第44話 俺、異世界で討伐期間を決める
今回はめずらしく長考しているセンチネルの目が開くまでの間、俺とエリンはお菓子を食べて待つことにした。この部屋にあるお菓子はどれを選んでもただただ美味しくて、次を選ぶ手が止まることがなかった。あとで持って帰っていいかセンチネルに聞いてみよう。
ストレージにいれて置けばいつでも食べることができる。今後もしかしたら、町に帰らずにそのまま野宿をすることなどもあるだろう・・・そのときにせっかくストレージというモノがあるのに中身がカラでは意味がない。お菓子以外もこれを機に少しずつ集めていこうとクッキーを頬張りながら思った。
「・・・・・・すまない、待たせたようだ」
「おっ、こっちも堪能させてもらっているから気にしなくてもいいぞ」
「喜んでもらえてなによりだ。それで早速だが魔法の負担についてだが、毎日金貨100枚それを2週間・・・つまり金貨1,400枚でどうだい?」
「き・・きん・・・金貨1,400枚ですってーーーーーー!?」
「よし・・・”エリン”ちょっと黙ってそこのカステラでも食べてなさい・・・」
「こっちとしてはありがたいがわざわざ2週間と決めているってことは・・・その日までに倒しに行けということでいいのか?」
そう聞き返すとセンチネルはその回答を待っていたかのように話し始めた。俺の考えは少し間違っていたようでオークキングの討伐は2週間後つまりいまから15日後に決行して欲しいとのことだった。センチネルは「その理由として手始めに3個ほどある」というとゆっくりと説明し始めた。
まずは討伐対象であるオークキングの正確な位置がまだ分かっていないこと。これは冒険者ギルドに所属している冒険者やギルド直属の斥候部隊に調べてもらっているとのことだった。
そのときに知ったのだがセルーンはその部隊長らしい・・・。妹のセレーンも受付嬢以外になにかやっているのかと聞いてみたのだがなぜか頑なに口を閉ざして話そうとはしなかった・・・。
次に俺自身がある程度戦えるようになるためのトレーニング期間として2週間は必要だということ。その期間中にいろんな魔法を試して使用感覚を覚えていざというときに手間取らないようにして欲しいといわれた。
そのことで俺も一つ提案をしてみた。それは近距離戦というよりも遠距離戦が得意というかそれしか出来ないので、近接戦闘もできるようになりたいと伝えた。
それを聞いたセンチネルは先生として俺の読み通りセルーンを紹介してくれた。
最後はアッシュに依頼しているデッキケースの完成時期にあるようだ。明後日には試作品のデッキケースがもう出来上がるらしい・・・。カードを見せたときのアッシュの反応を見る限りでは試作品が出来上がるまでにはもう少しかかると思っていた。あのときセンチネルが商人ギルドに電話したことが関係していそうだと思ったがこれはいわないことにした・・・。
試作品を試していき、完成品として出来上がる時期が討伐前日あたりになるとセンチネルはいった・・・。それは俺がいろんな試作品を試していった上で納得したモノのはず・・・その完成品が再来週にはもうできてるとセンチネルは断言したことになる。
どこからそんな答えに至ったのか俺にはわからないが・・・それこそがギルドマスターとしての先見なのだろうか・・・。
「まぁそういうことだ。あと・・・さすがにオークキングを3週間も放置してるとボクが怒られそうだし・・・なので3週間というのもある!」
「あ~、途中までギルドマスターな感じがしていたのに最後残念だわ・・・。だけどこっちもそれで問題ないよな、エリン”」
「・・・・・・えぇ・・・もちろんよ。それでいきましょう!!」
「それでなんだがアスティナ君、キミ・・・先にギルド登録していかないかい?」
「・・・依頼達成したときにA級冒険者として登録するんじゃなかったのか?」
「それはそうなのだが・・・ギルドカードを持っているとそこに振り込めるんだ。毎回ギルドに来るのもめんどくさくないかい?」
「アスティナせっかくだし登録していきましょうよ。このあと魔物討伐依頼を受けるんでしょ?」
「それも・・・そうだな。わかったよ、センチネルそれじゃ登録も頼むよ」
そういうとセンチネルは「帰りに受付窓口でセレーンにでも登録してもらってくれ」というと部屋を出て行った。どうやら決定した内容を彼女たちに話にいったようだ。
俺はセンチネルが出ていく前に目の前にある大量のお菓子を持って帰ってもいいかと聞くと全部食べられるのなら持って帰っていいといってきたので、応接室を出るときは気にせず全部ストレージにいれて持って帰ることにした。
いまいれてもいいのだが・・・俺の相棒の食欲が止まらないようなので・・・諦めることにした。
「昼飯、食えるか・・・これ・・・さすがに食べ過ぎじゃないか?」
「大丈夫よ、依頼をこなしていけば、すぐにお腹が減るから!!」
「あー、そういうものなのか」
「そういうものよ♪」
彼女はそういいながら手に持っているクッキーを口に放り込んだのだった。
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