第53話 俺、異世界で亡骸を収容する
俺たちは倒したシャドーウルフの討伐証明として牙を抜き取るために近づいた。それと周囲にシャドーウルフがいなくなったのかいままで目の前にあったナビが消えていた。
倒したシャドーウルフの前まで来ると額辺りに穴が空いている場所を見つけた。どうやらここにエリンが放った矢が命中したようだ。
一番近くで倒れていたということは最初に狙ったやつではなく群れで襲ってきたときに先頭を走っていたシャドーウルフのはずだ・・・。ということは俺の相棒は走っている状態のこいつを狙い撃ちヘッドショットをしたということになる。
「・・・・・・エリン、お前って・・・やればできる子だったんだな。見直したよ・・・マジで!」
「それってわたし褒められてるのよね?」
「あー、もちろん!!」
「・・・そぉ?ふふん、わたしを相棒にして良かったでしょ」
「あぁ、そうだな。それで次はこいつから牙を抜くんだよな・・・」
「えぇ、そうよ。シャドーウルフということが分かればどこでもいいんだけど、一番牙が見分けやすいんだって。ただ・・・このシャドーウルフは素材としてもそこそこの値段で買い取ってくれるからちょっと勿体ないかもしれないわね」
「そうか、買い取ってくれるのか・・・それもそこそこの値段で・・・・・・」
彼女の言葉を聞いて、俺はこのシャドーウルフをそのまま持って帰ることができれば副業として結構良い収入になるのではないかと思った。ストレージの説明には生き物以外ならなんでも収容できると書かれている。それなら・・・もしかしたら収容することは倫理的にどうかとは思うが可能ではないだろうか・・・。
それを試すそうと思い倒れているシャドーウルフに目を向けた・・・するとそこにはシャドーウルフの頭を掴み上げてペンチで牙を引っこ抜こうとしているエリンの姿が見えた。俺が多少ビビりながら見ていることに気づいたのか彼女はその状態を維持したまま解説をはじめた・・・。
「牙を抜くときは注意が必要よ。ちゃんと殺していないとこうやって口に手を突っ込んだときに噛んでくるわ!それで腕がダメになった冒険者がいるって聞いたこともあるわ」
「あー、そうなのか・・・解説ありがとうな。で・・・ちょっと試したいことがあるんだ」
「エリン、ちょっと牙を抜くのやめてくれないか」
「・・・・・・わかったわ。それでなにをするの?」
「それは見てからのお楽しみってやつだ!」
俺がそういうと彼女は掴んでいたシャドーウルフの頭を手放した。そのまま地面に向かって落ちた頭によって、粉塵が舞った・・・。そのぶっきらぼうな仕草も実にエリンらしいなと思いつつも少し恐怖を覚えた・・・。
ストレージを発動し、いざシャドーウルフを収容しようとしたときにあることに気づいてしまった。それはいままでストレージの画面に収容したいモノを直接触れることにより収容していたがシャドーウルフはデカいし重いしで試す以前に俺の体力が持ちそうにない。
サーチのように対象を指定できればだいぶ楽なんじゃないだろうか・・・。
「考えてても仕方がないな・・・まずはやってみるか。ストレージ・・・対象シャドーウルフ!!」
俺がそう叫ぶと目の前にいたシャドーウルフが消えると同時にストレージにシャドーウルフの亡骸というカードが追加された。どうやら俺の読み通り生き物ではなくなった場合は収容が可能らしい。
「アスティナ、あなた・・・まさかシャドーウルフをストレージに入れちゃったの?」
「もしかしたらできるかもって試してみて正解だったわ」
「いつも諦めていた素材も持って帰れるのね・・・シャドーウルフのお肉って美味しいの!それを持って帰れるとか・・・じゅる・・・」
「あー、そうらしいな。それじゃ残りのやつも収容していこうぜ!」
それから残りのシャドーウルフを収容するために移動を開始した。
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