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【一文字目】 こんなはなし
紫陽花の紫の上に
糸のような雨を降らせて
嘘でかためたあなたが
演じるよりもはやく
想いを流してしまいたい
過去はもどらない
消えることもないけれど
苦しみはいつか
幻想になる
このままではいられないから
さえずるのは
シニカルな唇
涼しげな顔をした
正論をぶる悪魔 ねえ
想像をしてみてよ
たとえば そう
地球の最後の日
つないでいたいと思った
手はあなただった
どんなに振り払われたとしても
なにがあっても
憎みきれなかった でも
泥濘をあるくような
猫にはもうなれない
伸ばしたしっぽは丸めない
ハイビスカスも
向日葵も
ブーゲンビリアも
ペテンにかけた
ほうき星のようなクズ
真夏の夜の夢ならば
ミュールにひっかけて飛ばして
麦わら帽子はお呼びじゃない
メビウスの環のなかで
もがくのはもうやめる
優しいってなに?
赦しってなに?
弱音はもう、いらないの
ラストシーンは
林檎を頭に
ルージュの弾丸で
レジストを剥がして撃ち抜いて
ロジカルな
別れ話はいらないの
初挑戦ですが、難しいなぁ。
そして、なぜかこんな内容に……。
もちろんフィクションですよ。フィクション。