第52話 俺、異世界で翠弓姫の実力を知る
「それじゃ、まずはわたしからやるけどいいわよね!!」
「あぁ~、構わないぜ・・・というか俺が先にやるっていっても無視してやる気だろ・・・?」
「・・・・・・ソンナコトナイワヨ?」
「それなら・・・なぜ目をそらしているのですか・・・エリンさん?」
「・・・・・・・・・・・さぁ!やるわよ!!」
「・・・そうだな・・・・・・まかせるわ」
俺たちがいる場所からシャドーウルフまでの距離はナビを見る限り大体600メートル前後を指している。そこからシャドーウルフに近づくためにいまから移動するのかと思っていたがエリンは巨石から離れるとあとは道沿いに出るだけでそこから一歩も移動をしようとはしなかった。
その後どういう行動を取るのかも気になったがとりあえずは彼女を追随し様子を見ることにした。それから数秒後、彼女はシャドーウルフのいる方向に弓を構え始めた。どうやらエリンはここからシャドーウルフを狙撃しようとしているようだ。
彼女が弓弦に指をかける動作をするといままでそこには存在していなかった矢が現れた・・・。そのまま弓を引き弓弦が張ったのを確認すると彼女は一切の躊躇もなくシャドーウルフに向かって放った。
矢を放つ前の一瞬だけ鑑定であの矢の見ることができた。あの矢の名前はユグドラシルの矢ということとあとは使用後は勝手に消滅するらしい。
再利用は不可能だということだ。まぁあんな世界樹でできた矢がポンポンと大量に生産されたら職人はたまったもんじゃないだろうな・・・。
そんなことを考えていると遠くの方で遠吠えのような鳴き声が聞こえた。どうやらシャドーウルフに矢が命中したようだ・・・。俺はエリンにそのことを言おうとしたのだが・・・彼女は次の標的を狙って放つ準備にはいっていた。俺は狙っている方向を見て驚愕した・・・。
上から見てたときも巨石から見たときも”シャドーウルフ”はあの倒れた1匹しかいなかったはず・・・なのにいまは10匹の群れがこちらを向かって全速力で狙いに来ていた・・・。
それを見て俺も手札のカードをすぐに発動できるように右手ですぐに引けるよう体制を取った。だが結果をいうと今回一度も俺は魔法を使うことはなかった。全てエリン1人でことが済んでしまったからだ・・・。
「エリン、俺はどれを狙えばいい?」
「・・・大丈夫・・・・・・わたしに任せておいて」
「大丈夫って、お前・・・さすがに弓であの数相手は!」
「まぁ・・・そこで大人しく見ていなさい・・・これが翠弓姫と呼ばれている。相棒の実力よ!!」
そう俺に告げると彼女は目にも留まらぬ速度で弓を引くと10本の矢が一斉に放たれていた・・・。しかもその1本1本の矢がシャドーウルフ1匹ずつに向かって飛んでいくと・・・そのまま全てのシャドーウルフに命中していった。あの速度で弓矢を連射できるのにも驚いたが・・・全て命中したことにも驚いた。
全て命中したのはきっと聖弓ユグドラシルの能力、自動追尾によるものだろう。ただそれでもすごいことには変わりない・・・。
「エリンなんだ・・・あの10連射!マジですごいな!どんな動きをすればあんな速度で射れるんだよ・・・」
「ふふん・・・すごいでしょ!これがわたしの実力なんだから、もっと褒めてもいいのよ?」
「あー、はいはい。それで矢の生成と自動追尾を使ってみてどんな感じだった?」
「あの矢すごいのよ!ちょうどいい重さというかしなり具合というか・・・なんかとても使いやすいわ!!ジドウツイビってのはなに・・・あの弓って矢を作ってくれるだけじゃないの?」
「いや・・・・・・あの弓な・・・3種類能力があるんだけど?」
「・・・・・・そうなの・・・ね」
そのことを聞いた俺はエリンに弓の能力について教えてあげた。それにしてもあのシャドーウルフを全命中が彼女自身の実力なことに驚愕した・・・。
あと・・・俺の攻撃魔法の練習は何一つできなかったので次回頑張ろうと思いました・・・。
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