第49話 俺、異世界でサーチを唱える
今回迷子になったのは俺が彼女に地図を持たせたことが最大の原因だろう。樹海でのあの出来事を完全に俺は忘れていた・・・。ここからシャドーウルフの出現場所どころか元の場所に帰るだけでも1時間・・・そこからまた移動することを想像しただけでゾっとした・・・。
エリンは師匠とパーティーを組んでいたときは”師匠”が地図を見てくれていたらしいが・・・ソロになってからはどうやって依頼達成してたんだ・・・。
「なぁエリン。ひとりでどうやっていままで依頼達成してたんだ・・・この迷子っぷりで・・・」
「いままでちゃんと依頼場所まで問題なく行けたのよ?」
「嘘はいってなさそうなんだよなぁ・・・。それじゃ、今回いつもと違うことをしてたりしないか?」
「いつもと違うことねぇ・・依頼書を取って、受付に持って行って・・・ギルドを出て・・・・・。あっ・・・違うことが一つだけあったわ。いつも町を出る前にイクストリアに会いに行くんだけど今回それをやっていないわ」
「師匠のとこに毎回寄っていくのか・・・」
師匠に会いにいったときは問題なく目的地にたどり着くことができているということは師匠は魔法によってエリンの方向音痴を治しているのかもしれない・・・。そんな魔法があるのかは分からないが今度、師匠に会ったときにでも聞いてみよう。
それよりもまずはこの状況をどう打開するかだ・・・。ブーツの能力で一気に戻ることも考えたがそれだと俺だけが先行してしまいエリンを置いてけぼりにしてしまう・・・それは非常にまずい気がした。
今回もいままでと同じように”師匠”に会っていれば問題はなかったのだろうが今日はそれをしていないことを俺はもう知っている・・・。
俺は地図をエリンに返すとこの状況でなにか使えそうな魔法は無いかショップで調べることにした。その中でふたつほど試してみる価値がありそうな魔法を発見した。
まずはサーチという魔法でこれは対象を指定するとそれがどこにいるか分かるらしい。ただ・・・説明には自分が鑑定したことがあるモノや人がいる場所を調べることが出来る。と書かれているだけでその対象に魔物が含まれているのか・・・不明であった。
それに俺がいまからしようとしていることはセレーンさんが見せてくれた魔物大全集から手に入れた情報だけで対象を探そうとしている・・・。
魔物大全集とは現在見つかっている魔物の情報がまとめられていて、討伐依頼を受けたときなどに見せてくれる事典のことだ。
これで上手くいけばシャドーウルフを探す手間が省ける。あとはそこまでどうやって行くかという話なのだが・・・そこで役立ちそうなの魔法がフライだ。
説明では、風の力を借りることにより飛行できるようになる。と書かれているだけで使用者のみが飛行できるのかそれとも任意で他者にも効果を付与できるのか不明ではあるが、俺1人だけでも飛べるようになれれば・・・エリンを身体に括り付けて飛ぶことも可能ではないだろうか・・・この場合俺が括り付けられているというべきか・・・それはまぁ置いておこう・・・。
どちらにせよいまからまた来た道を歩くのはとてつもなくだるい・・・この一言に尽きる・・・なのでもうこれにかけるしかない。俺はショップでサーチとフライを購入するとまずはサーチから使ってみることにした。
「サーチ・・・対象はシャドーウルフ」
「それはどういう魔法なのよ、アスティナ?」
「ちょっと黙っておいてくれると嬉しいんだけど・・・」
「・・・・・・はい」
どうやらシャドーウルフをちゃんと対象として認識したようだ。俺の目の前にはいまナビのようなモノが表示されている。タブレットぐらいの大きさのそれは矢印と距離だけのシンプルな画面でどの方向にシャドーウルフがいるのかを表示してくれていた。
このとき俺はこの魔法はかなり使えると思った。なぜなら俺は実際のシャドーウルフを見たことがない・・・だがサーチの対象にすることができた。それはつまり魔物大全集を読破すれば現状発見されている全ての魔物をサーチ可能だということになる。
もちろんオークキングも例外ではないはず・・・だがそれは2週間後まで黙っていようと思った。
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