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第83話 俺、異世界でセルーンの階級を知る

 いつものセレーンさんならすぐに止めようとするはずなのに、この時だけは「姉さんの好きなようにさせてあげて」と普段の行動からはとても信じられない言葉が彼女から告げられた。


 俺はその衝撃的な言葉の真意を知りたくて、セレーンさんにその続きがあるのなら聞いてみたいと思ったが・・・口に出すことはしなかった。


 家族で決めたことによそ者の俺がズケズケと土足で踏み込んでは行けない・・・彼女たちがそう決めたのなら俺はそれに従うべきだ。


 この少し重たくなった空気を変えるべく、俺はセレーンさんにセルーンからオークキングの討伐について報告を受けたのか聞くことにした。


「セレーンさん、セルーンお姉ちゃんからオークキングの事は聞いた?」


「えぇ、もちろんよ。それとエリンさんの事も聞いているわ・・・オークキング討伐、お疲れ様、そしてありがとうございました」


 彼女はそういうとわざわざ立ち上がり、俺に向かって頭を下げて感謝してくれた。


 右手を軽く左右に振りながら、俺は「そこまで感謝されることはしていないよ」と返した。


 それでもセレーンさんは「本当にありがとう、アスティナさん」と続けてお礼を言われた。


 俺はその【ありがとうございました】の意味が二重の意味を示していたことにすぐには気づかなかった。


 一つはオークキングを倒してくれて、ありがとう。もう一つはセルーンを助けてくれて、ありがとう。


 意味合い的には後者の方が比重が大きい、俺もあの時エリンやセルーンのどちらかが欠けていたらと思うとゾッとする・・・。


 それが自分の家族ならば・・・その思いはさらに・・・俺には想像もつかないほどだ。


 元の世界でも・・・俺はずっと一人だった、両親は生きていたし、友達もいたが本当に心を許せるやつは・・・あっ、一人だけいた、あの名前も顔も思い出せないようになってしまった親友。


 だけど・・・いまは俺にも大切だと一緒にいたいと思えるやつが出来た、まぁ誰一人死ななかったのだし、しんみりするのもこれで終わりにして先の話をしないとな。


 その前に回収してきた諸々をどうするか、セレーンさんに聞いておかないといけないか。


「セレーンさん、とりあえずオークキングとあいつが使っていたナタは回収してるけど」


「毎回、魔物全部持って来るのにはもう慣れたけど上位種までも普通にストレージに入るのね・・・さすがはアスティナさんだわ」


 関心しながら、というかアスティナだしな・・・という俺と師匠が良く会話しているエリンだしな・・・と同じ雰囲気を出しながら、セレーンさんは「あとでアスティナさんが行くって、ガラクさんに連絡しときます」と言うとセンチネルがいる席の方に向かい、机から一枚依頼書を拾い上げるとこちらに帰ってきた。テーブルに持ってきた依頼書をこっちが見やすいように置いてくれた。

 

 あとはギルドマスターが承認してくれればすぐに報酬が振り込まれるのだが、魔物買取所にオークキングを買い取りが済んでからの方が、色々と後処理が楽らしい。


 そういうこともあり、俺は今スグにはA級にはなれないらしい。まぁすぐになったところで何か得する訳でもないので、それで構わないと返事をした。


 なぜかセルーンは今すぐに俺をA級に上げたいらしく、俺のデッキケースを最上級品でと言っていた時のようにまた燃え上がろうとしている。


 デッキケースの時はかなり助かったが今回に関しては正直なところそれほど急いではいないし・・・どっちでもいいかなと。


 俺の代わりに異議を唱えているセルーンに「セルーンお姉ちゃん、昇級する時はエリンと一緒がいいんだけど・・・」と伝えるとその言葉が思ったよりも効いたらしく「それもそうね・・・エリンがいないとダメね」とすぐに納得してくれた。


 俺はついでにちょっと気になったことがあったので、その事についてもセルーンに聞いてみることにした。 


「それはそうと、セルーンお姉ちゃんってさ、冒険者でいえばS級なのか?」


「あー、センチネル!!アスティナちゃんにはもう言ってもいいわよね?」


 なぜか俺の質問に答える前にセンチネルに確認を取り始めた、センチネルはこっちを見ずに「アスティナ君はもうこっち側だし、別にいいよー!」と返してきた。


 俺はその【こっち側だし】という意味が気になって仕方が無かったが、センチネルから許しが出たセルーンは正直に話してくれた。


「わたしのランクはね・・・SSS級よ。どぉ、ビックリしたでしょ!!」


 とセルーンは自信満々に俺の質問に答えてくれたのだが・・・セルーンのランクよりもそんな彼女の攻撃でもビクともしなかったオークキングの事が気になった。

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