第158話 俺、異世界でシスティからプライドの情報を聞くその1
俺とアルトがプライドのことで話し合っていると、いつの間にか背後にいたシスティから声をかけられた。
「お嬢様、そのプライドという人物についてお耳に入れたい情報がございます」
「システィ・・・情報うんぬんの前に気配を消して背後に立つのやめない?毎回ビクッとするんだわ・・・それ」
「・・・申し訳ございません。他意はないのですが・・・つい身体がそう動いてしまうようでして・・・」
「いや・・・俺の方こそ悪かった。システィが俺を守るために身につけた業なのに・・・えっと・・・そうだな、話しかける前に俺の視界に入るようにするとかどうだ?」
「かしこまりました、お嬢様。それでは話しかける際にまずお嬢様にハグするようにいたします」
「・・・・・・・・・うん?・・・どういうこと?」
話の途中でアルトを放置したままシスティ謎理論の説明が始まる。
彼女が言うには・・・いきなり背後から声をかけるとビックリする・・・ならば、安心できるように視界にいれた状態でハグすればいいじゃない・・・ということらしい。
自分で言ってても意味が分からないが、彼女なりに俺のことを心配・・・いや違うなこれはあれだ理由をつけて抱き着こうとしているだけのやつか。
それはそれで確かに安心するし心地良いのは認めるが・・・・・・それを承諾したらシスティのことだ、きっと内だろうが外だろうがお構いなく抱き着いてくる可能性が非常に高い。
よし・・・いままでどおりでいいか。
「システィ・・・いままでどおりで問題ない!気にせずいつも通り背後から声をかけてくれていいぞ!!」
「・・・・・・・・・・・・・・はい、お嬢様・・・・・・かしこまりました」
明らかに不服だというのがすぐに分かるほど低音域の声を出しながらも渋々ではあるがシスティは了承してくれた。
さて・・・とりあえずこの問題は解決したことだし、システィが仕入れた情報を聞いてみようか。
「システィ、それでどんな情報を仕入れたんだ?」
「はい、あの豚を再処分していたときなのですが、例の殺意が芽生える声がまた聞こえましたのでその内容をお嬢様にお伝えしたく・・・」
「待ってる間、俺には一切やつの声は聞こえなかったがシスティには聞こえてたってことは・・・距離が関係するのか・・・あー、ごめんごめん。システィそれじゃ早速その内容を教えてくれ!」
システィはプライドがしゃべっていた内容を俺たちに話す前にまだ謁見の間の外で待機しているエリンとカークランドとも情報を共有するため、三歩四歩移動するだけで俺に触れられるほど近い距離なのにわざわざふたりを呼びに行った。
すぐにシスティの姿が見えるとその後方にはビクビクしながら、周囲を見渡しているエリンとカークランドの姿があった。
ふたりが謁見の間に入ったのを確認するとアルトは外部に声が漏れないように扉を閉めた。
やつの声が聞こえていたのは俺とシスティだけだったこともあり、そもそもプライドとかいうやつの前情報すらろくに知らないエリンとカークランドにはシスティの話を聞く前に軽く俺の方からも話しておいた。
どうして俺たちだけが声が聞こえたのかなど説明しづらいことはあったが、なんとなくそれっぽい感じに濁した。
カークランドはすぐにアルトのようになにか感じ取ってくれたようでぶつぶつとひとり呟いて頭の中で情報を整理をしている。
エリンはというと俺の話を聞く以前に絨毯が綺麗になったことに感動しているのか、しゃがみ込んでわしゃわしゃと犬や猫をなでるように右手を左右に動かして絨毯の触り心地を堪能している。
そんなエリンのことなどお構いなしに早速システィはプライドがしゃべっていた内容を語りだす。
俺もシスティの判断は正しいものだと頷き心の中で賛同しておいた。
「それではお嬢様、みなさん今から私めが聞いた内容をお伝えいたします。・・・ごほん・・・我の魔力を少量とはいえ与えた駒をこれほど容易く倒してしまうとはなぁ・・・我らを楽しませてくれる駒はもういないと思っていたが・・・これはなかなか・・・」
彼女は話す内容だけではなくプライドの話し方、息遣いまでわざわざ真似ながら話してくれた。
その内容は実に興味深く・・・そしてそれと同時にあのレクメングルがどれほどまだマシな人物だったのかと思い知る。
俺の認識は間違っていないようでシスティの話を聞いていた他三名も俺と同じように眉間にしわを寄せてため息をついていた。
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