第211話 俺、異世界でシスティに寝かしつけられる
歯も磨きあとはベッドにダイビングして寝るだけとなった。
システィはすでにベッドに座り、俺が来るのを手招きして待っている。
彼女に誘われるがままにシスティが待っているベッドに移動すると、彼女は掛け布団を軽く掴み上げる。
俺はシスティがあけてくれたスペースにそのまま潜り込む。
その様子を確認したシスティは俺と対面になるようにベッドに寝転がる。
エリンはというと今夜はひとりで寝るため俺とシスティに「アスティナ、ついでにシスティ。ふたりともおやすみなさい」と声をかけると、すぐにシスティが座っているベッドと隣り合わせに配置されているベッドに寝っ転がりまぶたを閉じていた。
どうやら今夜のエリンも会話に参加する気は無いようだ。
その証拠にこっちに顔を向けて寝るのではなく、後頭部をこっちに向けている。
俺は反対を向いているため顔が見えないエリンに向かって「おやすみ~、エリン」と返す。
俺のあとに続きシスティもエリンに「おやすみなさい」と声をかけていた。
エリンも相当疲れていたようでそれから数秒後にはスースーと寝息を立てていた、カスミとの手合わせで何度か斬られ出血したりドレスが破られたりなど、生命までは取らないにしてもこういうことが彼女に要らぬ負担をかけていたのかもしれない。
俺は心の中でもう一度「おやすみ、エリン」と呟く。
依頼とはいえ・・・少しやり過ぎたか・・・だけど、今更やめるわけにもいかない。
さて、いつもならこのままベッドに潜り込みエリンやシスティと他愛もない会話をしているうちに、そのまま睡魔に襲われて寝てしまうことが多いのだが、今回はシスティに俺でも使えるような簡単なやり方で相手の意表を突くのような手段がないか、彼女に相談しなければならないため多少眠気はあるが、聞いてからじゃないとまだ眠ることはできない。
まぁ・・・それならベッドに入らずにそこら辺に座って彼女から話を聞けばいいだけのことなんだけど。
明日もまた早朝からカスミの相手をしなければいけないので、スヤァーと眠る準備だけはしておけないと・・・魔法でちょっとぐらいは体調を良くすることはできるかもしれないが、完全回復とまではいかないし、それ以前に俺の考えとして疲労はちゃんと睡眠を取って体を癒す方が良い気がする。
神級のドレスを着て常時回復している俺が言うのもアレなような気はするが・・・睡眠ってやっぱ大事だと思うんだよな。
エリンも寝てしまったことだし、俺もサクッとシスティに相談して眠ることにしよう。
俺はエリンを起こさないように小声でシスティに話しかける。
「なぁ、システィちょっと聞きたいことっていうか相談事があるんだけどいいか?」
「な~にアスティ?」
就寝時間ということもあり、メイドという仕事から解放されたシスティはいつもの妹大好きお姉ちゃんになっていた。
どうにもまだ気恥ずかしい・・・マクラ事件があったからとはではないよ・・・・・・決して。
俺は彼女に今日の出来事を話し、接近戦での魔法発動や隙が無い相手に隙を作るための方法など明日の手合わせに何か良いアイディアはないかと聞いた。
話を聞いていたシスティは途中俺が斬られたことを知ってピクピクと眉を動かしていたが、口をはさむことはせずに最後まで静かに聞いてくれていた。
最後まで話を聞いたシスティは話の内容を整理するため目を閉じる。
暫しの間沈黙が続く。
その後システィはゆっくりと目を開け、俺の目を真っすぐと見つめ俺が思ってもみなかった言葉を繰り出す。
「アスティ、続きは夢の中でお話しましょう」
「・・・どういうこと?」
システィが何を言っているのか理解できずに困惑している俺をよそに彼女は俺の頭をナデ、子守唄を歌い全力で寝かしつけてきた。
もちろんそんな誘惑に俺が勝てるわけもなく、一瞬で俺は眠りにつくのであった。
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