第34話 俺、異世界で真なる聖弓の姿を知る
「・・・エリン喜んでもらえて嬉しいんだけど、そろそろ次にいってもいいか?」
「はっ・・・えぇ!アスティナ本当にありがとう」
「実はもうひとつエリン用に買ったモノがあるんだ」
「え~と、それはあなたの後ろにあるその弓かしら?」
「・・・・・・あれ・・・もしかして気づいてた?」
「もしかして、隠してたつもりだったの・・・」
彼女からの指摘を受け、縦置きにしたのが悪かったのか後ろを振り向くと普通に俺の身長を超えて見えている弓がそこにはあった。例えアッシュだったとしてもこの隠し方だったら普通にバレているだろうというほどに弓が出ていた。
「あー、なんだ・・・この弓なんだけどエリンなら使いこなせそうだと思ってな。ちょっと・・・というかかなりボロボロな見た目をしてるけど、性能はいいはずなんだ・・・たぶん」
「・・・・・・なんだろう・・・初めて見る弓なのにわたしこの弓を知ってる気がする・・・」
後ろに置いてある聖弓ユグドラシルを手に取り、彼女に手渡すとまじまじと弓全体を確認し始めたと思った瞬間、急に彼女の動きが止まった。その状態が10秒ほど続いたあと彼女は不意にこの弓の名称を口に出した。
「・・・・・・聖弓ユグドラシル」
その瞬間、目がくらむようなまばゆい光が弓を覆うように放たれた。俺はとっさに目を閉じ、光が収まるのを待つことにした。光が収まったのを確認するために俺は少しずつ目を開けていく・・・。
そこにはついさっきまでボロボロだった弓とは思えないほど洗練された弓が目の前にあった。その弓はエリンのために作られたのではないかと思えるほど彼女に似合っていた。
「なぁ・・・エリンその弓どうなってんだ?それに弓の名前だって、俺は教えていないはず・・・」
「わたしにも分からないわ・・・ただなぜかそんな名前のような気がしたの・・・・・・知らないはずなのに本当に不思議だわ」
「・・・・・・管理者の末裔・・・か」
「管理者の末裔・・・なにそれ?」
「あー、実はその弓には・・・・・・」
俺はこの弓がただの弓ではないことを彼女に説明すると同時に彼女自身にも管理者の末裔だということを伝えることにした。彼女はそれを不思議がることもなく普通にその情報を受け入れたのだった。
こっちがそれについて質問をするとエリンが幼いころに祖母に「あなたのご先祖様は世界樹を管理していた。すごい人なのよ」と毎日のようにいわれていたらしい。
俺はエリンの祖母がいっていた世界樹を管理していたという言葉が気になった。『クインテット・ワールド』にはエルフ族で世界樹の管理者~サレンティス~というリーダーカードがあったからだ。
この世界に世界樹と管理者どちらとも存在しているのは聖弓ユグドラシルを鑑定したときにすでにわかっていたはず。
それなのにエリンから話を聞くまで完全に記憶から抜け落ちていたことがショックだった。
「なぁエリンそのご先祖様の名前ってわかるか?」
「う~ん、それは分からないわ。おばあちゃん名前は教えてくれなかったのよね・・・」
「そっかー。それはそうとその弓、俺のドレスと同じように能力あるんだけど説明いるか?」
「別にいらないわ。名前を呼んでから、なぜかこの弓の使い方が感覚でわかるのよね」
「ははは・・・マジかよ!やっぱ専用装備だったんだな・・・。俺のドレスも最初から使い方、分かるようにして欲しかったわ・・・」
「・・・センヨウソウビ?またいつものアスティナ語かしら」
エリンのご先祖様の名前が知ることができなかったのは残念だったが同じワード存在することが分かったので良しとした。
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