第167話 俺、異世界で本日二度目の子供部屋に行く
眉間のしわもエリンのマッサージによって綺麗さっぱりとれたことだし・・・アスティナはマッサージなんかされなくてもすぐにトゥルンと綺麗な肌になるけどな。
さて、システィの移動についてもこれで解決ではあるが・・・このペンダントを王城に置いとくのはなかなか勇気がいるな。
まぁアスティナやシスティに関連するものならば、同じようにランドマークとして使えるかもしれないが・・・何かあったかな。
あとで探してみるか・・・さて、それじゃ子供部屋に行くとしますか。
「それじゃー、システィの移動についても解決したし、次はアルト以上に護衛してもらいたい人のとこに行こうか!」
「あぁ・・・確かに余も妻や子供の護衛をシスティに頼もうとは思っておったが・・・それ余から言いたかった・・・」
「すまん・・・流れでつい言ってしまったわ。あっはっはっは!!」
俺は笑って誤魔化そうとするが、国王のくせにアルトは先に言われたのが余程ショックだったのか肩を下げてショボンとしている。
座ってショボくれているアルトの背中を押すために彼の背後に回る。
そして早く子供部屋に行こうと彼の背中を押すのであった。
俺の行動が功を奏したのか嫌々ながら、立ち上がったアルトは扉の方に向かいブツブツとなにか呟きながら扉を開いていく。
テイルが呼びに来た時と同じようにやはり力をいれている様子が全くないにも関わらず重厚な扉は最後まで開き切っていた。
それを見た俺はやっぱりこいつに護衛は要らないんじゃないだろうかとつい思ってしまう。
っと・・・移動する前に絨毯にばら撒いた文房具をストレージに収容しておかないとな。
カークランドが手にしているものはそのまま彼に渡すことにした。
それから国王の自ら子供部屋まで先頭に立って案内してくれた。
そりゃ俺もエリンもシスティもルート分からないからな・・・宰相のカークランドは知っているはずなのに俺たちよりも後ろにいた。
俺たちの一番後ろを歩いていたカークランドは子供部屋に向かう途中、ひとり別れテイルたちがいる別室に向かって行った。
アルトは自分から臣下にレクメングルのことを話すと頑なに言い続けて、その責務を譲ろうとはしなかったがそれをのらりくらりと躱しながら、交渉し続けるカークランドに最終的には根負けし、彼に任せることにしたようだ。
彼と別れた俺たちは見覚えのある部屋の前まで来るとアルトはそこで立ち止まり、扉をトントンとノックする。
数秒後、扉がゆっくりと開くとソレイユが出迎えてくれた。
そして彼女に促されるままアルト、俺、エリン、システィの四人は子供部屋に入る。
部屋に入った途端・・・お腹辺りにトンと軽い衝撃がきた。
俺は体当たりをしてきた犯人が逃げないように犯人の背中に両手を回して逃げ道を塞ぐ。
徐々に両手で作った輪っかを狭めていく。
そして・・・俺は犯人の名前を言いながらギュッと抱きしめるのであった。
「ライユちゃんつ~かま~えた!!」
「アスティナお姉ちゃん!アスティナお姉ちゃん!アスティナおねぇちゃ~ん!!」
ライユちゃんは俺の名前を連呼してはギュッと抱きしめ返してくる。
「あっはっは、いやいやなんていうか・・・あんな感じのお別れをしたのにライユちゃんに会いたくて、すぐ来ちゃったよ」
「アスティナお姉ちゃんはライユにメロメロだもんね♪」
「・・・・・・ライユちゃんそんな言葉どこでおぼえ・・・て」
俺の後方で子供部屋の扉を閉めているため振り返ってもソレイユの顔は見えないが・・・肩が上下に揺れているのはハッキリと見える。
笑い声を抑えるので必死なのか呼吸音がちょいちょいおかしいことになってるぞ・・・ソレイユ。
だが・・・大人ぶっている希少なライユちゃんが拝めたのでまぁチャラにしておいてやる。
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