第19話 俺、異世界でエリンの知り合いに会う
俺は買ってもらったバトルブーツを抱きかかえるように持ちながら歩いている。エリンにはそんな俺の姿はおもちゃを買ってもらって喜んでる子供に見えていそうなのだが、こっちの心境はそんな状況ではない。なぜならこの靴には金貨150枚の価値があるからだ。
「アスティナそんなにギュッと持つと、紙袋グシャグシャになるわよ?」
「あぁ、あっ?確かに・・・、あー、そうだ!あれを使ってみるか、ちょ、ちょっとエリン2人っきりになれるとことかないか!」
「はい?なにを考えてるのか分からないけど、次は服屋さんに行く予定だし、そこの試着室を使えばいいんじゃない?」
「ナイスアイディアだ、エリン!!」
「ま~たアスティナの謎行動がはじまるのね・・・」
俺は彼女に案内され、そのまま服屋に入っていった。そこもさっきの靴屋のように普通の服と冒険者用の服が別々に置かれていた。
「で、アスティナなにをする気なの?」
「それはな!いや、待てよ・・・・・、試着室から出てきたときに紙袋無くなってたらマズくないか・・・えーっと、ごめん。エリン試着室じゃダメだ」
「はぁ・・・?そうなの。まぁいいわ、それにここに来たのは寝間着を買ってあげるためだしね!」
「・・・・・・・・、ふむ・・・今度は寝間着ですか・・・そうですか」
今回買う服に俺の提案はなに一つ採用されず、ひたすら彼女の着せ替え人形となっている。買ってもらう側の人間としてはなにもいえないのは分かるがただもう着替えるのがしんどいです。でも、いろんなアスティナが見れて俺はとても満足しています。
「いっぱい買ったわ!もう、わたしは満足よ!!」
「お、おう・・・。エリン寝間着以外にもなんかいろいろと買ってくれてありがとうな、助かるよ」
「前にもいったけど、好きでやってるんだから気にしなくていいの。それで人目につかないとこがいいのよね?それなら、そこの本屋はどう?あそこは知り合いがやってるから融通が利くわよ」
「えっ・・・、本屋にエリンの知り合いがいると・・・、エリン本読むのか?」
「わたしだって、本ぐらいは・・・・・・まぁ読まないけど、そこの店主とは昔からの知り合いなのよ」
彼女はそういうと本屋というか呪いのアイテムが売ってるんじゃないかと思えるほど禍々しい雰囲気のある店に入っていった。俺は紙袋がさらにグシャグシャになるほど、抱きかかえながら彼女のあとについていった。
「イクストリアいる~?」
「あ~、この声はエリンか・・・。君がこの店に来るなんてめずらしいこともあるもんだ!?」
大量にある本と本棚の奥から声が聞こえた。それから5秒ほどするとイクストリアとエリンからそう呼ばれている本屋の店主が出てきた。
その人は見た目は俺よりも少し幼く見えた。赤紫色の腰まである綺麗な髪と紫色の瞳それとエリンのように尖った耳がとても印象的な可憐な少女だった。
「ちょっと場所を借りに来ただけなんだけどね」
「だと思ったよ。それでその後ろにいる子は誰だい?」
「紹介するわね。彼女の名前はアスティナといって、わたしの相棒よ!」
「・・・・・・?なんの冗談さ、君について来れる人なんて僕以外見たこともないんだけど・・・?」
「俺もそれには同意見だわ。彼女はフレンドリーで誰とも仲良くなるんだけど・・・あれだよな・・・なんか残念なんだよ」
「ほぉ、ほぉほぉ!君よく分かってるね、君とはいい友達になれそうだよ!!」
俺は疾風のバトルブーツが入った紙袋を床に置くと意気投合した彼女とガッチリと握手をした。
「えっ、ええ!なになに、なんでそんな一瞬で仲良くなってるのよ!」
「おっと、自己紹介がまだだったね。僕の名前はイクストリアしがない本屋の店主さ」
「あー、俺の名前はアスティナだ。それと場所を貸してもらった悪いな」
「気にしなくてもいいよ。エリンに連れて来られたんだろ、どうせ?」
「そうだとしてもありがとうな。イクストリア」
「ほぉ、ほぉほぉ!君もなかなか面白そうな子だね。気に入ったよ」
俺はこのあとイクストリアのことをエリンから聞いて驚愕することになる。
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