン。肉は冷めるくらいの湯加減のおかげで、リクトくんは取り出せたけれど……どうかしら?
「うわ!? なんかすっごいぷるぷるしてる! 魚をさわってるみたいだ!!」
『ん、それなら上出来。切ってみなさいな?』
まな板が一応ある文化圏らしいから、ナイフのような包丁でスッと切れば……中はきちんと火が通っていないけど、パサパサした感じじゃなかったわ。
リクトくんはひと切れを勢いで食べたら、ほっぺたがピンクになったんで上出来ねと内心で拳を握ったわ!!
「おいしい!! ぷるぷるしてるけど、食べやすくて……ちょっと塩味がおいしい!! 塩漬けよりも食べやすいよ!!? お兄ちゃん、これおいしい!!」
『塩だけで作るのも悪くないけど。調味料増やすともっとバリエーションあっていいのよねぇ?』
「もっとおいしいの出来るの!?」
『材料なさそうだから、次行くわよ?』
「……はーい」
次は茹で汁を使ったスープ。実は野菜の皮を出汁にしたからそれは取り除いて、あとはあたしごと火にかけて……コトコト炊く。言い方あれだけど、結構シュールだわねん?
(しかし、野菜をあんまり食べない文化はよくないわ)
肉や魚以外の活力源。
野菜の素晴らしさをまずは、このスープが出来上がってからリクトくんとおじいちゃんに伝えるのよ!! 食生活改善は出来るだけしないと……ご長寿種族だからって、病気は舐めちゃダメよ!!?
柔らかさは、ポタージュ手前を意識してリクトくんに火加減を見てもらったら……木のお椀に入れてからちょっと冷ます。アチアチだとせっかくの野菜の素晴らしさがわからないものね?
『まずは、スープ……汁物の方を飲んでちょうだい?』
「……うん」
一応あるらしい、木のスプーンでひと口ずずっと行けば……あとは安心出来たわ。出汁の美味しさが不安を打ち砕いて、ホクホクの根菜類との相性も抜群だったからか貪ったもの。茹で汁の良い加工方法ができたから、これはおじいちゃんも大丈夫なはず。
神聖な塩釜が言うことにしとけば、使い勝手が変わるもの!
明日は塩作りで使われちゃうけれどぉ!!?
「ほぉ。ゆで汁でスープ。魚よりも飲みやすい。酔い覚ましにもええかもの?」
『ぐずぐずになったら、牛の乳を少量混ぜてどろっとしたのも美味しいはずだわ』
「さすが、ポット。異世界の知識は豊富なんじゃな?」
『あと、趣味ね?』
美容維持と時短料理の知識が異世界で役立つとは思ってもみなかったけどぉ。調味料の方は、あってもギリギリ胡椒で。甘味もハチミツくらいだったわね……サラダチキンアレンジには向かないわぁ。




