第186話 俺、異世界でデスサイズを試すその4
あれからさらに自分の身につけているものやストレージを見ながら、デスサイズの能力を三つに絞り込んだ。
まず一つ目が疾風のバトルブーツの能力をデスサイズによって、さらに底上げすること。
二つ目が死神の住居予定であるこのペンダントに察知能力を付加してもらうこと。
最後の三つ目はアッシュたちに作ってもらったデッキケースに自動補充能力を付加してもらうこと。
一つ目についてはバトルブーツを強化をすることによってさらに近接戦闘がやりやすくなる、元々疾風のバトルブーツには脚力UPと移動速度UPの能力が付加されている、この案はただ純粋にバトルブーツの能力を強化するだけの実にシンプルなもの。
それに元からある能力を強化するだけなら、代償としてもそれほど生命力を支払わなくても良さそうだしな。
二つ目のペンダントに察知能力を付加するというのは今回の王城での事件を経験して、これがあれば便利だなと思ったものを付加してみようという案。
魔法でサーチというものがある、これは自分が鑑定した物や人がいまどこにいるのかを調べることができる非常に便利な代物。
ただそのサーチではあの時のように急に襲われる展開に対しては圧倒的に相性が悪い、サーチはあくまでこっちが攻めの場合には強いが守りの場合には弱い。
それを補うためにシスティのように殺意や敵意などによって、こちらに害をなす人物なのかを前もって知る術が欲しい。
前までならシスティが一緒にいるから別に気にはしていかなったが、これから先は俺とエリンのふたり旅になるわけだし、どっちかひとりぐらいはこういう能力を持っておいた方が安心して旅ができる。
そして最後の自動補充能力というのは・・・そのまんまの意味でカードを使用する度に毎回補充する手間を省ければいいなという安直なもの。
チェックを使えばどのカードを何枚使用したとか分かるんだけど、オークエンペラーでハッキリと気づいてしまったことがある。
それは・・・強敵と対峙してしまったとき悠長にデッキケースに残っているカードなんて見ている余裕もないし、何枚使ったとか元が何枚あったとかなんて覚えている余裕もない。
だけどこの自動補充能力があればいちいち補充しなくても済む・・・それどころか同じカードを大量に入れなくて済む。
つまりデッキケースに入る最大枚数の50枚全てが違うカードで良いということになる。
いま俺が習得した魔法は全部で30種類・・・この30種類の魔法全てがドローの対象になるのはかなり強いのではないだろうか、それにデッキ切れというものも存在しなくなる。
近接戦闘を楽にするためのバトルブーツ・・・察知能力で事前に守備を固めるペンダント・・・そして補充の手間いらずの無限デッキ・・・。
出来れば全部欲しいけど・・・この中で選ぶとするなら・・・やっぱこの能力しかないか。
さて・・・付加する能力も決めたことだし、そろそろ死神とやらを呼びますかな。
デスサイズをドローすると、引き抜いたカードを表にすることもなく「デスサイズ」と唱え発動する。
右手に持っていたカードが消滅するが・・・特に何かが変化した様子がない・・・これはあれか不発のやつかと思いもう一度唱えるためカードを引き抜く態勢に入ろうとしたとき、明らかに俺たち三人以外の人物の声が聞こえた。
「あ~、自分がわいのこと呼んだんか?こっからやと顔見えへんけど・・・・・・わいの五感が訴え取るわ・・・・・・」
コントでしか聞いたことがないようなバリバリの関西弁を話している人物が背後から徐々にこっちに近づいて来ているのがすぐに分かった。
なぜなら、俺の耳に入って来るその声が少しずつではあるが確実に大きくなっている・・・。
近づいてくる変質者の顔を見てやろうと反転するが・・・そこに死神の姿はなかった。
ふっとため息を吐き正面に振り向いたときだった・・・距離にして10センチも離れていない距離に黒いボロボロのフード付きのローブを身に纏った骸骨がこっちを見ていた・・・まぁ骸骨なんで目ん玉がないからどこを見ているのかハッキリとは分からないんだけど・・・そんな風に俺には見えた。
いつもなら、ぎゃぁぁと慌てふためくところだが・・・なんだろうこの死神怖いというよりも親しみやすい・・・あの関西弁のおかげだろうか・・・。。
「あらあら、えらい別嬪なお嬢さんやないの・・・。それにわいを見ても怖がらへんし、わい惚れてまいそうやわ♪」
ふむ・・・この死神面白いな・・・それにアスティナのことも褒めまくっているし、こいつとは話が合いそうだ。
さてさて・・・あとは無事契約できるかどうかってところだな。
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