第4話 俺、異世界で1ターンの概念を思い出す
「あー、そういえば自己紹介がまだだったわね。わたしの名前はエリンっていうの、よろしくね」
「俺の名前はアスティナっていうんだ、よろしく!」
歩きながら自己紹介をしていた時のことだっだ。俺の前を歩いていた守護者の足元に魔法陣が展開したと思った瞬間、守護者が消えた・・・。守護者が消えたのが気になったのか彼女がそのことで聞いていた。
「・・・ねぇ、あなたの騎士様急に消えたけど?」
「・・・そうだな、俺もなんで消えたのかわからん・・・」
「そ、そうなのね。まぁまた魔物が襲ってきたら、お願いね!」
アスティナを守護する者というのはアスティナが持っている能力の1つで、効果は以下の通りである。対戦中1度しか発動できない。自分フィールドに”クリーチャーカード”がいない場合のみ発動する事が出来る。
自分フィールドにアスティナを守護する者を召喚する。倒されるかまたは、召喚してから3ターン後に消滅する。
俺はふと自分のステータスを確認してみることにした。俺が倒したわけではないがもしかしたらウルフ3匹の経験値が入っていたりするのではないかと思ったからだ。
「ステータスオープン!!ランクは~、変化なしか・・・、他になんか目ぼしいものはないものかなっと?」
俺は他に何か変化がないか各種確認しているとアスティナを守護する者の効果が変化していることに気づいた。
アスティナを守護する者、リキャスト24時間。自分がパーティを組んでない場合のみ発動する事が出来る。アスティナを守護する者を召喚する。倒されるかまたは、召喚してから3分後に消滅する。
「ふむ・・・、リキャスト24時間だと・・・、しかも3分で消滅とか短いすぎだろ!!」
「ちょ、ちょっといきなり大声なんか出して、どうしたのよ!?」
「ごめん、ごめん、ちょっと考え事してた」
「そう?あっ、あっちに川があるわよ、あそこでちょっと休憩しましょ!」
そう言うとエリンは俺の手を掴んで引っ張っていく。なんだろう嬉しいはずなのに自分が思っていたよりも感動が少ないことに気づく。第一印象ってやっぱり大事なんだって、その時に思ったのであった。
俺はちょうどいいサイズの岩を見つけるとそれに腰かけた。まずはアスティナを守護する者の効果について整理しよう。対戦中1度がリキャスト24時間に変更されている、つまり次に召喚するまで最低24時間待たないと使えない。
次にパーティを組んでない場合に召喚出来る。この一文が今後結構な足かせになるかもしれない。まず、いまエリンと一緒に行動をしているがこれがパーティを組んでいる状況にあたるのかも気になる。
最後が一番意味が分からないのが、3ターン=3分ってどういうことなんだ。と考えているとふとあるゲームを思い出した。
「あっ!!あれか!あの有名なロボットシミュレーションゲームの1ターンの概念か!!」
色んな世代や時代のロボットが協力して敵と戦うロボットシミュレーションゲームがある。マップによっては、クリアするのに1時間以上かかることも普通にあったりする、そのゲームでは1ターンは1分間の出来事だという解釈なのだ。
プレイしてる側からすれば、あんなやり取りが1分間で起こってるとかマジかって思うことがよくあったがまさかそこを採用するとは思ってもみなかった。
懐かしいなと思い出にふけっていると、ある数字がふと目に入った。
「うん?この0:23:55ってこれ・・・あー、召喚出来るようになるまでの時間か。なるほど、せっかくだしこの機会に他の能力も確認しておくか」
まずは眷属の魔眼の能力から見ていくか。対戦中1度しか発動できない。相手フィールド上に存在する”クリーチャーカード”を1体対象として発動することが出来る。1ターンの間、その”クリーチャーカード”のコントロールを得る。
このテキストを読む限りだと、1ターンつまり1分間は操ることが出来るじゃないかと思う。ただ対戦中1度しか発動できない。この意味が同じなら、これも24時間経たないと再使用できない。
そしてアスティナの最後の能力だが血狂いの乙女対戦中1度しか発動できない。自分のHPを半分支払うことにより発動できる。相手フィールドに存在するクリーチャーカードを全て破壊する。この能力を使用したターンの間、自分フィールドにいるクリーチャーカードは攻撃できない。
カードゲームではないこの世界でHPがゼロになったら、たぶん俺は死ぬのだろう。そのことを考えると自分のHPを半分支払うことに躊躇してしまう。それに相手フィールドに存在するクリーチャーカードを全て破壊する。
これはどこまでを対象にするのかそれも考えないといけない。この能力を使うのは、本当にピンチになった時だけだ。出来れば使う機会などなければいいんだけどな。
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