第63話 俺、異世界で魔石について教えてもらう
「・・・・・魔石ってなんだ?」
ガラクに質問すると「魔物を倒しに行っときながら、知らなかったのか!?」と肩が上下するほどに爆笑しながらも魔石のことを説明してくれた。
魔石とは魔物の心臓付近にできる石のことで魔物と該当されている生物には必ずその石がそこに存在しているらしい。ただ魔石はちょっとした衝撃でもすぐに欠けてしまうほどに繊細らしく今回のシャドーウルフのように綺麗な状態で残っているのはめずらしいとのことだった。
ガラクの説明でとりあえずめずらしいのは分かったがそれだけで買い取り額が倍になるほどではないようにも思えた。
「めずらしいのは分かったが・・・だけどそれだけの理由でこんなに買い取り額は上がらない気がするんだよな」
「お前さん・・・この部屋の明かりってどうやって点けてると思う?」
ガラクから急に問題を出題された俺は「あー、もちろん・・・それは・・・・・・」と答えようと思ったがそもそもこの世界に電気はあるのだろうか。前の世界でも電気が使われ始めたのが150年前ぐらいのはず・・・だが中世のヨーロッパを模しているようなこの世界で電気なんて使っているのか・・・。
きっと答えはノーだろうな・・・それにガラクの問題の出し方がもう答えをいっているようなものだ。昨日エリンに髪を乾かしてもらっていたときに宝石のようなものがドライヤーにはめ込まれていたのを見たような気がする・・・もしかするとあれが魔石だったのか。
つまりは魔石を動力として電化製品らしき物体が動いているのは理解はできた。ただいまはこれぐらいしか分からないし、思いつかなない・・・ヒントをそのままいう感じにはなるがひとまずこれで返答しておくか。
「魔石を動力として明かりを点けてるってことか・・・」
俺の回答はそれはもう可もなく不可もないものではあったがガラクはそんな答えでも大きく頷きながら「それであってるぜ!!」といってくれた。
それから魔石がどんな風に使用されているのかをさらに詳しく説明してくれた。まずはここの照明のように動力として使用すること、魔石の使用先で一番多いのがこの使い方だそうだ。
次に多いのがソーサラーやウィザードなどの俗に言う魔法使いが装備に装飾として使用する場合だ。なぜ魔法使いに魔石が必要なのかというとこの世界にはMPを回復するすべが自然回復のみしかない・・・それはつまりポーションのように飲んでHPを回復するようなことが一切できないってことだ。
そこで活用されるのが魔石だ。魔石には魔力を溜める性質があるらしくそこに着目した魔法使いは自身の魔力を定期的に魔石に溜めることにより、ストックとして魔石を持ち歩き、万が一自身の魔力が尽きたときの保険としている。
そして最後の用途が一番聞いてて・・・虚しい気持ちになった・・・それは権力者が自分の権力を示すためだけに宝石として使用することだ・・・。
魔石は全ての魔物が持っているとはいえ強い魔物になればなるほど純度も高くなり質も良くなる・・・それに魔物の大きさによって大小も変化するため、特に魔物の中で権力者に一番人気のあるのはドラゴンの魔石らしい。
魔石の性質は状態にかなり影響を受けるらしく、全く欠けていないものとほんの一部分・・・たった数ミリにも満たない箇所が欠けているだけでも2割ほど溜められる量に差ができるらしい。そして問題のシャドーウルフ11匹全ての魔石は・・・傷一つない完璧な魔石だったらしい・・・。
シャドーウルフはB級とはいえまだ下位の方ということもあり、全て込みで金貨100枚だったが、もしこれがドラゴンだった場合、最低でも金貨10,000枚はくだらないレベルらしい・・・しかもこっちは魔石だけの値段で・・・。
とりあえずいままでの話を俺なりにまとめてみると、魔石に魔力を溜めることで動力として色々使え、状態が綺麗なほど性能も良い・・・そして権力の象徴にもなる・・・以上。
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