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私はアイピ!魔法使い!  作者: 如月信二
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「空に輝く月は美しい。そして湖面に浮かぶ月も美しい。しかし隣にいるトラ子さんは誰よりも美しい」


 コンピはそう言うと砂漠の花をトラ子にプレゼントした。トラ子は恥ずかしそうに下を向きながら小さく頷いた。


「コンピはいつも私のことを見てくれているね」


「もちろんですとも、私はトラ子さんのために生きる。出会ったときから今でもその気持ちが揺らいだことはありません!」


 コンピは細い眼をさらに細めて言った。トラ子は何も言わずにコンピを抱きしめた。


「あの〜。お二人さん?」


 にゃんぴーも眼を細めて2人の会話に入ってきた。今は19時20分だ。一番乗りと思っていたにゃんぴーより先にコンピとトラ子がいたのだ。しかもラブラブしている。


「おっと!?」


 突然にゃんぴーは首根っこを掴まれ、近くの茂みへと連れ込まれた。


「にゃんぴー!何をやっているの?2人は今、良い感じなんだよ!」


 にゃんぴーを茂みに引き込んだのはポチピだった。どうやらカンデラ湖にたどり着いたは良いがコンピとトラ子が良い感じなので茂みから見守っていたらしい。言葉には熱がこもっていた。


「いや、これからシャイニングロードを作ろうとしてるのに二人の世界に入りすぎだろ」


「何を無粋な!」


「そう無粋だ!」


 にゃんぴーとポチピの会話に割り込んできたのは赤いシルエットの熱血漢、タコピだ!


「にゃんぴー!お前は青春というものがわかっていない。あの2人を見て何も感じないのか?」


「いや、時と場所を選んでと……」


「時も場所も完璧ではないか?さあ、一緒に2人を見守ろう!」


「いやいや、だから〜、アイテ!?」


 にゃんぴーはタコピとポチピに呆れてその場に座り込もうとしたら硬い物体がお尻に当たった。よく見るとそれは岩ピだった。


「ん?岩ピ?岩ピも覗きしてるの?」


 すっとんきょうなにゃんぴーの声に岩ピは首を振った。


「いえ、僕はどうしたらよいのかわからずに、とりあえずここで3年待ってみようと思ってます」


「なるほど」


 納得するにゃんぴーにくまぴが割り込んできた。


「俺はどっちでも良い派なんだが、皆が見守りたそうだから見守る派に流れているぞ」


「おう、そうか……って皆!?」


 にゃんぴーは驚いて周りを見渡した。


 月明かりの中よく見ると、タコピ、ポチピ、岩ピ、くまぴはもちろんのことアイピもうさぴょんもイカロスもいる。


 イカロスは頭と二本の腕に木のイラストを貼り付けてガチの「見守り隊」になっていた。


「ちょっと待て!イカロス、何だその格好は?」


 にゃんぴーの問いにイカロスは涼しげに答えた。


「ん?ただの隠形おんぎょうですよ」


「いや、隠形はともかくイカロスはそんな奴とは思わなかったよ」


 呆れるにゃんぴーにうさぴょんが、


「私はこんなこと止めようと言おうとしたんだけど、タコピ君はめんどくさいから」


と小声で話した。しかしうさぴょんの眼には期待の光が宿っている。


「コンピさんとトラ子さんの邪魔をしちゃ悪いです〜」


 アイピの意見が一番まともだった。にゃんぴーもそう言う見方もあるかと見守り隊に汲みした。


「おおー、タコ割がしたい気分だ!」


 興奮してきたタコピが正拳突きを大木にかました。木は轟音と共に倒れる。一同に緊張が走った。


「トラ子さん、今はこうして同じ時間を過ごせることが僕の幸せです」


「私もよ。コンピ」


 コンピとトラ子はこれだけ周りが騒がしくしても見向きもしなかった。にゃんぴーはさらに呆れ顔になってイカロスを見た。


 しかしイカロスは小さくガッツポーズを作り2人を応援している。


「トラ子さん。僕はもう我慢できません。僕と結婚してください!」


(なに!?)にゃんぴーが驚くのも無理はない。まさかいきなりプロポーズするとは誰も思っていなかった。


「私みたいなトラでも良いの?喜んで。これからもよろしくね。コンピ!」


 トラ子は少し涙目になってコンピを抱きしめた。


「結婚おめでとうございます。て〜い!」


 アイピが茂みから飛び出して手に持っていたバズーカ砲を空に向けて打った。青白い光の筋が星空に軌跡を生んだ。


「あ〜もう、おめでとうだー!」


 にゃんぴーもカバンの中からバズーカ砲を取り出して空に放った。彼女のは黄色い光だった。


「二人に祝福を!」


 イカロスも茂みからでて空に放つ。白い光の筋が生まれた。


 続いてタコピ、うさぴょんが赤い光、ピンクの光を放つ。くまぴ、ポチピ、岩ピも続く。


 コンピとトラ子はそれには反応して2人ともバズーカ砲を空に向けた。


「トラ子さんを幸せにします!」


「コンピと一緒に幸せになります!」


 二人の光は緑と水色だった。それぞれ10人の光が空に軌跡をつけてホウキ星のようになる。これがシャイニングロードだ。


「あれ?」


 にゃんぴーは首を傾げた。理由は今回のシャイニングロードがなかなか消えないことだ。それに10本の光が1つとなり様々な色がグラデーションとコントラストを奏で虹色の光となった。こんなことは今までなかった。


「わ〜きれいです〜」


 アイピは感嘆の息を漏らして踊り始めた。それにタコピとイカロスが乗ってきたので皆つられて踊りだした。


 星降る夜に一筋のシャイニングロード。これが今集まっている皆には全てだった。ポチピとくまぴが歌い始めたので皆も歌った。


 やがてシャイニングロードは広がり光のカーテンとなった。オーロラだ。皆はオーロラが現れてると芝生に寝転び空を見上げた。


 アイピが瞬間的に夢の世界に旅立ったことはいうまでもない。皆も気づけば眠りにつき、そこで一晩を過ごした。



「はあ〜、今日も良い天気です〜」


 次の日、川辺りの桜並木の石畳を空中散歩するアイピがいた。いつもの日曜日、いつもの朝、アイピはいつでもマイペースだった。


            〈おしまい〉





「私はアイピ!魔法使い!」を最後まで読んでいただきありがとうございます。


もし心に何か残るものを感じたかたは評価やブックマーク、感想などをくれると喜びます。


また次回作で皆さまとお会いできる日を楽しみにしています。


本当にありがとうございました。

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