第32話 俺、異世界でお茶で癒される
俺たちはもう一歩も動けないほどに晩御飯を食べて、あとはもう食後のハーブティーを楽しみに待っているだけの状態になっていた。手持ち無沙汰を感じている俺はこの間に色々な人に鑑定してみることにした。
結果としては食堂にいる人で師匠とリリアーヌの両親、この3人以外は問題なく鑑定をすることができた。
エリンが鑑定できたことによって、彼女は俺よりもランクが低いことが分かったのだがビックリするほど情報が乏しかった。
自分のステータスが表示されるときは左半分にイラスト右半分にランク、名前や能力などが表示されているのだが、彼女のステータスには左右で画面が別れておらずにエリンのイラストが表示されているだけであとは下の部分にあるテキストが書かれているだけだった。
そこにはこう書かれていた。フォレストエルフなのに森ですぐに迷子になります。外見は完璧ですがそれ以外が非常に残念な子です。管理者の末裔らしいです。アスティナに対して超過保護です。
「ふむ・・・。俺が思っていたのとなんか違う・・・この管理者・・・ってどこかで見たぞ。あっ、あれかあの弓。それに最後の文章・・・・・・これについてはまぁそうだろうな」
「アスティナなにぶつぶついってるのよ?ほら、リリアーヌちゃんがハーブティーを持って来てくれたわよ」
「うん・・?あぁ、ちょっと考えてた。リリアーヌありがとうな、これを楽しみにしてたんだよ!」
「おまたせ~、アスティナちゃん!えっとね、今回はラベンダーを使ってみたの」
昼はハーブティーを部屋まで持っていき飲んでいたが今回はここで飲んでいくことにした。香りがとても良くてもうこのまま部屋に持って行ければ、飲んでベッドに飛び込んだ瞬間に夢を見てるんじゃないかと思えるほどだった。
そんな俺をよそに2人はもうカップに口をつけて飲もうとしていたので、俺もそれに追従するかのようにハーブティーを飲むことにした。
「・・・・・・はぁぁ~、うま・・・。癒されるわ~、リリアーヌの淹れてくれるお茶は最高だわ・・・」
「でしょー?といいたいけどアスティナちゃんがくれたハーブのおかげなんだけどね」
「それだけじゃ、この味も香りもでないだろ・・・?俺が淹れたところでこんな風にはならない。うまいお茶を淹れてくれてありがとうな”リリアーヌ”」
「本当に美味しいよ、このハーブティー。僕もハーブティーだけ飲みに今度から来ようかな」
「リリアーヌちゃん、本当に美味しいわ。それにすごくリラックスできるわ」
「・・・・・・どうぞ、ごゆっくり・・・」
リリアーヌは小さい声でそういうと恥ずかしそうにキッチンの方に走っていった。本当のことをいっただけなのだがさすがに3人で褒めまくれば誰だって恥ずかしくなるか・・・。それが年端も行かない子供ならば余計恥ずかしいのかもしれない。
そんなことを思いながら、俺は至福の時間を過ごすのであった。
「はぁ~、ごちそうさま。マジでうまかったな」
「ごちそうさまでした」
「ごちそうさま・・・。・・・ふむ・・・明日も飲みに来ようかな・・・」
「イクストリアもリリアーヌちゃんのハーブティーにハマってしまったようね!」
「・・・・・・なぜ君が得意げに話すんだ?」
「師匠・・・エリンだからですよ・・・」
「・・・・・・・そうだったね」
カテリーヌさんに晩御飯の代金を支払うと俺とエリンは部屋に戻り、師匠はそのまま自分の本屋に帰っていった。
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