第8話 俺、異世界で鑑定の使い方を覚える
あれからまた1時間ほどが経過した時のことだった。久々に整備されている道のようなものを見つけた。今度は彼女の意見だけを聞かずにちゃんと2人で相談することにした。何度か駄々をこねていたが、俺が自分の足をチラチラ見る動作をすると大人しくなった。
「道っぽいのはあったな。周りの木々も伐採されてたし、さて、問題はどっちに向かえば冒険者の町にとやらに着けるのかってことだな。そういや、木の年輪で方角がわかるんだっけ、嘘だったとかいうのも聞いたことあったし、どっちだっけか?」
と俺が悩んでいると、また彼女の悪い癖が出始めようとしていた。
「ねぇ、ねぇ!アスティナあっちの道になんか石を積み重ねているのが見えるよ、あれはなにかな?」
「なんだそれ、俺もそっちに行くからちょっと待ってろ!ここからだとあんまりよく見えないな。だけど、あの感じあまり近寄らない方が良さそうだ」
なにかここからでも確実に見る方法はないのだろうかと考えていると、ランク1だから使えないと思っていたあの能力を思い出した。鑑定(カード)ならもしかしたらテキストが見えるんじゃないか。
たぶん物にはランク適応されないはずだ。ショップで初級ポーションが売っているか確認したとき、レアリティはあったがランクは存在しなかった。
「で、鑑定(カード)ってどうやって発動するんだ・・・他の2つはステータス画面から操作できるが、これは画面押しても無反応なんだよな」
どうやれば発動するのか分からず、あれやこれや試しているとまたエリンがふらふらと移動を開始していた。俺はそんな彼女を止めるべく叫んだ。
「おぃぃぃぃ!まだどっちに行くか決めてないんだから、動くなよ!」
「えぇぇぇ、だってあの石のやつすごく気にならない?」
「あー、もう仕方ねぇな・・・、これただ石を無理くりのせているだけじゃないか」
「わたしも小さい頃こんなことして遊んでたわ~、今じゃもうしないけどね!」
なぜにちょっと自慢気なんだ、この娘は・・・。しかし、なぜこんなところに子供がやるような積み木の石バージョンみたいのがあるんだ。俺は重なっている石を1つ拾い上げ、その石を見ながらある言葉を口に出してみた。
「鑑定(カード)」
すると、俺がいま持っている石に対して画面が表示されたのである。
「なるほどな、視界にいれた状態で鑑定(カード)と言えばいいのか」
「なになに、オークの石積み・・・ほぉ?この先にオークの集落がある目印です。低ランクの冒険者はこれを見つけたら即逃げましょう。・・・・・・マジか・・・オークってあれだろ繁殖力がヤバい魔物じゃなかったっけ?」
そして彼女にこのことを伝えようとしたときにはもうすでに手遅れだった。
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