第45話 俺、異世界でカードコレクターになる
それから3分ほど経ってからセンチネルが戻ってくるとすぐに自分の部屋に来るように促してきた・・・。こいつがこういう感じで来たってことはまたセレーンさんになにか小言でもいわれたのかと思いながら、俺は急いでストレージにお菓子を詰め込んでいく。
そのギルドマスターの様子を見てもお構いなしでエリンはまたクッキーを食べようとしていたのでそれで最後にしておくようにいった。
彼女は少し不満そうな顔をしつつも納得したのか手に持っていたクッキーを食べ終わると残りのお菓子を俺がストレージに収容しやすいように手前に集めていってくれた。
「おし・・・これで最後だな。こんだけ大量にあるんだし、あとでリリアーヌにもなにかあげようぜ!」
「そうね・・・それでまたハーブティーを淹れてもらってそれと一緒に食べるのもいいわね・・・じゅる・・・」
「あー、それ絶対うまいやつだわ・・・」
「あの・・・早くしてくれないだろうか・・・じゃないとボクまでセルーンみたいに・・・・・・」
「・・・・・・悪い・・・それじゃ戻ろう・・・」
俺たちは急いでセンチネルの部屋に戻るとまず最初に目に入ったのはピクピク痙攣をして倒れているセルーンの姿だった・・・。
そのときあの妹様は姉に全力でマッサージをしたのだと理解した・・・。そしてマッサージをした当の本人はソファーに座り優雅に紅茶を飲んでいた。
彼女は俺たちが部屋に入るとすぐに反対側のソファーに座るように促してきたのである。3人揃って反対側に座ると彼女はカップをテーブルに置くと俺たちの方を見ながら話を始めた。
「アスティナさん。ギルドマスターの言葉通り冒険者ギルドとして全面的にあなたをサポートします。それと依頼をこなしつつ、戦闘訓練がしたいということも聞いていますのであとで登録しておきましょうか。D級として登録することになりますがオークキング討伐達成したときにA級上げるようにしますね。ただ一部の冒険者がそのことで絡んでくるかもですがそのときはわたしかセンチネルの名前を出せばすぐに大人しくなりますので♪」
「あぁ、わかったよ。いろいろとありがとうなセレーンさん!」
「いえいえ、それがわたしのお仕事ですので♪」
彼女の話し方それにあの冷たい目の威圧もなく、それほど怖い感じは一切しなかった。それはエリンも同じ意見だったようで何事もなく普通に話を聞いている。ただその中で一人だけ明らかに彼女と目線を合わせようとしない人がいたが関わらないことにした・・・。
「それでアスティナさん、エリンさん。このあとのご予定は?」
「あー、今日の予定としては依頼を受けて、魔物で実戦練習するぐらいだな」
「そういうと思っていたので依頼をリストアップしときました。といっても依頼書は1階に貼ってあるんだけどね」
「そうね~、まずは・・・ってB級以上の依頼ばっかりなんですけど・・・?」
「エリンさんも一緒に行くんですよね。A級冒険者が一緒なら問題ないはずですが?」
「・・・・・・えぇ・・・もちろんよ。なんたってわたしがついているんだから!」
「・・・ちょろいわ・・・俺の相棒・・・まぁそれぐらいの相手じゃないと戦う意味はない・・・か」
俺たちはそこから、シャドーウルフ討伐を選ぶことにした。はじめて戦った相手がウルフということもあり、俺たちの初戦には持ってこいだと思った。それとウルフよりも美味しいらしい・・・。
依頼も決めるとセンチネルを放置し、登録をするためセレーンさんと一緒に1階の受付窓口に向かうのであった。
「それじゃアスティナさん、この用紙に名前と職業を書いてね」
「・・・たったそれだけでいいのか?」
「えぇ、それだけよ。最後に犯罪歴がないかを調べるために水晶に触ってもらうけどね」
「へぇ・・・そんなモノまであるのか・・・」
渡された用紙に自分の名前アスティナとカタカナで書いた。横から見てくるエリンの反応を見る限りこっちの言語に変換されて書かれているようだ。
次に職業なのだが、魔法を使えるからソーサラー、ウィザードのような魔法使いを連想するやつにするべきかブーツによる近接戦闘のことも考慮して魔法も使える格闘家・・・マジックファイターもいいかもしれない。
いろいろと考えた結果・・・能力として基本となるモノ・・・それに元の世界での俺のスタイルを生かすとするならばここはやはりカードコレクターしかないのではと思った。
「・・・・・・これで決まりだな!書けたよ、セレーンさん」
「はい・・・カードコレクターですか。初めて聞く職業ですがこれはどういう職業なのでしょう?」
「カードはギルドカードとかのあのカードのことでコレクターとは収集家のことを指すんだ。つまりカード収集家ってことだな!」
「・・・アスティナさんにピッタリな職業ですね。それでは最後にこの水晶に触れてみてください。・・・・・・はい、登録完了です。それではこちらがアスティナさんのギルドカードとなります」
「おぉ、これで俺も冒険者の仲間入りか!」
俺はセレーンさんから受け取った冒険者ギルドカードを見ながら、冒険者になったことを実感するのであった。
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