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第92話 俺、異世界でシスティの冒険者カードを見て愕然とする

 システィの冒険者カードをマジマジと見ていると・・・俺が登録した時とは明らかに違う箇所を見つけた。


 俺の時はDランクと表記されていたはずの箇所が、彼女はSランクと表記されている・・・。


 それはつまり冒険者の憧れ、到達地点といっていいほどの高みに最初から到達しているということだ。俺でさえ、毎日コツコツとBランク相当のやつを主にシャドーウルフを倒し続けて、やっとCランクになったというのに・・・まぁ今回の依頼達成でAランクに昇級出来るからいいんだけどさ。


 昇級のことを考えていると、ふと俺にプロポーズをしてきたあのおっさんのことを思い出した


 ゲケレストって確かBランクだったよな・・・あいつもそこそこ頑張ってたんだな。まぁだからといって、好感度が上がる事なんてこの先一生ないんだけど・・・俺はまだアスティナのことをガキと言ったことを忘れていない。


 さてと、予定にはなかったことだが、システィの冒険者登録も済んだことだし・・・そろそろおいとまするかな。


 俺がソファーから腰を上げると、システィは俺が宿屋に帰るのを察したのか、彼女も空になったカップをお盆に回収し始めた。


 その彼女の行動を見て、そういやこのカップはリリアーヌのとこから借りてきたやつだった。ストレージに収容して持って帰るのかと思って様子を見ていたが・・・彼女はそのまま4人分のカップをお盆の上に載せただけで収容する気配がない。


 どうしても気になった俺は彼女にどうやって持って帰るのか質問をした。


「あのさ、システィ・・・そのストレージというか、どっかに収容とかはしないのか?」


「ストレージ・・・申し訳ございません、お嬢様。私めにはその言葉の意味が分かりません・・・」


「あー、えっとな・・・そのカップ、どうやって持って帰るのかを聞きたかったんだ」


 俺の問いがおかしかったのか、彼女は「お嬢様・・・もちろん、このままお盆に載せて帰りますが?」と少し不思議そうにしながら答えてくれた。


 俺はただただ静かに頷くことしか出来なかった、それはつまり俺たちに出してくれた紅茶を熱々の温度を維持するために走りながら、しかも一滴もこぼさずにお盆に載せたままここまで運んできた事を意味している・・・・・・よし、ひとまず考えるのをやめよう。


「それじゃ、今日はこれでもう帰るわ。センチネルなにかあればすぐに連絡をよこしてくれよな」 


「了解だ、アスティナ君。そっちこそ、ボクたちが犯人を特定するまで騙されたように演じておいてくれよ!」


「あぁ!任せておけ・・・こう見えても、案外演じるのも上手いんだぜ・・・あー、それと最後に一つだけ聞きたいことがあるんだがいいか?」


「なんだい・・・さすがのボクも帰り支度しながら、質問がくるなんて思ってもみなかったけど・・・」


 俺はセンチネルにシスティが最初からSランクなのと水晶が真紅に染まっていたことについて質問した。


 彼はSランクについては【オークエンペラー】をほぼ一人で倒せるような人をDランクからはじめさせる訳にはいかないと言ってきた。


 つまりは・・・俺のAランク昇級と同じように例のスカウト方式を採用したということだ。もっともらしい言い訳ではあるが、それでもシスティを冒険者として登録してくれたのだから・・・まぁ良しとするか。


 問題はもう一つの真紅な水晶の方だ、これ絶対犯罪歴とか出てるはずなのにあいつら見て見ぬふりしていただろ。


 これについてはセンチネルもセレーンさんもだんまりを決め込んでいた・・・俺は独り言のように質問をしてみた。


「もしもの話だけど・・・普通に冒険者登録をしようとしたら・・・断られるやつだよね?」


 彼らはまだ口を閉ざしている・・・さらに追加で「国によっては斬首刑的なこともあったりする?」とセンチネルの目を見ながら、質問をした。 


 目は口程に物を言うということわざを考えた日本人ってすごいなぁ・・・と感心した、なぜなら今のセンチネルの姿がそのことわざ通りだったからだ。


 彼自身も自分がかなり動揺していることに気づいているはずだ・・・だって、あれほど目が泳いでいる人見たことない・・・いやセレーンさんのときも動揺してたな、うちのギルドマスターちょっと豆腐メンタルすぎないか。


 システィはアスティナの近衛兵だったようだし、彼女を守るために殺人などの罪を犯すことになったんだろうな・・・。


 さすがにちょっと意地悪な質問だったかもしれないと思った俺は部屋を出る前にセンチネルに一言謝ろうとしていた時だった、急にセルーンが俺の行動を妨げるかのように話し始めた。


「あれ・・・斬首刑なんて生易しいものじゃないわよ。その血が途絶えるまで・・・えっと、子孫にも罪が引き継がれるやつよ?」


 唐突なセルーンの言葉に俺はただ一言「マジで・・・」と呟くことしか出来なかった。

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