第21話 俺、異世界で魔法を覚える
俺はここに来るまでの経緯を師匠に説明した。ストレージについては今日ベッドで目覚めたときに使えるようになっていたことにした。エリンがうまいこと一部記憶が戻ったから使えたのではといってくれたので、そのまま採用した。
「ふむふむ・・・、記憶喪失で気づいたときには樹海にいたと。場所を聞く限りだとそこそこ奥地にいたようだね」
「師匠、話を聞いただけで、樹海どの辺にいたかまで分かるんですか・・・?さすがです師匠!」
「あー、それはね。僕が昔、彼女とパーティを組んでたのは知ってるだろ?そのときの地図担当は僕だったからねぇ、あれは本当に・・しんどかったな・・・」
「あっ・・・、心中お察しいたします・・・・・」
「だから、なんでわたしのことになると2人ともそんなに意気投合するのよ!?」
俺と師匠がエリンの話題で盛り上がっていたところ、話題にされている張本人がストレージをもう一度見たいといってきた。
「アスティナもう1回ストレージやって~!」
「あー、わかったよ」
俺はまたストレージを発動すると収容されている疾風のバトルブーツを取り出しエリンに手渡した。彼女は手渡されたカードの裏表を引っ切り無しに返し興味津々で見ていた。
「なにもないところから出てくるのは何度見てもワクワクするわね!でも、出てきたときはなんでカードなんだろう?」
「俺としては画面が見えてるから、そこから引っ張り出してるだけなんだけど。傍から見れば確かに不思議だよな」
「うーむ、ストレージ実に興味深い・・・。そういう能力のマジックアイテムはあるにはあるが、本人の能力だとするならば・・・・・・」
「さてと・・・、疾風のバトルブーツ!」
そう唱えると先ほどまでカードだった疾風のバトルブーツが元に戻った。さっきまでカードとして持っていた彼女はいきなり元に戻ったブーツの重みに耐えるのに必死な様子だった。
「ちょ、ちょっとぉ!戻すなら先にいってよ!落とすとこだったでしょ!」
「あっ・・・、ごめんごめん」
「はは、あははは!君もなかなかエリンの扱い方を熟知しているね!いいよ、実にいい!さすがは僕の弟子だね」
「お褒めの言葉、ありがとうございます」
「あなたたちぃぃ!分かっててわざとやったでしょぉぉ!!」
俺らをそんな彼女をほったらかしにして本棚から魔法書を探すことにした。イクストリア師匠は整理する気が一切ないようでもうどれが商品でどれが私物か分からないほど乱雑に本が置かれている。ただ当の本人はそれでも整理しているらしくどこになにがあるか分かっていた。
「魔法書はこの辺りだね、あとは好きにすればいいさ。僕はあっちでエリンで遊んでおくからさ」
「はい、師匠!ありがとうございます」
俺は師匠に礼をいうと早速本棚を見ていくことにした。上段には上級魔法書、中段には中級魔法書、下段には初級魔法が置かれていた。ただ余ったスペースには隙間を埋めるためなのか、完全に関係のない本が大量に置かれていた。
「魔法書の横に料理の本、その隣には・・・世界の偉人たち?さてと、まずは初級を読んでいってみようかな。これは・・・、火属性の初級魔法書か!」
手に取った魔法書のページをめくり、目を通してみた。文字はまったく読めないのだがなぜかそれが理解できた。ふと気づくと最後のページまで読み終えていた。俺は早速ショップを発動して、火属性の魔法が追加されていないか確認することにした。
「あった・・・あった!だけど、ファイアーアローこれ1個しか増えてないんだが・・・初級だからといって、これ1個しか載ってないことなんてあるか・・・。気にしても仕方ない。とりあえずここにある魔法書を全部読んだあと、師匠に聞いてみよう」
俺はそれから本棚にある魔法書を手あたり次第に読み漁った。その後ショップを確認すると30個ほどの新商品が追加されていた。カードを買わなくても発動できるか確認するため、ここで使っても支障がないであろう、ヒールを使ってみることにした。
「傷を癒す魔法って書いてあるし、これならここで使っても問題ないだろう。それじゃ唱えてみるか・・・ヒール!う~ん・・・・・、なにも起こってなさそうだな。MPも減ってる様子もないし、やっぱ使うにはカードを買わないとダメか。でも・・・、この魔法の金額設定高すぎだろ、しかも使い捨てとか・・・」
足元を見過ぎだろっていうほどに魔法の値段は高かった。初級金貨1枚、中級金貨5枚、上級金貨20枚、最上級金貨100枚である。
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