第39話 俺、異世界で500年前の資料を見る
俺とセンチネルとあと正座させられている姉の3人となった部屋でセンチネルはおもむろに口を開いた。
「ある程度のことはセルーンから聞いている。オークを殲滅した能力・・・確かアスティナを守護する者だったか?それをボクもこの眼で見たみたいのだが召喚してもらえるか?この部屋は特別製で音や魔力などを外部に漏れないようになっている」
「・・・それは無理だ。いろいろと召喚条件があってな、簡単に呼ぶことはできないんだよ」
「・・・・・・そうか、それは残念。それではオークを殲滅したときのことを教えてもらえるか?」
「あー、わかったよ」
俺はセンチネルにオーク”を殲滅するに至った流れを話した。アスティナを守護する者で倒したことにする必要があったため一部内容を改ざんして話した。話を聞いたセンチネルは目を閉じ頷きながらなにか考えている様子だった。
頷く動作が終わり、目を開けるとセンチネルは俺の眼を見て話しかけてきた。
「アスティナ君・・・。少し嘘が混じっているだろ?キミの話だとアスティナを守護する者では殲滅することは不可能だ」
「・・・・・・どこら辺が嘘だと?」
「・・まず召喚条件だ。キミはさっき簡単には呼べないっていってたはずなのにその日は2回呼んでいる」
「それは・・・俺も知らない召喚条件を満たしたからかもしれないぞ。死を覚悟して・・・とか?」
「なるほど・・・。そうだとしてもキミの騎士では殲滅できない。例えできたとしてもあの場所にはオークの残骸が大量に転がっていたはずだ。キミの騎士の能力では残骸を全て処理することまでは無理だろう。他にもいろいろと嘘はあるがオークを倒したことは事実だろう。では、今度はそれを見せてくれ」
握手をしていたときと同一人物とは思えないほどのキャラ変更により、俺は戸惑ってしまった。しかも、目を閉じて考えていた時間は実質30秒もかかっていない。そしてセンチネルはオークを倒した本当の能力を見せて欲しいといってきている。
俺がなにかを渋っていることに気づいたセンチネルは能力の説明だけでもいいといってきた。こいつにはなにをいっても見透かされていると思った俺は血狂いの乙女のことを話すことにした。
「・・・・・・魔神・・・・・・しかも敵意がある相手が対象か。アスティナ君。それボク以外には誰にもいってない?」
「あぁ・・・いってない。どう説明すればいいのかもわからんしな・・・」
「それは英断だ。それにしても魔神か・・・」
「魔神って言葉に聞き覚えでもあるのか?」
「500年前に起こった戦争の資料に度々その言葉が出てくる」
それからセンチネルは500年前に起こった出来事をまとめた資料をあのデスクから取って来て俺に見せてくれた。魔法書が一切読めなかったので、この資料も無理かと思っていたが資料はちゃんと異世界標準語で書かれていた。まぁ俺には翻訳されて日本語に見えているのだが。
その資料の中で俺は気になる絵を見つけた。それは人族、獣人族、エルフ族、魔人族が協力して1体の敵と戦っている様子が描かれた壁画を書き写したモノのようだった。
その戦っている敵の付近に書かれていたのが魔神という言葉だった。それから他の資料も見たがどれも4種族かそれに魔神が書き足されているモノばかりでアスティナの種族つまり不死族が一切出てこなかった。
やはりこの世界は『クインテット・ワールド』に似ているだけなのかと思っていたとき、最後に手にした資料に訂正されて前の文字が見えないようになっている箇所を発見した。
「この消されてるのはなんだ?」
「あぁ・・・、これはボクの手元に来るころにはもうこうなっていた」
「これってなんて書いてあったのか、もちろん調べたんだよな?」
「なるほど・・・道理でセルーンがキミを気に入るわけだ!」
「そんなことよりも早く教えろよ」
「せっかちだな、キミは。そこには、不死族って書かれていたよ」
「・・・・・・不死族・・・・だと!?」
俺は不死族という言葉を聞いて、諦めかけていた不死族探しに希望を見出した。それとセンチネルのテンションスイッチが切り替えるタイミングが全然分からなかった・・・。
「面白い」「続きが気になる」と思っていただけましたら
是非ともブックマーク、評価よろしくお願いいたします。




