【十文字目】 なつのうた
昨年に投稿しようと思ったのですが、間に合いませんでした。二年ほどかかった作品です。
あつい空気は揺れてゆがんで
いつかの光をとかしこむ
盂蘭盆会のかげろうは
縁をむすんだ
大提灯に灯をいれる
かいた氷の甘い粒
きりりと冷えたラムネ瓶
首筋にあて ひと息ついて
蛍光色のシロップに
心も塗られる夏の宵
ささらとゆれる笹の葉に
白く浮かぶは天の川
スピカは青く白くと西の空
星座の乙女は慎ましく
袖にからまる黄金の穂
太鼓が響く里の盆
地と天 分かつ境界を
つなげる踊りは宵の底
涕涙を隠すは闇の帳と
灯籠流しの蛍の火
懐かしい面影と
匂いと声と
ぬくもりと
願わくば 忘れずにいて
望むのは 鮮やかな記憶
葉月の夏と夜の蝉
ひとときの逢瀬と知るものの
触れて追うのはかなわない
閉曲線の浴衣はひらりと
ほらほら ごらんよ蜃気楼
混じり合い 霞むまま
見てはならぬ その影に
蒸しあげられるは熱気流
眩暈はくらりくらりと
靄もたゆたう
八百万の神さまたちも
赦しをほどこす
夜の夢
らんちゅう瑪瑙
りゅうきん更紗
流転輪廻の帯模様
蓮華の台座の手のひらで
六面賽の目 くるりと廻る
環につながって 廻り廻るよ
浴衣で踊る盆踊りは独特の雰囲気がありますよね。
近年は夜でも気温が下がらないので、夜祭りに出かけるのも躊躇してしまいます(´꒳`;)