第41話 俺、異世界で討伐依頼を受ける
手合わせの報酬も決まり、あとはオークキング討伐依頼のみになった。エリンを加えた3人で受けるかどうか決めるために呼び戻そうとしたときドアが急に開いた。するとお菓子を大量に抱えたエリンとセレーンさんが部屋にはいってきた。
「そろそろお時間かと思いまして・・・」
「・・・マジか・・・セレーンさん有能すぎでは・・・・・・!?」
「そうだろ・・・でもさ・・・これがずっと続くんだよ・・・キミその意味がわかるかい?なぁ、セルーン・・・」
「セレーンおかえり!あの・・・それで・・・そろそろ正座しんどいなぁ~って・・・」
「あー、姉さんはまだこのままで。センチネル様のお話が済んだら解いてもいいですよ?」
「・・・センチネルはやく・・・はやく終わらせて・・・もうこれ足の感覚がね・・・センチネル」
セルーンが上目遣いで俺らを見ている・・・。俺とセンチネルはそんな彼女の様子を見て、以心伝心したのかすぐに討伐依頼について話すことにした。そんなことを気にする様子もなく俺の相棒は大量に抱えたお菓子から次になにを食べるかを悩んでいた・・・。
「それじゃ、早速だけどアスティナ君。この討伐依頼を受けてくれないか!」
「あぁ、いいぜ!エリンそういうことだから、俺はこの討伐依頼を受けるわ!」
「・・・いやいやいや、そもそもわたし討伐依頼の内容を聞いてないんだけど?」
「あー、エリン・・・この依頼を受けるとな。冒険者ギルドに飛び級で登録できるんだ!」
「・・・そうなのですか、ギルドマスター?」
「ギルドとしては有望な人材を確保するためにスカウトすることもあるんだ。こちらが提示する依頼を達成することが条件ではあるが!」
完全に俺が一時しのぎでいったことをそのまま採用したギルドマスターの行動力にビックリしつつもこのまま通すことにした。エリンはまだ信用しきっておらず、俺たちの様子を伺っているように思えた。
「それでだねエリン君。この依頼を達成できればキミと同じA級を授けようと思っているんだけど?」
「アスティナがA級!?わたしとお揃いになるの・・・それいいわね!」
「同じ階級になればエリン君としてもアスティナ君と一緒に依頼を受けることもできるし・・・どうだろうか?」
「・・・・・怪しいわ・・・特別とはいえA級をほいほい渡すなんて・・・冒険者ギルドは死と背中合わせな分、階級には厳しいはず・・・それを・・・」
ちょいちょい出てくる頭が切れるタイプのエリンが厄介なタイミングで登場してきたことに俺は焦った。センチネルもこんな予定ではなかったようであたふたし始めている・・・。そんな中意外なことにセレーンさんが助け舟を出してくれた。
「エリンさんも同じ依頼を受けて一緒に行けばいいのでは?2人分の報酬ももちろん出しますので・・・ね。ギルドマスター?」
「も、もちろん出す!それにいますぐじゃなくても問題ないから準備ができたらでいい!!」
「・・・・・・アスティナと一緒に依頼を受けれるのであれば・・・」
エリンは俺を見ながらそういった。その様子を見たセンチネルはすぐにその依頼書をセレーンに渡すと彼女はその依頼を受けるかの有無を聞いてきた。
「それでアスティナさんとエリンさんこの依頼を受けるであれば署名をお願いします」
「はい、受けます。ここに名前を書けばいいんだな・・・。これでいいのかセレーンさん?」
「・・・はい、問題ありません。次にエリンさんお願いします」
「・・・・・・あのぅ・・・質問いいですか?」
「はい、どうぞ」
「気のせいかとは思うのですが討伐対象の魔物がオークキングって書かれているのですが・・・?」
「気のせいではないですよ。倒していただくのはオークキングですよ♪」
「むりむりむりむりむりぃぃぃよぉぉ!これS級相当の魔物じゃないのぉぉぉ!わたしまだA級なんですけどぉぉぉ!!」
「おふたりなら問題なく依頼達成できますよ・・・わたしの勘ですが♪」
俺はセンチネルに対して手招きをするとそれに気づいたセンチネルはこちらに来てくれた。そこで俺は耳打ちをしてそんなに難しい依頼なのかを聞いた。
するとあのギルドマスターは「S級冒険者数人で受ける依頼だよ」と普通に答えてきた・・・。
それを聞いた俺はエリンのあの泣き叫ぶ様子が実に正しい行いなのだということを理解してしまった。だがそれでもこの依頼を受けるしか選択肢がないことも事実だということだ。
俺とセンチネルはもう一つこの依頼を受ける上である契約をしている。それは500年前の出来事、特に不死族に関する新情報があればそれを俺に教えることだ。
あのエリンの感じは樹海のとき以来見ていなかったのでとても懐かしく思えた・・・。そしてやっぱり残念美人だということを再認識した。
そんなエリンを落ち着かせるためにセンチネルがあたふたしているのがなんか笑えた。ただなにか他にそれよりも重要なことがあったはずなのだが・・・。
「・・・・・・・・・・足・・・・・もう・・・限界なんだけど・・・・・・」
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