第38話 俺、異世界でギルドマスターに会う
それから彼女に案内され、2階にある部屋の前まで来たところで彼女に待つようにいわれた。彼女はドアの前で立ち止まり2回ノックすると彼女が俺たちが来たことを伝える前に部屋の中から「来たか!すぐに入ってもらって!!」と声が聞こえた。
その指示を聞いた彼女はドアを開け、俺たちを部屋に入るように促すのであった。
部屋は全体的に簡素で正面にデスクとイス、その手前に客人用にテーブルとソファーが配置されているだけで本棚もトロフィーや勲章のようなモノを飾ることもされていなかった。前世のイメージだとこういう場所には功績を称えるためにそういうモノが飾られているのが普通だと思っていた。
デスクの上には書類らしきモノが乱雑に置かれていた。これらの書類はどこにしまうのだろうかと考えていると部屋の前で待っていたときに聞こえた声で挨拶をされた。俺はそこでこの声の持ち主を見た。
灰色の髪に黒い瞳、褐色の肌それと髪に合わせたかのような同じ色のコートを羽織っていた。年齢は20後半ぐらいに見えた。ただ中性的な顔立ちのため男か女どちらか分からなかった。
それとギルドマスターことセンチネルは鑑定することができた。できたことはできたのだがいつものようにイラストとテキストが表示されたのがアクセス権限がありません。
という一文しか書かれておらず、アッシュやセルーン、セレーン姉妹は鑑定不可だったのにギルドマスターが鑑定可能の時点で、なにか能力で偽装されているのではと思った。
「ボクはセンチネル!このギルドのマスターをさせてもらっているんだ!!」
「俺はアスティナそれとこっちは相棒のエリン。よろしくな、センチネル!!」
「アスティナあなた・・・。ギルドマスターに対してなんてことを・・・・・・。アスティナにはあとで言い聞かしておきますので・・・」
「エリン、ボクは気にしていない!それよりもキミたちに会いたくて仕方なかった!そしてやっと会えた!そうだ、あくしゅ・・・握手しよう!!」
センチネルはそういうと両手を前に出しながら俺たちに近づいてきた。俺が右手を前に出すとそれを両手で掴みブンブンと音がなるほど振り回してくれた。
俺との握手が終った瞬間、次のターゲットのエリンの手を掴みさっきと全く同じことをされていた。あれがもう少し続けば肩を痛めるんじゃないかというほど激しい握手での挨拶を終えるとセンチネルはソファーに座るように促してきた。
俺たちに座ったのを確認するとセンチネルも対面に座り、もう興味津々なのかずっとこちらを見て会話したくて仕方がない様子だ。そんな彼だか彼女に気を取られていたのは3秒も経っていないはずなのに気づけばテーブルにお菓子とそれぞれに前にカップが用意されていた。
俺が見ていたときもセンチネルの後ろでセレーンさんが微動だにせず立っていたのは見えていた。そうなるとこれを用意してくれたのはたぶんあの人であろうと思い俺はどこにいるか分からない人に対して、感謝を述べた。
「お菓子と紅茶ありがとうな~、セルーンお姉ちゃん!」
「アスティナちゃんやっぱ面白い子ねぇ~、だけどちょっとは驚いて欲しかったわ~」
「へぇ~、キミ昨日会ったばかりなのにもうセルーンと仲良しなのか!」
「そうよ~、相思相愛よね?アスティナちゃん♪」
彼女はそういうと俺の背後に現れると抱き着くと同時に頬ずりをしてきた。あっけにとられるみんなを無視して彼女の行動がエスカレートしていこうとしていたときだった。いつもならこういうときエリンが止めることが多いのだが今回は違った。
背後から殺気を感じた途端、先ほどまであった感触が完全に消えていた。振り向くとそこには涙目になりながら正座をしているセルーンお姉ちゃんがいた。俺とエリンは顔を見合わせ頷くのであった。そしてセレーンさんは怒らしてはいけないと肝に銘じた。
「では、センチネル様。障害は排除いたしましたので・・・おふたりにご用件を・・・」
「・・・・・・あぁ、そうだった!アスティナ君。話をする前にどこまで知ってる?」
センチネルはそういうとエリンの方に目を動かした。その動作でなんとなくだがいいたいことは分かった気がした。あのギルマスはエリンがオーク殲滅や手合わせなどをどこまで把握しているのかと聞いてきている・・・。
本題にされているのに当の本人のエリンはお菓子に夢中で全く気づいていない様子だった。
「俺には分からないな・・・」
「・・・・・・セレーン」
「承知いたしました」
「エリンさん、あちらのお部屋にめずらしいお菓子がいっぱいあるんだけど行きませんか?」
「お菓子がいっぱいあるんだって、アスティナ!」
「食べて来いよエリン。俺はちょっとセンチネルと話がある。それが終わったら食べに行くよ」
「アスティナ、ギルドマスターに迷惑をかけちゃだめよ。それではギルドマスターお菓子を食べてきます!」
「すまないね、エリン君、用事が済んだらすぐにそっちに行ってもらうようにする」
エリンはそのままセレーンに導かれるがまま部屋を出ていくのであった。ギルドマスターに会う前のお前はどこに行ったんだといわんばかりにいつものエリンに戻っていた。
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