表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TCGコレクターのイラストアドな異世界生活!?~異世界に飛ばされたけど、推しカードの見た目や性能で召喚されたので、特に問題はありません~  作者: 虎柄トラ
第1章 樹海ミスト編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

70/220

第69話 俺、異世界でセルーンとの特訓その1

 俺はラジオ体操を終えるとストレージから水筒と4人分のコップを取り出し、演習場の端にある石で組まれた台をテーブルの代わりにした。


 早速コップにハーブティーを注ごうと思ったが・・・熱々で飲むのも最高に美味しいのだがいまは準備運動とはいえそこそこ本気でやったため、冷たいのが飲みたいなと思った俺はエリンと一緒に買い物したときに密かに購入していたロックアイスを取り出し、コップにそれぞれ入れた後にハーブティーを注いでいった。


 氷がカランッ!っと音を鳴らしながら徐々に溶けていく様子を見て、俺たち4人は待ちきれずにコップに手を伸ばすと一気に飲み干した。冷たいっ!というほどまでまだ冷えてはおらず、どちらかというとぬるい・・・という表現がピッタりなのだがそれでもさすがはリリアーヌお手製なだけのことはある。


 どの状態で飲んでもやはり・・・ただただうまい。喉の渇きもマシになったので次はちゃんと冷えるまで待ってから飲もう、早速第2段をみんなで楽しむために、またロックアイスをコップに入れてハーブティーを注ごうと思っていた矢先・・・俺はある人と目が合った・・・俺のために結界を張ってくれていたセレーンさんその人だ・・・。すでに魔法は唱え終わっているらしく、ニックリと微笑みながらこっちの様子を見ているようだ・・・。俺はすぐにもう一つコップを取り出しては震える手をもう片方の手で抑えながらセレーンさんの分を用意をした。


 他の3人は俺の方を向いていたため、セレーンさんのあの様子にまだ気づいていない・・・だが、正面にいる俺の呼吸が荒くなりながら、震える手でハーブティーを注ぐ様子を見て察したのだろう・・・あれほど賑やかだったのが嘘のように静寂に包まれている。


 そして俺の前でセンチネルとセルーンがコソコソとなにか話し始めた・・・。エリンはあまり気にしていないのか自分のコップの氷が溶けるのをジッと見ている。


「センチネル・・・完全にセレーンのこと忘れていたわ・・・わたし後ろ見れないから・・・センチネル、あなた見なさいよ!」


「セルーン・・・それは無理だよ・・・。ほら、アスティナ君を見て見なよ・・・・・・な、無理だろ?」


 センチネルから俺を見るように言われたセルーンはこっちをチラッと見るとすぐに頭を下げて「・・・・・・・・・・そうね」と呟いた。それからはもう蛇に睨まれた蛙のようにこの2人は微動だにしなくなった・・・。その横ではそろそろ飲み頃かなとウキウキし始めているエリンが見えた。


 あの2人はもう使い物にならないと思った俺はコップを手に取るとセレーンさんのところに持って行った。右手でコップの横から持つと左手で底を持つようにして彼女の元まで行くと「アスティナさん、ありがとうございます」とコップを受け取りながら、お礼を言ってくれた。


 俺は恐る恐る彼女の顔を見ながら「ラジオ体操を教えることに夢中になって・・・その」と言葉に詰まっている俺にセレーンさんは「早くしないと特訓する時間が減っちゃいますよ?」と頭をポンポンと優しく触りながら特訓を始めるように言ってくれた。


 それを聞いた俺は勢いよく頷くとセルーンに特訓を始めてくれるようにお願いした。セレーンさんが怒っていないことに安心したセルーンはハーブティーをまた一気に飲み干してコップの中を空にすると演習場の中心に向かって歩き出したのが見え、俺もそちらに向かおうと移動をはじめたときにはすでに俺よりも先にセルーンがそこで待っていた・・・。


 目を離した時間は1秒も経っていないはず、さらに言えばまばたきをしただけ・・・やっぱこの人は強い・・・だからこそ俺はこの人を選んだ。


「アスティナちゃん、わたしね・・・教えるの下手だから・・・実戦形式でいいかな?」


「それで頼むよ、俺も手取り足取り教えてもらうのは好きじゃないんだ!」


「ふふふ、アスティナちゃんならそう言ってくれると思っていたわ。やっぱり相思相愛ね♪」 


「セルーンお姉ちゃん、ほどほどにな・・・セレーンさんもだけどエリンもこっち見てるぞ・・・」


 戦闘モードのセルーンはそんな俺の言葉なんて気にせずにさらに話を続けてきた。センチネル、セレーンさん、それにエリンも特に変化が見られない、俺にはいつも通りの冗談に聞こえたが・・・俺以外の3人にはまた違う光景に見えているのか・・・これが経験の差ってことか。


「アスティナちゃん、ブーツに魔力は通した?いつでも始めてくれて構わないわよ。そ・れ・と、もちろん手加減はしてあげるけど、もし痛かったらごめんね♪」


「あー、問題ない・・・それぐらいしないと覚えられないしな!!」


 と言った瞬間、俺は一気に加速をしてセルーンの前まで距離を詰めるとゲケレストを即ダウンさせた飛び蹴りを放った。 しかし、その一撃はただただ空を蹴っただけで先ほどまでいたはずのセルーンの姿が消えていた・・・ザザァァァッ!と地面に足をつけ、速度を殺してながら周囲を確認する。


 しかし・・・どこにも見当たらない、最後に背後を確認しても見つけられず、一呼吸を入れながら正面を向くと、セルーンが目の前にいた・・・そして盛大にデコピンをされるとゲケレストのように後方に吹っ飛ばされた・・・。1回目の特訓はこんな感じで終わりを告げた。

「面白い」「続きが気になる」と思っていただけましたら

是非ともブックマーク、評価よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ