第48話 俺、異世界で門番と出会う
ゲケレスト”との演習も終わり、俺は依頼を受けるまでの流れを確認するために受付窓口に依頼書を持って行くことにした。そこで依頼書を受付嬢に手渡して階級などのチェック項目をパスできれば、晴れて依頼受注完了となるようだ。
まぁ今回の受付嬢はセレーンさんということもあり、何の問題もなくスムーズに進んだことはいうまでもない。
「こんな感じで依頼を受けて討伐ならその魔物を一部・・・シャドーウルフなら牙とかを証拠として持ち帰る感じよ」
「ふむふむ、なるほどな。分からないことがあったら、また教えてくれよな」
「えぇ、先輩に任せなさい!」
「それじゃ、行ってくるわねセレーン」
「行ってらっしゃい」
俺たちはセレーンさんに挨拶を終えるとそのまま冒険者ギルドを出た。討伐対象のシャドーウルフはどこにいるのだろうかと思い隣を歩いているエリンにどこに向かうのか聞いてみることにした。
この町から南に下ったところに広野があり、その先にまた町があるそうなのだがその道中に出現するらしい。この辺りで出現するウルフ系はざっと3種類いるらしく最初に出会ったウルフ次にナイトウルフそして今回の討伐対象のシャドーウルフとのことだ。
ナイトとかシャドーとか暗いところにいそうな名前なのに普通に昼間とかに出てくるんだなと俺がいうと彼女は特に名前に意味はないといってきた・・・。
ただ上位種になるにつれてどんどんウルフの毛が黒くなるからかも・・・というザックリとして答えが返ってきた・・・。そんなのでいいのかよと・・・思ったが考えても仕方がないのでとりあえず納得することにした。
歩いていると町の外へと繋がる大きな門が見えてきた。そういや俺はここに入ったときは寝ていたこともあり、これを見るのも通るのも初めてだと思うと少しドキドキしてしまった。
さらに近づいていくと門番らしき人が2人こちらを見ながら手を振ってくれている。どうやらエリンに気づいて手を振ってくれているようだ。それを見たエリンも彼らに両手を振って挨拶を返しているようだった。
「エリンおはよう!それで今日はこんな可憐なお嬢さんを連れてどこにお出かけなのかな?」
「リスタ、ガーランふたりともおはよう!ふふん、今日はね。アスティナと一緒にシャドーウルフを討伐してくるわ」
「えーと、どうもアスティナっていうんだ。リスタさんガーランさん、よろしくな!」
「・・・・・・あー君は!サリスにおんぶされていた子か・・・目が覚めて良かったなぁエリンがすごく心配してたんだぜ!ってことは、君もシャドーウルフの依頼を受けているってことだよな・・・まぁエリンがいるし大丈夫か!」
「彼女こう見えても強いのよゲケレストを蹴り一発でダウンさせたんだから!」
「へぇ~・・・へぇ!!すごいな君、あいつ頑丈さだけが取り柄なのにそれを一撃とは、それならなにも心配はいらないな!」
挨拶を終えると彼らは町を出る俺たちを見送ってくれた。話しかけてくれた方はリスタさんといい2人いる門番のうちの1人で主に話しかけることにより不審者かどうかを判断しているようだった。鑑定でのテキストはとても愛想がいいお兄さんです。ファンクラブも存在しているとか・・・。
もう1人はガーランさんといって俺やエリンが挨拶をすると会釈はしてくれのだが一切しゃべろうとはしないリスタさんとは正反対な性格の人だった。こちらは目で監視をして動きが不審な人を見ているようだった。監視結果は話すのが苦手なお兄さんです。趣味は裁縫です。
そしてとうとう俺は初めて町を出た・・・これから冒険者としてやって行くのだと思うと不安よりも好奇心が圧倒的に上回っていた。それに樹海以外で外の風景を見たのもこれが初めてだし、これほど広大な景色をいままで見たことがなかったかもしれない。
俺が立ち止まって広野を見ていることに気づいた彼女は俺の手を取るとゆっくりと俺の歩幅に合わせるように歩いてくれた・・・。だが・・・この感動も1時間もただただなにもないところを歩き続けると消えていくことを俺は知った・・・。
「もうかれこれ1時間は歩いているんだが・・・シャドーウルフって本当にいるのか?」
「この地図によるともう少し歩けば依頼にあった場所に着く・・・はずよ?」
「よし・・・ちょっとそのセレーンさんからもらった地図を俺に見せてみようか!」
彼女から地図を奪うと目的地を確認することにした。結論をいうと町から出たところまではあってはいた・・・ただそのあと道中で出くわした十字路を西に向かわないと行けなかったのだが東に向かって進んでいたようだった・・・。
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