第74話 俺、異世界でオークキング討伐その2
あれから5分ほど歩いてはいるがまだオークキングどころかオークにすら出会っていない。サーチを使えばすぐに場所が分かるのではと思うかも知れないが・・・あの豚の王様を探すことは出来なかった。魔物大全集に載っていなかったとかいう訳でもなくシャドーウルフの時のようにオークキングのページを開いては絵を見たり、文章なども読んでみたがやはり無理だった。
他の魔物で何度か試してみたが通常の魔物とは違う上位種というか今回のオークキングのような魔物は全てサーチ不可能だった。
通常の魔物は特に問題なくサーチ出来た、まぁドラゴンのようなヤバい相手は普通に無理でした。
先行するセルーンが討伐対象を見つけたのか、急に立ち止まるとその場でしゃがみ込み、こちらを振り向いた。仮面越しではあるが口元に人差し指でシーッと声を出さないように指示したのち、手招きをしてこっちに来るようにジェスチャーをした。
セルーンの指示に従い、俺たちもしゃがみながらゆっくりと彼女のいる場所まで移動した。
次にセルーンは前方を指差して、討伐対象であるオークキングがいる場所を教えてくれた。彼女が示してくれた方角200メートル先にオークの集団が見えた。
前回殲滅したはずのオークがまた50体ほどとその中心に元は巨木だったであろう切り株をイスとして座っているオークキングの姿があった。
オークですら身長250センチぐらいはあったのにオークキングともなるとその身長は優に5メートルは超えているのではないかと思えるほどデカく横幅もオーク2体分ほどあり、そのせいでさらに全体的にデカく見えた。
装備としてはオークの身長ほどあるナタのような武器、遠目からでも刃こぼれしているのが良く分かるほどにボロボロ。あと個人的に一番気になったのはやつの頭に太陽光が当たり鈍い光を放っている王冠だ・・・ただオークキングの頭に合わせて作られていないのかなんかサイズ感が小さいように見えた。
急に左肩を叩かれた俺は左に顔を向けた、振り向いた俺にエリンも同じ感想を抱いていたのか自分の頭の上に両手で輪っかを作り、次に胸辺りでバツ印をすると首を傾げていた。
俺たちふたりがオークキングの位置を確認し終わったのを見たセルーンは俺に耳打ちでオークキング討伐方針について話してくれた。
「残念だけどわたしは討伐の手伝いは出来ないわ・・・だけど、ふたりが命の危機に瀕した場合は依頼を無視してでも助けるわ」
「わかった、そうならないように頑張るよ。案内ありがとうな、セルーンお姉ちゃん!」
「セルーン、色々とありがとうね。あとずっと気になっていたんだけど・・・その仮面はなに?」
「あー、これはね。わたしギルドの諜報員でもあるから、こうやって顔がバレないようにしているのよ・・・というか、いまこのタイミングで聞いてくるのね」
ここまで案内をしてくれた彼女に礼を言うとセルーンは「それじゃ、頑張ってね♪」と言い残すと一瞬で姿が見えなくなった。
さて・・・オークキングを倒す前にまずはあのオークが邪魔だな、まだあいつらは俺たちに気づいていない、この2週間でそれぞれの魔法の効果や範囲なども分かったし、出来れば広範囲魔法で一掃したいところだがここが樹海でなければそれも出来たかもしれない。
俺が覚えている魔法で広範囲に影響がある魔法はざっと3種類ある。
まずは火属性上級魔法のフレイムフロア、これは指定した場所に炎を発生させる魔法でその様子が絨毯を敷いているように見えることから炎の絨毯と呼ばれている。こんなものここで使ったら燃え移りまくって、樹海全焼するわ・・・ということで却下。
次が土属性上級魔法のロックフォール、上空に岩石を形成してそれを任意の場所に落下させる魔法なんだけどこれも木々が邪魔であまり使い勝手は良さそうには思えないので、これも却下。
最後が風属性上級魔法のサイクロン、これは名前の通り竜巻を発生させる魔法・・・どう考えてもこれもアウトだな・・・てことで却下。
ならば、水属性上級魔法のアクアレイでオークキングを狙撃で暗殺してみるってのはどうだろう。親玉を倒すことにより命令系統に支障をきたしたところを各個撃破していくのもありかもしれない。
アクアレイは、水を圧縮してレーザーのように発射する魔法で工場とかで金属をスパっと斬るかのようなあれが出来る。
ただこちらは直線状に真っすぐと進み軌道を変えれないため斬るというよりかは点で穴が空く感じだ。
これで心臓を狙撃・・・だと魔石に傷が入るかもしれないからヘッドショット推奨になるのだがそこがこの作戦の一番の問題だ。
当てることは出来るかもしれないが・・・ピンポイントで狙って当たったことがこの2週間ではほぼというかゼロと言ってもいいかもしれない。
とりあえずこの作戦でやってみていいかエリンに相談しよう・・・。
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