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第219話 俺、異世界でエイサンから弁当を受け取る

 アスティナが部屋を出て行ってから、暫く経った後システィからあの子の魔力がちゃんと循環しているか気をかけてやって欲しいと頼まれた。


「よく分からないけど、あれよね。アスティナの魔力が減ってるか増えてるか見ておけばいいのよね?」


「あ~~~~、そう・・・ですね。アスティが覚えた護身術は魔力を消費しますので、使いすぎるとあの子の体に負担がかかります、下手をすれば魔力が暴走する可能性もあります。なので、貴女にはそれを監視しておいて欲しい。本当なら私めがやりたいのですが、アスティとの約束もありますし・・・」


 それはもう本当に付き添えずに残念だという感情がシスティの言動からにじみ出ている。


 わたしはシスティの肩にそっと手をのせ、彼女の意思に答える。


「わたしに任せておきなさい!この目でバッチリ見ておくから、あなたは何も心配しなくてもいいわ。その分ライユを守ってあげなさいよ」


「貴女に言われなくてもやっています。エリンが自信満々だと・・・こっちは不安で仕方ないんだけど、アスティのこと頼みましたよ。あとアスティには内緒だけど、ライユ様とはだいぶ仲良しになったのよ。毎日一緒にお風呂に入っていますしね。でも、ライユ様が一番慕っているのはやっぱりアスティね。いつ会えるのってずっと聞いてくるわ」


「あ~、そうなの。それはアスティナには絶対内緒ね。そのことを知ったらあの子発狂しそうだわ、色んな意味で・・・・・・うん?ちょっと待ってシスティ、あなた・・・もしかしてこっちに来る前に一度お風呂に入ってる?」


「もちろん入浴しているわ、じゃないとライユ様を綺麗にできないじゃない。それから寝かしつけた後にアスティのところに来ているわ」


「へぇ・・・あなたもなかなか忙しそうね」


「そうでもないわ。あちらでは私めはライユ様直属のメイドとして雇われているから、他のメイドと比べたら仕事の量なんて皆無に等しいわ。はぁ・・・あなたと会話するとつい話がそれてしまうわね・・・そろそろアスティを追いかけた方がいいんじゃない」


 システィからそう指摘されたわたしはすぐに反転してドアノブに手をかけ「それじゃシスティ!またあとでね!」と声をかけて部屋を出た。


 ドアを閉まる直前に「エリン、アスティのこと頼みましたよ」とシスティから念を押された。


 カスミの部屋の前には誰もいない・・・アスティナはもう下に降りているのかもしれない。


 階段を降りるとアスティナとエイサンが楽しそうに会話しているのが聞こえた、わたしは小走りに食堂に向かうのだった。


「それでさぁ~、エリンのやつ・・・エイサンが作ってくれたチョコがかかったクッキーをひとりで全部食べてたんだよ。俺とカスミさんが汗かいて訓練している横でだぜ」 


「そいつは災難だったな~、しゃーねぇな。また作ってやるよ!今度はもっと大量に用意してやるから期待して待っとけよ!」


「エイサンだったら、そう言ってくれると思っていたぜ!」


「っと・・・はいよ、弁当四人分出来たぜ」 


 エイサンは弁当が入った風呂敷をカウンター越しから手を伸ばして対面にいる俺に手渡す。


 ずっしりとした重み・・・だけど箱などに入っている形跡もなく風呂敷の底が重みで丸みを帯びている。 


 ガルード連合国で朝食・・しかも箱に入っていないものとくれば、答えはひとつしかない・・・それはおにぎり。


 ガルード連合国の食生活は俺の故郷日本にとてもよく似ている・・・というかほぼ同じ。


 ただ時代設定としては俺が生まれた時代よりも200ほど前、江戸時代後期に近いかもしれない。


 長屋だったりあの城だったり、街の風景が俺が見ていた時代劇に瓜二つ・・・まぁあれが本当に江戸時代後期なのかと言われたら、それは知らん。


 タタタタタタッ!!


 こっちに向かってくる足音が聞こえる。


 その足音は俺の背後・・・真後ろ辺りで急に聞こえなくなった、この走り方とこの雰囲気・・・やっとシスティの用事が終わったみたいだな。


 俺はその場で振り返り相棒に声をかける。


「よぉ、エリン。思ったより早く終わったんだな。ほら見てくれ、エイサンが俺たちにって弁当作ってくれたんだぜ!!」


「えぇ、案外すんなりとね。風呂敷に入っていて・・・この感じ!?わかったわ、おにぎりね!!」


「・・・正解。カスミさんはもう先に例の場所に行ってるらしいから、向こうに着いたらみんなで食べようぜ」


「そうね、そうしましょう!!エイサンもお弁当用意してくれて、ありがとう美味しくいただくわね」


 俺とエリンは弁当を用意してくれたエイサンに感謝しつつ、宿屋をあとにした。

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