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TCGコレクターのイラストアドな異世界生活!?~異世界に飛ばされたけど、推しカードの見た目や性能で召喚されたので、特に問題はありません~  作者: 虎柄トラ
第1章 樹海ミスト編

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第73話 俺、異世界でオークキング討伐その1

 あれから20分ほど道沿いを歩いて行くと腹に矢が刺さった場所・・・あの休憩した木が見えてきた。ふと横を歩いているエリンの顔を見ると彼女も俺と同じことを考えていたのか同じように俺の顔を見ていた、俺たちは顔を見合わせながら笑ってしまった。


 あの辛かった思い出もいまとなったらこんな風に笑えるようになったのが嬉しかった、今度はさらにその思い出をオークキングを倒したという記憶で上書きしてやるから・・・待っていろよ、豚の王様。俺は右手を握り、拳を作ると正面に向かって軽くジャブを打った。

 

 次に見えてきたのがこの世界に来てはじめて声が枯れるほどに叫んだオーク集落があった場所、なぜそこだと分かったのかと言えばオークの石積みがそのまままだ置かれていたからだ・・・。


 オークの石積みから10メートルほどの距離まで近づいたところで先行していたセルーンが右手を軽く挙げて静止した。


 俺たちも彼女に合わせて、その場で止まるとセルーンから「この先にオークキングがいるわ。歩き続けて疲れたでしょ、少し休憩しましょう」と仮面を取りながら言うと3人が座るには少し大きいレジャーシートをどこから出したのか分からなかったが敷いてくれた。


 俺もエリンも彼女の意見に賛同し、レジャーシートに座ると俺は水筒と人数分のコップ、軽食としてクッキーを10枚ほど、あとはそれを載せる皿を取り出した。


 俺がコップにお手製ハーブティーを入れようとした時にはもうすでにエリンの両手には種類の違うクッキーが1個ずつ握られていた・・・がいつものことなので俺は気にならなかったがセルーンはその素早い行動を見て「エリン・・・やるわね」と呟いていた。


 2人の前にコップを置くと俺もクッキーを食べようと手を伸ばしてみたが・・・そこには真っ白な皿のみしか見当たらなかった、どうやらこの20秒にも満たない間にもう全て平らげられてしまったようだ。

 

 セルーンを見るとまだ右手に半分ほど残ったクッキーがあり、咀嚼をしているところを見るとその1枚をゆっくりと味わって食べているように思えた。


 相棒の方はというと両手には何も持っておらず、真っ白な皿を見てただただ呆然としている・・・いや、あんたが9割ひとりで食べてるんですよと、口に出しそうになったが俺もクッキーが食べたかったので追加でまた10枚ほど取り出して、皿に置いていくとその様子を見ていたエリンの表情が明るくなっていく・・・そして俺がクッキーを取るよりも素早く彼女の手が動いていた。


「エリン、このあとオークキングと戦うんだから食べ過ぎるなよ・・・。というか俺とセルーンお姉ちゃんの分おいとけよ」 


「・・・・・・もぐもぐ・・・・・・うん?」


「・・・エリンって食べ物のことになるとこうなるのは知っていたけど、聞くのと実際に見るのとはまた違うわね」


 俺はセルーンの方を見ながら「大丈夫、すぐに慣れるから!」と親指を立てながら伝えると、彼女は

「そうみたいね、わたしもエリンだしって思いつつあるわ」と言いながらコップを手に取ると美味しそうに飲んでいた。


 話題に上がっている本人は気にする様子もなくクッキーを口に放り込んでは笑顔を浮かべて、最後にハーブティーで流し込むというループをしている。


 追加で取り出したクッキーも無くなったし、セルーンも仮面を取り出していつでも付けれるように横に置いているのを見て休憩もそろそろ終了かと思い、コップにまだ少し残っていたハーブティーを一気に流し込むと「ドロー」と唱えながら引き抜き動作をした。


 昨日寝る前に試しで何度か動作確認はしていた、うっすらとシルエットが見えたと思った刹那、手元にイメージしたカードが出現するのは何度見ても感動する。


 俺は引いたウォッシュを唱え、食器を洗ってストレージにしまい終えると立ち上がり、軽く体をひねる動作をしながら、セルーンにいつでも出発できることを伝えた。

 

「休憩はこれぐらいでいいぜ、それにこれ以上この状態が続くとエリンがクッキーを食べ過ぎて動けなくなるしな!」


「わかったわ。それじゃ、2人ともここから先は気を付けてね」


 俺とエリンは無言で頷きながらレジャーシートから離れる。いつの間にか仮面バージョンになっていたセルーンはレジャーシートをまたどこかにしまい込むと、すぐに俺たちを先導するために歩き始めた。歩き出したセルーンについて行くために俺も歩き出そうとしていたところエリンからどうでもいいことを言われた。


「アスティナ、わたしそんなに食べてないわよね?」


「あー、そうだな。クッキーの9割ほどを食べただけだもんな・・・」


「うん、そうよねぇ。もうアスティナがあんなことを言うなら気になっちゃったじゃない!」


 セルーンに気を引き締めるように言われた矢先にこのエリンの行動に呆れつつも程よい感じに緊張が取れたのか、オークの石積みの真横を通る時もあの光景を思い出しはしたがそれだけで特に何も感じなかった。

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