第13話 食べられない
お待たせ致しましたー
(……食べたい。食べたいわぁあ!?)
食パンも。
ピザも。
ここまで……直接、嗅覚に大ダメージを与えるほどではなかった。
アタシの『中』で焼いていることで……暴力的なまでに、匂いがダイレクトアタックしてくるのだ。
ゲームとかだったら、HPが一気に赤ラインレベルよん!?
残機やばいくらいだわ!!
暑さとかどうだって良い!! めちゃくちゃ良い匂い……ああ、食べたい!!
無機物に転生してても、人間の感覚がまだ残っているから……腹も減るのかしら? 単純に感覚だけかもしんないけど。
チ─────────────────────ン!!
で、次にアタシんとこから音が鳴ったわ。
電子音が!
つまりは!!
「出来た! どれどれ〜?」
オオカミ獣人くんは、手にミトンをはめてて……アタシのフタを躊躇いもなく開けたわ。
ふわん、と香った……ラザニアの暴力的なまでの香り!
やばいわ!?
「ん、良い出来。メアリも呼んでっから、冷めないうちに準備するかあ」
あ〜……いい匂いいい匂い!!
絶対美味しいでしょうね?
チーズとろぉり。
ボロネーゼとホワイトソースは濃厚で。
パスタはもちもちで。
たーべーたーいーわー!!
けど、獣人くん何か言ってたような?
匂いの陶酔でちょっと聞き逃していたけど。
「やっほー! リンクル!!」
なんか来たわね?
聞き覚えのある……あのうさ耳獣人ちゃんじゃないの!?
草食と肉食だけど……まさか、まさか!!
二人は……友達以上ぉ!?
アタシはそっちのけで……なんかいちゃつき出したしぃ!?
「ラザニアうまく出来たと思うんだ。食べよう」
「わーい!」
なんてこと!?
アタシはこの世界で……ループして転生してるわけぇ!?
そのショックで……またもや食事をしている光景を見るしか出来ず、意識が遠のいていくのだった。
次回はまた明日〜




