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TCGコレクターのイラストアドな異世界生活!?~異世界に飛ばされたけど、推しカードの見た目や性能で召喚されたので、特に問題はありません~  作者: 虎柄トラ
第2章 アルトグラム王国編

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第169話 俺、異世界でシスティの別スイッチを押してしまう

 俺はいま自分が置かれているこの混沌に対応するため・・・冷静沈着を装うことに必死になっている。


 分かってる・・・俺だって分かってるさ・・・よ・そ・お・うと言ってる時点でもう精神が安定していないことぐらい、俺だって分かっているさ。


 だけど・・・だけどな、俺と同じ状況に陥ったら、こうなるさ・・・あー、絶対そうなると断言しよう。


 絶賛俺の脳内では会議が開かれているが、俺Aも俺B・・・と続き最後に俺Fの6名うち5名が死屍累々となりピクリともしていない。


 唯一の生き残りである俺Cは状況を整理しようとテーブルに乱雑に放置された書類をかき集めている。


 俺Cはかき集めた書類に目を通している、そして・・・いま現状できる対応策を提示してくれた。


 それはいま目に見えている状況をただ受け入れろという実にシンプルな対策ともいえない対策。


 さて・・・それじゃそろそろ現実を受け入れますか・・・。


 俺、ライユちゃん、システィの順でライユちゃんを挟むようにギュッと抱き合っている。


 次にシスティを背後からソレイユが同じように全力で抱き着いている。


 それを必死に剥がそうとしているアルト。


 エリンとアルトジュニアは離れた位置からイスに座り、生暖かい目でこっちを見ている。


 俺に抱き着いてまだ離れそうにないライユちゃん・・・まぁ嫌ではないがこの状況を打開するためには離れてもらう必要があるな。


 さすがにこのままでは話が進まない・・・。


 俺はライユちゃんにこの後大事なお話があるから、ちょっと離れてくれないかと彼女に伝える。


 ライユちゃんは最初は嫌々と首を横に振っていたが・・・俺が何度もお願いをすると彼女は大きく首を縦に振って肯定してくれた。


 その時勢いがつき過ぎたため、なかなかイイ感じにボディにヘッドバッドが突き刺さる。


 急に腹部にダメージを受けた俺は「ウッ!?」と小さな声と共に肺から空気が飛び出す。


 これぐらいのダメージなんて可愛いもんだ、とりあえずはこれでまず第一関門突破。


 次はライユちゃんに抱き着いている幼児化してしまった我が姉を正気に戻さないと・・・。


 さてさて、どうしたものか・・・・・・俺に効果絶大なものはシスティにも効果絶大・・・ならば、やっぱあれをするしかないか。


 天使には天使で対応するしかない。


 俺はう、うんと咳ばらいをし、最高の声が出るように調整をする。


 この世界に来て一番だと胸を張って断言できるアスティナを演じる、まぁ夢で見たアスティナはこんなこと一度も言ってなかったというか、そもそもシスティはともかく、アスティナは一言もしゃべっていなかったような・・・あれ、どうだったかな・・・覚えていないな。


 俺が思う最高のアスティナを演じてみせようではないか・・・待っていろよ、システィ。


 ただ・・・これには一つ難点がある・・・それは俺が最高のアスティナが見れないことだ・・・いや、自分で演じてるのを見るのも大概ではあるが・・・。


 そして・・・俺は自分でもビックリするほどに澄んだ透き通った声でシスティに話しかける。


「システィおねぇちゃん!もうそろそろお話に戻ろうよぉ!!」 


 ビクンとシスティの身体が震えたと思った瞬間、いままでライユちゃんの身長に合わせるためしゃがんで抱き着いていた彼女が急に立ち上がる。


 そして・・・黒騎士時代から見てきた中で最速だと思える速度で俺の背後に瞬間移動するとギュウウウーと抱き締めてきた。


 システィに抱き着いていたソレイユとそれを剥がそうとしていたアルトはそれぞれ彼女に振り切られたようでその場で仰向けで倒れている。


 ただ別スイッチを押してしまったようで我が姉はまた暴走しているらしく、力加減がバカになっているのか俺の身体がミシミシと音を出し悲鳴をあげている。


 ちょっとステータスを開いて自分のHPを確認してみる・・・1,000と999が高速で入れ替わっているのが見える。


 あれだな・・・このドレスを着ていなかったら、もしかしたらこれで天に召されていたかもしれないな。


 耳元ではずっと「アスティ」という言葉が祝詞のように延々と聞こえている中さらに彼女の頬ずり攻撃が追加される。


 これによりさらにダメージが加速していき1,000という数値が表示されることがなくなり、数値が徐々に減っている。


 ふむ・・・このドレスを着ていてこれなら、あれだわ・・・この状態が続くと俺、本当に天に召されるかもしれん。 

 

 早く脱出しないとマジでヤバいかもしれん・・・。


 まぁそれだけ俺が全力で演じたアスティナがそれほど魅力的だったってことだな・・・。


 そろそろ危なくなってきた俺は助けを求めるべくエリンとアルトジュニアが座っている方に顔を向けて大声で叫ぶ。


 だが・・・やつらは瞬きもせずにジーとこちらを見るだけで反応することはなかった。

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