第54話 幕間⑤
お待たせ致しましたー
気が変わった。
正直言って、ムカついたからよ? たしかに、定まった器と世界に固定できたけど……ポットもミディアも単純すぎる。
足りない箇所を補うために、共生させようとはしたけれど。それ以上にお互いを必要とする展開が早すぎて。
『面白くないから~、もっかいループさせちゃう~!!』
物語りとか、神の恋路でも、定まった相手が出来れば『ハッピーエンド』になるとか聞くけど? 私抜きに、そんなオイシイ展開をあっさり迎えさせるの……面白くないわ!
だったら、その絆とやらが本物なのか。ポットの生涯をもう少しいじくって試練を与えるのも神ってものでしょう?
『相変わらず。気まぐれがひどいのお?』
ポットの魂を引き離して、手元に召喚したあと。誰かが後ろに来た。わかってたから、別に振り向かないわ。
『だって……ここで、あっさりハッピーエンドも面白くないでしょう?』
『そうかもじゃが。儂のお気に入りの子どもの、せっかくの配偶者候補をの?』
『あの子にも、ちょうどいいじゃない?』
あの世界での、エルフと縁深く生活している男神。口調からして、おじいちゃんの身体にしているわね? 好みじゃないから、見たくないわ。
『そうは言うが。もう少し、穏便にしてもらえんか? 儂のフォローが大変じゃ』
『そこは、君の仕事でしょう? 気に入った子を慰めるのも神の仕事』
『……その言い方じゃと、儂節操無しに聞こえるが?』
『間違いじゃないでしょう? 神は多情とも言うし』
『やめてくれ!? 儂奥さんひと筋じゃ!!』
『じょーだんよ。この子の世界の……私の兄弟神のほとんどが、そうなだけ』
『苦労しとるんじゃな?』
『それは今更だもの』
だから、性思考が『男女』じゃない個体が異世界だとどう変わるか実験しただけ。
最初はその程度だったのに、ムカついたんだもん? こんなにあっさりしてて、つまんないって。だから、次の行き先を……正確には、あの世界でいくつか転生させた『釜』たちにまた回してあげるだけ。
それでも、あのエルフの女への気持ちが薄れなければ……私だって、神としては配慮をしてあげるわ。
これは、思い付きでも人生ゲームじゃないもの?
『……とりあえず。儂はミディアを落ち着かせにいくわい』
『よろしく~。ポットは……『鮫島海斗』は、あの世界でぐるぐる回ってもらうわ』
『ふーむ。『AKIRA』という名もじゃが、随分と物騒な名じゃったな?』
『コンプレックスじゃない?』
でも、せっかくなら。その日本名とやらに関係する場所へ転生させてあげようかしら?
『釜』つながりで……くすす。
次回はまた明日〜




