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第3話 俺、異世界で残念なエルフに出会う

 俺は今の状況を再確認することにした。まずは木の上にいる救難者だが、先ほど聞こえた通り確かに腕がプルプルしていた。真下には、ウルフ3匹はまだウロウロしながら落ちてくるのを待っているようだ。


「さて、どうやって救出したものか・・・、ストレージにはもう何も入っていないんだよな。唯一使えそうなアスティナ自身の能力もカードだった時のテキストでしか表示されてないし・・・」


 どう対応すればいいのか、悩んでいたその時。


「あっ、もうダメかも・・・、力が入らなくなってきたわ・・・」


 毎回聞こえていた余裕がある声じゃないなと思った、俺は頭を上げて木の上を確認すると先ほどまでがっしりと木に掴まっていた救難者の手が離れ、真下にいるウルフに向かって落ちていくのが見えた。


 この世界でアスティナの能力がどういうものなのか分からないが助けるにはもう使うしかないと思ったときにはすでに俺は叫んでいた。


「アスティナを守護する者!!」


 すると、魔法陣が展開したと思ったその瞬間、目の前に頭のない黒い鎧を着た騎士が召喚されていた。


「アイツを助けろ!俺の守護者!!」


 俺の言葉を理解したのか、その守護者はあんな重たそうな鎧を着ているとは思えない速度で救援に向かっていった。


「ちゃんと召喚出来た!てか、それにしてもアイツすげーな、ここから50m以上離れているはずなのにあそこに行くまで1秒もかかってないんだけど。俺の守護者マジで有能すぎないか・・・」


 俺は救難者を担ぎながら、ウルフ3匹を黒い大剣で瞬殺している守護者を離れて見ていた。そして、俺の守護者は黒い鎧が赤く染まってるを気にせずにまた全力で俺のところに走ってくるのであった。


「よくやった!さすがは俺の守護者だな!!」


 俺が褒めてやると、目の前にいる頭のない騎士は嬉しそうに飛び跳ねたのである。そう助けた人をまだ担いだままで・・・。


「ちょ!ちょっとストップ!その人、死んじゃうからせっかく助けたのに死んじゃうから!!」


 それを聞いた守護者は救難者の足が地面に着くようにゆっくりと降ろしていくのであった。守護者により窮地を脱した女の人は頭を下げるながら感謝の言葉を伝えてくれた。


「あの・・・、ありがとう、本当に助かったわ」


 そんな彼女は身長160cmほどある耳が尖った綺麗な女性であった。俺は見とれていたことを悟られないように冗談をまじりで返した。


「いやいや、助けられて良かったよ。あんなに泣き叫ばれて見殺しにすることはさすがに出来ないしな!」


 そう言うとその人はいままでの惨事を思い出したのか急に耳が真っ赤になると俺にそのことを忘れるようにいってきた。


「・・・れて、忘れて、あのことは全部忘れなさいよ!あんな状況になったらみんなあーなるわよ!ね!そうよね!・・・それと、わたしを助けてくれた頭のない騎士様はあなたの従者なの?わたしも初めて見たから詳しくは知らないんだけど、確か召喚術とかいうのよね?」


 この世界にも召喚術という概念があるのか。ということは、不死族を見つければ『クインテット・ワールド』と同じようにコストを払って召喚出来るようになるかもしれない。


「この世界でも不死族デッキを作ってみるか」


 それが俺がこの世界で生きる上での目的になった。

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