第144話 俺、異世界で謁見の間にたどり着く
テイルの説明を聞き終え、トコトコと彼のあとをただただ無言でついていく。
子供部屋に向かっていた時に見たものとはまた違うタッチで描かれた絵画などを横目に見ながら歩いていると、先頭を歩いていたテイルが急に立ち止まった。
それを見た俺とエリンも彼に合わせるようにそこで立ち止まる。
テイルはその場でこっちに振り返ると、もう3分ほどで謁見の間に着くこと、そして謁見で注意すべきことを教えてくれた。。
「アスティナ様、エリン様、あと3分ほどで謁見の間に到着いたしますが・・・謁見の際に注意事項がございます」
「分かったよ、テイル。その注意事項とやらを教えてくれ」
「任せて、テイル。アスティナが失敗しないようにわたしがしっかり覚えておくわ!」
それからテイルは謁見での最低限のマナーを教えてくれた。
ドレスを着ている俺は両手で左右の端っこを軽く掴んでドレスを少し広げてから頭を下げること、エリンはスカートではなくパンツということもあって俺とは違い、彼女の場合は右手を心臓の位置まで持って行き、左手は後ろに回して肘が90度になるようにした状態で頭を下げるように教えられていた。
次にこちら側から先に話かけず、向こうから質問されたことだけを答えること。
あと当たり前ではあるが絶対にいまのようなしゃべり方をしないこと。
そして最後にテイルは年下の子を諭すように優しくこう助言してくれた。
「そして・・・最後にですが、アスティナ様どんなことを言われようが絶対に反論してはいけません。色々と言いたいこともあるでしょうが、ぐっと堪えてください」
「分かったよ、テイル・・・頑張って耐えてみるよ。つうか、この後どんなこと言われるんだよ・・・」
「任せておいて、暴走しそうになったらわたしが抑えるから、安心していいわよ!!」
「いえ・・・・・・これはエリン様も対象です・・・センチネルやセルーンから非常に申し上げにくいのですが、すぐにやらかすと聞いていますので・・・」
「あはははは!!そりゃそうだ、俺もだがエリン、お前も大概トラブルメーカーだぞ!!」
「そんなの絶対ウソよ、信じないわよ!センチネルもそれにセルーンからも直接言われたことないんだけどぉ!!あとアスティナ笑いすぎ」
まさかのテイルからそんな言葉を聞かされるとは思ってもいなかったのか、エリンはひどく狼狽していた。
そんなやり取りもありつつ、何だかんだでテイルのお手軽マナー講座をサクッと習った俺たちはまた正面を向き、謁見の間に行くため歩みを進めるテイルのあとを追って歩き出した。
そして歩き出して本当に3分ほどで謁見の間に到着した。
その扉の大きさはさっきまでいた子供部屋とは比べものにならないほど巨大で、そしてこの先に足を運ぶことを躊躇させるほど実に煌びやかな装飾が施されている。
あとはテイルが守衛に扉を開けるように指示をすると今回の目的である謁見がはじまる。
「アスティナ様、エリン様・・・あとは私がここにいる彼らに指示いたしますとこの扉が開きます・・・心の準備はよろしいでしょうか?」
「あぁ・・・テイル!いつでもいいぜ!!」
「わたしも・・・ダイジョウブ・・・モンダイナイワ」
「いや・・・エリン・・・お前なんかカタコトになってるけど本当に大丈夫か?」
「えっ・・・演技よ演技よ・・・わたしがこんなことで緊張するわけないじゃない・・・それにこんなことで緊張していたらソレイユにバカにされるわ!!」
「あ~、それは言えてるかも・・・バカにするどころか、腹を抱えて笑いこけるんじゃないか?」
そんなしょうもない会話が終わるまでの間テイルは静かに待っていてくれた。
再度テイルは俺たちに謁見の間に向かう心構えができたのかを確認する。
俺たちが頷いたことを確認したテイルは守衛に扉を開けるよう指示をするのであった。
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