第216話 俺、異世界でシスティと夢の中で交流するその5
いま俺は何をしているかというと・・・ガーデンテーブルに備え付けられているイスに腰を深々と下ろして、まったりくつろいでいる。
なぜこんなにもリラックスしているかというと・・・夢の中にいるにもかかわらず、システィからマッサージを受けているから。
いまはふくらはぎ辺りをほぐしてもらっている。
その後徐々に上半身に上がっていき、最後に頭部をぐりぐりほぐしてもらう手はずとなっている。
どうせならこのだだっ広い中庭に寝っ転がって、そこで受けたいところではあるが施術してもらう側としてはシスティの言うことを聞くほかあるまい。
それから数十分後・・・システィのマッサージが終了。
俺はというとだらんと背もたれに身を預け、うつらうつら・・・眠気と戦っている。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・カクン・・・・・・はっ!!・・・いまのはヤバかった、危うく夢の中だというのに眠ってしまうところだった。
夢の中で眠るということは逆に起きるということなのだろうか・・・。
そういや夢自体は見ることはあるが、見た夢の内容までは記憶にあまり残っていない。
パッといま思い出せる夢としてはこっちに来たときに見たアスティナの記憶とあとは前の世界で見た配信を失敗する悪夢ぐらいかもしれない。
良い夢ってのは案外記憶に残らないようで思い出そうとすればするほど、多種多様な悪夢ばかり思い出してしまう。
・・・・・・・・・やめておこう・・・せっかくの良い気分が台無しだわ。
おっと・・・そういやシスティにマッサージしてくれた礼を言ってなかったわ。
俺は顔をぐぐっと上げ、背後にいるシスティと目を合わせ感謝の言葉を口にする。
「システィ、ありがとうな。なんとも不思議な感じなんだけど、夢の中なのに疲れが取れたよ。マジでありがとうな」
「どういたしまして。それと疲労が取れた気がするのは勘違いじゃないわ。夢の中とはいえ魔力自体は使っているから」
「・・・・・・えっ、今回これ魔力消費してるの?・・・眠っているアスティナの体は問題ないのか!大丈夫なのか!!ドレス着てないんだけど!?」
衝撃の事実を知った俺はワタワタ慌てふためいてしまう。
もしかしたらと練習中に考えることはあったが、システィも特にそのことを指摘することもなかったため気にしないようにしていた。
システィは軽くパニックになっている俺の頭をポンポンと触りながら話を続ける。
「そんなに心配しなくても大丈夫、消費した分の魔力は私めが補充しているからね。それに夢の中ではどれだけ魔力を消費したとしても、魔力が暴走することはないわ・・・ただ使いすぎると目覚めることがないだけ」
「・・・・・・それ死んでなくない??」
「ちょっとだけ違うわ。呼吸もするし心臓も動いている・・・だけど、一生目を覚ますことがない。大丈夫よ、そうならないために私めがついているのだから」
「なるほど、それを聞いて安心した。最初聞いたときはマジでびびったから、その反動で余計安堵したかも・・・で、ここに来たときから気になってたんだけど、俺をどうやって夢の中に招待したんだ?」
「う~ん、どう答えたらいいのかしら・・・私めもよく分かってないのよね。なんかブラッシェント流を学んでたら、気づいたときにはできるようになってたとしか言えないわね。アスティもできていたから、貴方もそのうち誰かを夢に誘うことができるようになるわよ」
「すっげー、ふわっとしてるな・・・だけど・・・そうか、俺もできるようになるかもしれないんだな」
この能力が使えるようになったところでこれといって何も思いつかないが、ただこれができるということは・・・それはつまりブラッシェント流を使いこなせるようになったということではないだろうか・・・まぁ魔力を纏わせる方法しか俺教えてもらってないけどな。
それから雑談をしたりしてある程度時間が経過したときだった。
急にシスティが中庭の中心に向かって歩きはじめる。
そして・・・そこで正座をすると俺の方を見ながら自分の太ももをポンポンと叩き、こっちに来るように促す。
俺はシスティに言われるがまま彼女に向かって移動を開始する。
座っているシスティの前まで来た俺はその場で立ち止まる。
困惑している俺をよそにシスティは自分の太ももに頭をのせるように言ってきた。
ちょっと気恥ずかしさを感じながらも俺は彼女に従い仰向けになり頭のせる。
弾力はあるけど、それほど硬くもなく柔らすぎず・・・肌もスベスベでなんとも心地いい・・・それに顔を上げるとシスティの顔とともに見事な双丘が見える。
・・・・・・・・この角度から見るのも・・・なかなか・・・素晴らしい・・・・・・うむ。
俺は色々と絶賛助かってはいるけど・・・これには一体どういう意図があるのかシスティに質問する。
「あのぅ・・・システィ?これはどういう??」
「もうそろそろ起きる時間だから・・・おやすみなさい」
システィはそう言うと俺の額に軽いキスをする、それは子供を寝かしつける母親がするような感じのとても優しいものだった。
その瞬間・・・俺の意識は途切れた。
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