第165話 俺、異世界でシスティの大陸横断方法を考える
さて、次はアルトの家族にシスティのことを紹介しなければいけないな。
どちらかというとアルトを護衛するよりもそっちの方が比率的に多くなりそうだし・・・実力としては彼は申し分ない・・ただつい比べてしまう相手がシスティや師匠となってしまっているのが可哀そうではあるが・・・。
そのため最悪襲われたとしても防戦し多少は時間をかせぐことができるはず、だが彼の家族は襲われたらアウトだろう。
王城の警備が例え優秀だったとしても・・・今回のように洗脳などされていた場合、何事もなく侵入される。
それにソレイユの予知能力が知りたいことをピンポイントで見せてくれるのならば、まだ前もって対策などができるかもしれないが・・・彼女の能力はそこまで万能なものではない。
まぁ彼女の言う重ねられた写真を瞬間記憶ゲームのように覚えていくのは俺には到底できそうにないので、それだけでも十分すごいことなんだけどな。
そういえば・・・旅に出ている間、王城にいるシスティをこっちに呼ぶことは簡単だが逆に王城に帰すときって・・・どうすりゃいいんだ。
俺はソレイユたちがいる子供部屋に行く前にそのことについてシスティに聞いてみることにした。
システィが毎日会う条件を提示したということは彼女にはその方法が分かっているのではないだろうか。
「そういやさ、システィ。俺が他の大陸にいる間って、どうやって毎日往復するんだ?」
「もちろん走って帰ります」
「・・・・・・ウソだろ・・・いや確かにこの五大陸は一部大陸同士でつながっている箇所があるのは世界地図で見たことあるが・・・それを毎日朝と夜・・・走って王城まで帰る・・・マジか!?」
驚き戸惑う俺に対してシスティは何の迷いもなくきっぱりとそう断言する。
そのやり取りを聞いていた他三名も俺と同じようにただただ驚愕している。
システィが高速、音速で移動できるのは昨日今日・・・それに黒騎士時代にこの目で実際に見ているから知ってはいるが、さすがに大陸横断を毎日は無理があるだろう・・・。
さてさて・・・どうしたものかと悩んでいると・・・その張本人であるシスティは絨毯に置かれていた紅茶セットを一瞬のうちにまたセルーンのようにどこかに収容していた。
「その食器とかもそうだけどさ、システィってそれどこに収容してるんだ?」
「・・・・・・お嬢様、同性とは言え女性にそういうことを聞いてはなりません」
「・・・・・・そう、いうもの・・・なのか。分かった・・・次回から気を付けるよ・・・」
「素直なのは良いことです、お嬢様」
この何気ない会話がシスティ大陸横断問題を解決する糸口なる。
何か解決策を見出したのかそれとも何か思い出したのかシスティの表情が明るくなると同時にまたどこからかあるものを取り出す。
右手に握られている物体はここからでは全体が見えないが、ネックレスなどに使われているような細いチェーンが右手から一部はみ出しているのが見える。
そしてシスティは右手を俺の目の前に出すとゆっくりと手を開く。
そこには3センチほどはある真っ赤な宝石が見えた。
システィはそれを俺の首にかける。
「システィ・・・アスティナに絶対に合うであろうペンダントだけど・・・これは?」
「こちらに召喚される前から持っていたようなのですが、今の今まですっかり忘れておりました」
「ふむ・・・このペンダントを見るとなんかすっげぇ落ち着くわ・・・これ貰っていいのか?」
「はい、そのためにお渡しいたしました。そのペンダントからはお嬢様にとてもよく似た魔力を感じましたので、元々お嬢様のものではないかと・・・」
この彼女の言葉で俺はふとあることを思いつく。
それはアスティナの魔力を感じ取って、それを目印に召喚することができないかということだ。
もしこれが可能であるならば、システィ大陸横断問題が解決するのではないだろうか。
「・・・なぁシスティ、俺の魔力を感じ取ってその位置に呼び出しとかってできる?」
「・・・・・・はい、それはもちろん可能です。お嬢様に召喚されるときもそれを目印としていますので・・・・・・なるほど、さすがお嬢様です」
つまり王城に俺の魔力を込めた魔石を置いておけば、それを目印に召喚することができるようになる。
「面白い」「続きが気になる」と思っていただけましたら
是非ともブックマーク、評価よろしくお願いいたします。
 




