第217話 俺、異世界で寝ている姿をエリンに看視される
これは俺が夢の世界でひとり中庭を探索していたときに起こった出来事。
エリンはシスティの子守唄によってアスティナが瞬殺されてスヤァーと眠る瞬間を横目で見ていた。
アスティナにはわたしが寝息を立てぐっすり眠っているように見せかけていただけで、わたしはまだ眠っていない・・・正直すごく眠い・・・けど、システィがアスティナに何かしないか警戒しておかないと・・・カスミの話が出てきてからシスティの雰囲気がちょっと変化したような・・・。
彼女がアスティナに危害を加えるなんてことは一切ないとは思うけどなにか様子がおかしい。
システィはわたしが起きていたことなど最初から知っていたようで、眠っているアスティナ越しに話しかけてきた。
「エリン、ちょっとお願いがあるの・・・アスティが辛そうにうなされてても絶対に起こさないでちょうだい」
「アスティナに超が付くほど過保護なあなたがそれを言うなんて・・・わけを聞かせてくれない?」
「貴女がそれを言うのね・・・。その前にエリン今日の依頼はどうだった?アスティはちゃんと戦えていた?」
「急に何の話・・・・・・そうねぇ、ちゃんとかどうかは分からないけど戦えていたとは思うわよ。ただ・・・」
そこでエリンの話が途切れ、暫しの間沈黙が続く・・・システィは彼女の口から続きを聞くために問いかける。
「ただ・・・どうしたのエリン?」
「えっとね・・・回避することに専念しているためか、カスミと比べて手数が少ないように感じたわ。当たり前だけどアスティナは魔法主体だから、わたしよりも動けるとはいえやっぱり辛そうだったわ」
「そうね、貴女から見てもそう感じるということは本人はそれ以上に必死だということよ」
「うん?それは分かったけど・・・アスティナがうなされるのと、どういう関係があるのよ?」
「アスティには夢の中で護身術を覚えてもらおうと思うの・・・要は睡眠学習。その際にうなされるかもしれないけど絶対にアスティを起こさないで、せっかくの睡眠学習が台無しになってしまうから」
「わたしが知っている博識なシスティから出た言葉とは思えないほどの説明なんだけど・・・・・・あー、分かったわよ!それがアスティナのためになるのなら・・・我慢するわよ」
システィから説明を受けたエリンは渋々承諾すると静かに目を閉じる。
その様子を見たシスティは彼女に就寝の挨拶をするとそのまま同じように目を閉じる。
「理解してくれて助かるわ、ありがとうねエリン。それじゃおやすみなさい」
「・・・・・・おやすみなさい」
目を閉じるとすぐに睡魔が訪れ・・・・・・わたしは眠りに就いた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あっああぁぁ・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・ああぁぁぁ・・・・あっああああ・・・・・・・・・・・・・・」
どこからか苦しそうな声が・・・聞こえる・・・・・・それもとても聞き覚えがある声。
わたしは寝ぼけまなこをこすり・・・アスティナの方に目を向ける。
部屋の明かりは消しているため、ここからではアスティナの表情は分からない、ただあの子が悪夢にうなされていることだけは認識できる。
これが寝る前にシスティが言っていたことなのかと、すぐに理解したわたしはアスティナを今すぐにでも悪夢から解放するため、あの子を目覚めさせてあげたいという衝動をグッと抑え耐える。
それに隣で目に入れても痛くないほどに大切に想っている妹のアスティナがうなされているというのにあのシスティが・・・あのシスティが一切目を覚ますこともなく眠っている。
彼女がこの状況下でも起きないということはあの子は安全・・・大丈夫ということなのだろう。
「・・・・・・・・・・・・・・ああ・・あ・・・・・ああああ・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・あああああぁぁぁぁ・・・・・・・・・・・・・・スゥスゥ・・・・・」
2、3分経過した頃いままで苦しそうにうなされていたアスティナだったが、急に静かになり寝息も穏やかになった。
暗闇に目が慣れたわたしはアスティナの表情もある程度見えるようになり、それから一時間ほどあの子がうなされていないか看視してみたが、アスティナはあれ以降一度もうなされることもなく気持ちよさそうに眠っている。
もう今夜は大丈夫だと確信し安堵した途端、急に眠気がまた襲ってきた。
可愛いあの子の寝顔も見れたことだし・・・わたしもそろそろ寝よう・・・。
わたしは目を閉じ睡魔に誘われるがまま眠りに就いた。
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