第130話 俺、異世界で第二の南門を通り抜ける
彼女と別れた俺たちはいま王都の中心にある王城を目指して歩いているところだ。
彼女からお守りとしてもらった羽根はレイランの羽根と同じようにポシェットの紐部分に括り付けている。
歩くたびに純白の羽根と漆黒の羽根が仲良さそうに一緒に揺れている。
南門から王都に足を踏み込んだときには南門周辺だけが冒険者の町ミストのように多種多様な人種や俺たちのような冒険者を見る機会が多かったが、中心に向かうにつれてどんどん雰囲気が変わってきている。
どんな感じに変化してきているのかというと、明らかに歩いている人たちの身なりがどんどん高価な物に変わってきているのと、町並みも街灯や宿屋、武器屋、防具屋といった各種お店の見た目も変わってきている、歩きながらではあるが横目で店頭に並べられている商品を見ても南門に周辺の時よりも明らかに質も値段が上がってきている。
そう思っているのは俺だけじゃなく、エリンも興味はあるがそれを抑えているのかチラチラと隣を歩きながら商品を見ている。
かれこれ中心に向かって歩き続けていると・・・王都を囲っている防壁、門とそっくりの形状のものが見えてきた。
王城を中心に防壁が二重、三重と作られているのかもしれない・・・はたして王城にたどり着くまでにあと何回門を通らないといけないのか。
ティーナやウィリアムが守衛している南門とはまた別の王都の中にある南門着いた俺たちはまたそこで門番に止められることになる。
そこの門番Aはあのふたりのようにフレンドリーではないように思えた・・・なぜか分からないが開幕怒鳴られたからだ。
「おい!そこの3人これより先は貴族街だ!!」
「貴族街?へぇー、知らなかったわ。ちょっとそこ通してもらっていいか、王城に行かないといけなくてな」
「お前たちが王城に?なにか証明できるものはあるか、あるなら見せてみろ?」
「えっと、これでいいか?」
俺はポシェットから【アルト国王直々の招待状】を取り出すと門番Aに手渡した。
するとすぐに門番Aの顔色が変化していく・・・それはもう体調不良だと言わんばかりの真っ青な顔に・・・。
彼もティーナと同じように震える両手で俺が手渡した招待状を丁寧に返却してくれた。
そして深々と頭を下げて俺たち3人に貴族街に行くために必要な通行許可証を渡してくれた。
「大変失礼いたしました・・・どうぞお通り下さい。これからは門を通る際、こちらの通行許可証を提示していただければと存じます」
「これはこれはどうもご丁寧に・・・ありがたく使わせてもらうよ。じゃー、またなー!」
こうして無事に第二の南門をすんなりと通ることができた。
門を通りながら、少し後ろを振り向くと同僚だろうか・・・門番Bが門番Aを肩に手を置いて、何やら慰めているように見えた。
それを見たときにあの門番Aはただ単にこの門を守護するということに全力・・・それはもう自身の誇りをかけて仕事をしているだけだったようだ。
なんかフレンドリーじゃないとか・・・雰囲気が恐いとか思ってすまなかった・・・と心の中で彼に謝っておいた。
鑑定不可の時点でそれなりに修練もしてやっとあの仕事に就けたんだろうし・・・今度会ったときにはなんか差し入れしてやろう。
門を通り抜けると一気に町並みがまたガラッと変わった。
門を通り抜ける前ですら、外周と第二の南門辺りでさえ全く景色が変わっていたのに・・・それが霞むほどだった。
それと門の外は平民街というらしい・・・防壁の打ち付けられた看板に外側は平民街、内側が貴族街と書かれていた。
まだ午前中ということもあり、街灯が点くことはないのだが配置されている間隔がすさまじい・・・ミストではメーン通りや各店舗の前などはしっかりと街灯があり、町を照らしているのだがそれでも少し路地や通りに入ったりするだけですぐに暗闇になる。
平民街ですら、一部は街灯が照らされない路地や通りがあるように思えたが、門を通り抜けた先にあった貴族街という場所はこのエリアを全て照らすことが可能なほどに街灯が配置されていた。
建物も民衆が住むようなものではなく、どこの権力者ですか・・・というような豪華な物件が右を見ても左を見ても正面を見ても・・・どこを見てもそれしか存在しなかった。
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